22. ぐるにい

私たちが住む家の裏手にボロボロの家があり、そこには20代の兄弟が住んでいる。


お兄さんの方がよく構ってくれた。

男の人なのに髪の毛が長くて、バイクが好きみたいだった。


公園の遊具、通称【グルグル】を勢いよく回してくれるので【ぐるにい】と呼んでいた。


近所の子供たちと本当によく遊んでもらった。


小学校5年生以降、学校をサボることが増えたわたしはよくぐるにいにかまってもらおうとする。

しかしぐるにいは夜にバイトをしているため朝から昼まで寝ていて、起きても学校へ行きなさいと言われてかまってもらえないことも増えた。


時々ぐるにいの家に友達が何人かいてゲームをしたりしていたようだった。友達は子供嫌いそうな感じの人が多くて怖かったけどその中でかっぱちゃん(顔がかっぱみたい)と勝手に名付けた人だけはよく構ってくれた。


家に帰りたくない時もずっと手を繋いで一緒にいてくれた。


眠くなってきた時に「ホテルに行く?」と聞かれた。

その時にただの優しさなどでは無い、他の目的のために私に優しくしていたんだと気づく。


かっぱちゃんは当時29歳くらいだった


いい大人が私を構いすぎるのがおかしい事であるのはうすうす気づいていた。

しかし誰でもいいから一緒にいてほしい時期だった。


さすがにホテルには行かなかったしその後は怖くなって帰った。


何故バレたのかは分からないが

後日ぐるにいから「ホテルに誘われたやろ」と聞かれ

そんな事するやつと友達ではいれない、とかっぱちゃんとの絶縁を知った。


それ以来見ることは無かった。

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