第21話 佐々木からの情報

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「ん?」


 ナツがスマホでL*NEのトーク一覧をスクロールしていると、着信が入った。


「もしもし?」

『あっ、ナツ?』


 電話はナツのクラスメートの佐々木静流からだった。


『なぁっ、安藤ちゃんから聞いたんだけど、安田ちゃんだけじゃなくてアキちゃんも家に帰って来てないんだって!?』

「情報早いな。そうだよ」


 安藤はナツとの通話を終わらせてすぐにアキのことをL*NEで流したのだろう。

 誤魔化す必要はないので素直に認めるナツ。


『大丈夫なのか? その、おばさんとか……』

「無理だろうな。こういう時に限って仕事が延長になんねぇんだよ。母さんが帰って来たら面倒くせぇけど、隠し切れねぇ」

『……アキちゃん、何処行っちゃったんだろうな』

「知らね。安田と一緒にいるのは間違いないだろうな」

『俺の母さんも今、色んなところに電話しててさ。安田ちゃんのお母さんが警察に通報するかって話が出てるみたいだ』

「躊躇しないで通報すれば良いじゃねぇか。何で迷ってんだよ」


 ナツは大人たちの行動が遅いと思ってしまう。


『……ナツは通報しねぇの?』

「オレが通報したらどうなると思う?」

『あー、ごめん。無理だな』

「だろ?」


 大人たちに四の五の言うならば、自分がやれば良い話だがナツには出来なかった。

 佐々木にはナツの理由が分かっていた。


「普通は親って自分の子どもが帰って来ないと心配するんだろうけど、うちの母さんが大事なのは世間体だからな。困って職場に電話したら『そんなことでいちいち電話して来ないで!』って怒るんだぜ? 姉ちゃんの時だって……」

『……ナツ』

「悪い。今はアキと安田だな。佐々木、お前何か情報ないか? 学校帰りに見掛けたとか……」

『あぁっ!』

「!」


 いきなり大声を出す佐々木。

 突然だったので、耳を塞ぐなどの対処が出来なかったナツは佐々木の大声をもろにくらってしまう。


「うるせぇな! なんだよ!」

『ごめん! 俺、ナツに言いたいことあって電話したのに、まだ言ってなかった!』

「だから、なんだよ?」

『俺、―――アキちゃん見掛けた』

「……は?」


 まさかの情報提供に、ナツは一瞬思考が停止した。


「いつだよ!」

『今日の学校帰りに。ナツ、掃除当番だったろ? そんで、1組は体育でジャージ下校の日で……俺は担任に授業態度の件で呼び出し食らってて……。正確な時間は分かんないけど、とにかくそのくらいにアキちゃん見掛けたんだよ』

「アキは学校に戻って来たのか? 服装は?」

『学校に戻ったのかは分かんない。服装はジャージだった。アキちゃん、すごい焦った感じで走ってたんだよ。切羽詰まった感じっての? 声掛けようとしたけど、走ってたからあっという間にいなくなっちゃってさ』

「切羽詰まった感じで走ってた……?」


 それは有益な情報だった。


『提出物出し忘れとかかな? でも、通学鞄とかは持ってなかったと思う。土栄どえい中に向かって走ってたのは確かだな。もし、土栄中に戻ってないとすると……』

「……」



『……アキちゃんは安田ちゃんとカミシロ山へ行ったんじゃないかな。ナツたちのお姉さんに似てる幽霊の目撃情報を確かめに』



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