新入生歓迎会係


まだこの学園に来て1日しかたってないけど…出会う人皆キャラが濃くてぶっ飛んでるってことは分かった。

そしてそのぶっ飛んでる学園で一番ぶっ飛んでるであろうイベントの告知を今、担任の口から聞くことになる。


「もうすぐ新入生歓迎会がある。そこで係が必要らしい。誰かやりたい人いないか?」


そんな面倒なことしたい人おらんでしょ。少なくとも俺はしたくない。


「じゃあ、部活に入ってない栄人ー、係頑張ってな。」


「な、は?どういうことだ?」


「部活入ってないから暇だろ?それに生徒会と仲良いらしいじゃねぇか。適任だ。」


1人で満足そうに頷いている担任をよそに生徒会の愉快な仲間たちを想像する。

会長には確かに物理的に助けて貰っているし、何より雄っぱい揉んじゃったしな~謝りたいし、やっとくか。


「分かりました。やりますよ。」


「え?マジでいいのか?」


「フッ、やれって言ったの担任じゃないですか。良いですよ。今度何かおごってくださいね。」


押し付けてきたくせに俺の反応が予想外だったのか、間抜けな顔をする担任が面白く思わず吹きながら返してしまった。


「あぁ、よろしく。」


担任は耳を赤くしてそっぽを向いてしまった。

なんだ?張り合いないな。


「栄人~男前~」


隣から冷やかしが聞こえるが無視だ無視。





放課後、係の集まりがあるとのことで多目的室に集められた。

集められているのは1年生と生徒会、風紀のみのようだ。


心なしか1年生がそわそわしている様に感じる。やっぱり生徒会メンバーのイケメンさに浮足立っているのか。


「今日はお集まり頂きありがとうございます。では、新入生歓迎会についての会議を始めさせていただきます。」


副会長の声とともに始まった会議は思っていたよりも緩く、会議と言うよりは交流がメインのようだった。


全員自己紹介して、簡単な説明だけ受けてお開きになった。


なんと新入生歓迎会の内容は鬼ごっこ。はい、解釈一致~。


詳しい説明は当日にあるのだそうだ。今日は自分のクラスの鬼を決めるくじを渡すだけだったらしい。この係いる?


「栄人、来ていたんだな。」


「はい、まぁ。あの、会長ご迷惑かけてすみませんでした。」


お開きになった後、会長に呼ばれたため開口一番に謝っておいた。


「?あぁ、いいんだ。お前のせいじゃない。気にするな。」


やっぱり会長優しい。良い人だな。


「それより、輝樹と話したと聞いた。何もされなかったか?心配した。」


「輝樹先輩?特に何もなかったですよ。」


キスされたけど暴力とかはなかったから特に何もなかった、よな。


「あの、栄人。良かったら今度一緒に昼食か夕食、食べないか?いや、難しければいいんだ。」


「もちろん、俺で良ければぜひご一緒させてください。」


いかつい顔であわあわする会長が可愛くて笑ってしまった。失礼だったかな。


「っ!~~あ、ありがとう。また都合のいい日を教えて貰ってもいいか?」


会長は首まで真っ赤にしながら俺を言われた。


「俺はいつでも。今日でもいいですよ?」


「良かったじゃん、会長。今日行っちゃいなよ。」


会計が会長の後ろから肩に腕を回しながら言った。いや、二ヤつきすぎでしょ。


「そうだよ。チャンスだね。」


うん、庶務は今日も可愛い。でも、チャンスって何だろう?


「なんだ、面白そうな話をしているな。俺も混ぜて貰おう。」


「輝樹、お前は来なくていい。というか、来るな。絶対に。」


「稔そんなに邪険にしなくてもいいだろう。余裕のない男は嫌われるぞ?」


なんか会長と委員長の間に火花が見えるのは俺だけかな?


「ほら、2人とも見苦しいですよ。」


「ブラックホール副会長…「ん?」いえ、何でもないです。」


女神様の気が触れた。怖ぇ。


「じゃあ、みんなで食べたらいいんじゃないですかね。」


うん、我ながらいい考え。そう思って満足気に頷く。


「え、何それ可愛い…じゃなくて俺と二人では嫌か?」


シュンとした会長の頭に耳が見える。垂れた犬耳が…なにこれ幻覚?


「嫌ではないですよ?じゃあ、次は2人で食べましょうか!」


「次…いいのか!?よし、皆で食べに行くぞ!」


ぱぁっと顔を綻ばせた会長のお尻にしっぽが見えたのはここだけの話。


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