寮長と言う名の


無事チャイムの音で返してもらえた俺は尊に詰められていた。


「なぁ、さっきの時間何してたんだ?本当に何もなかったのか?」


「何もないから。ほら、寮に帰ろう。俺寮長さんのところに鍵もらいに行かないとだし。」


「分かったよ~しゃーない。行くか。」


サラッと?交わして寮までの道のりを歩く。


「なぁ、風紀委員長ってどんな人?」


俺は気になっていたことを聞いてみる。

だって初対面からあんな自由奔放な人中々いないでしょ。普段からあぁなのか気になって気になって…夜も眠れないっていうのは嘘です。すいません。


「委員長?ん~厳格で厳格な人かな。あんまり人と話していること見ないね。まぁ、皆怖がって話にいけないっていうのもあると思うけど。」


「そんな怖そうな感じはなかったけどな…」


「え、今なんて?」


「いや!何でもない。うん、何でもない。」


輝樹先輩って怖がられてるんだ。本当はあんな性格って知ったら皆驚くどころじゃないよね。


「着いた!ここが寮だよ。一応門限は9時だけど、周りに何にもないから破ることはないと思う。じゃあ、寮長のと

ころ行こうか。寮長はちょっとおかしい人だけど、まぁ大丈夫だと思う。」


え、おかしい人?何それ、初めて聞くんだけど!人の子と例えるときにおかしい人って言うときある?


「何がおかしい人だ、コラ。俺はいたって普通の人だ。」


いや、自分のこと普通の人って言う人も中々いないと思うんだけど。


「って、え?」


思わずツッコんでしまったけど、俺の見える範囲には尊以外に人はいない。

思わず後ろを振り向くとこれまたイケメンが1人、だるそうに前髪をかき上げながら立っていた。うん、もうツッコまないよ。この学園がイケメンの宝庫ってことはよーく分かった。


「寮長さんですか?」


話の流れからしてそうだよね、と思いながらマジマジと見てしまう。

かき上げられた赤茶色の髪は肩につくほど長く、だるそうな様子とは裏腹に真っ赤な目は強い意志を持ったように見える。そのアンバランスさが何とも言えない色気を醸し出している。


「あぁ、寮長の3年氷室響。何かあればここに来ると良い。大体いるだろうから。」


氷室先輩はそう言いながら俺の手を取ると、そのまま口元へ持っていきチュッとキスを落とした。


「え、えぇ!?な、何してんすか!?」


「何ってご挨拶♪なんかお前美味しそうだったから。」


そのまま手を引っ張られたと思ったら、今度は俺の唇を…ぺロっと舐めた。


「え、舐め、え?」


「うん、やっぱり美味しい。夜須川栄人だったかな。毎日来なよ。大歓迎。」


「絶対来ません!早く鍵ください!!」


「ちぇっ、はいこれがカギね。また味見させてね。」


寮長が前に出した鍵をふんだくって、横で様子がおかしくなっている尊を引きずってその場を去る。

今日は厄日なのか、俺…?


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