不滅の勇者、聖剣学園に通う。

ドロッP

第一章 感情を無くした少年 1

    一章 感情を無くした少年

 

 

   西暦300年 魔王城王座の間にて

 

 『勇者よ、もう辞めにしないか?』


 辺り一面ボロボロの魔王城で突然魔王【ジェル•バロス】がそんな戯言を勇者に言った


「何故?」


 勇者は魔王に剣を構え質問をする


 『貴様と剣を交えて早100年…もう決着がつく気がしない』


「僕は……これしか無いから……」


 勇者は魔王に対して質問を返すがその言葉には感情が感じられない


『あぁ、人間は本当に残酷な事をする、、、まだ幼きお前に聖剣を持たせ、無理難題のクエストや俺達魔族の討伐までさせて、、、なぁ、悔しくは無いのか?憎くは無いのか?』


「分からない……僕は、魔族を殺す為に生まれて来た……から、分からない……お前が言ってる意味が」


 勇者の孤独は誰にも分かってもらえないだろう。


幼き頃に勇者として目覚めその力を恐れた両親は国に勇者を突き出した。


国の人々は勇者の力を神の力として受け取りまだ6歳の子供に大人でも根を上げるほどの訓練や剣術を叩き込み、魔族の国へ放り出した。


それから訳50年、勇者は来る敵来る敵をとにかく殺して行った。勇者の体には特殊な魔力が宿っており、一定の年齢に達すると不老になる。


そして魔王が生きている限り死ねない体なのだ。


普通なら死ぬ怪我をしてもすぐに再生する体。


勿論痛みも感じる。


最初はもがいたり痛がっていたが、段々と慣れて行き、今では痛みを感じなくなっていた。


そんな道のりを辿り、魔王と相見えた。


それから訳100年お互い休む暇なく闘い続けている。


 『なら……貴様に我は殺せぬよ。憎しみ、怒り、悲しみ、今まで貴様が抱くべき感情達だ。それが分からない貴様は、ただの生きる屍よ』


「………屍、は動かない」


 魔王の煽りに対しても顔色ひとつ変えず。魔王の話を聞いていた。それを見かねた魔王は考えた


『ふむ、これでもやはり無駄……か。なら貴様には強制的に我の前から消えてもらう』


「何を言っているんだ?」


 この勇者を未来へ送ったらどんな事になるか。


 『お主も知っての通り。我は時と死を司る魔王だ。故に死なない。だがもしお前が俺と次に会う時、様々な感情を見せてくれたら俺を殺す術を教えてやる。期限は俺の気分次第。さぁ!我をとことん楽しませてくれよ!』


 そう言い放ち魔王は勇者に一つの魔法を解き放った。


その出来事は一瞬で勇者でさえその魔法を回避する事は不可能だった


「何を……した、、」


 体が光り、粒になって消えていく勇者に対して魔王は一言勇者に言った


 『俺に絶望を見せてくれよ』


 その言葉が勇者の耳に入ると同時に意識がプツリと途切れた。

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