第七話『為動機神体』 序
鈍い
「何を……言っているんだ?」
困惑する
彼女は一旦車から離れると、シャッターの上に備え付けられた丸いカメラを見上げた。
『顔認証、照合しました。次に指紋を照合願います』
スピーカーから聞こえてきたのは
続いて彼女はシャッターの脇に移動すると、パネルに手を当てた。
『指紋認証、照合しました。最後に合言葉にて声紋照合願います』
「使命は地球より重い」
『三重認証完了、解錠します。どうぞお入りください、同志よ』
セキュリティシステムの真新しさに似つかない、金属の耳障りな
「
「
「
そういえば、例の冊子に「
だが、そんなことよりも
彼女はそんな
『乗り入れを確認しました。施錠します』
再び不快な音を立て、シャッターが閉まっていく。
そこは乗用車数台が収納出来る広さの、冷たいコンクリートで固められた部屋だった。
「そんな確認をしてどうするんだよ? 昨日は
「いいえ、残念ながら」
「
「くっ……」
聞きたくない言葉に、現実に、
どうやら
「まあ今の
シャッターが閉じ切ると同時に、部屋の床が地中深くへとゆっくり降下し始めた。
「少し、つまらない話を致しましょう。若い
床の降下が停止し、照明が
かなり長く続いているようで、通路に備え付けられた頼りない明かりでは終端を見通すことが出来ない。
「
「あ、ああ……」
⦿
ほんの少し、
そういう気持ちで改めて彼女をよく見ると、その容姿は
背筋を伸ばして歩く姿勢は張り詰めた糸の様に
メイド服にも隠し切れない肉付きを備えた背の高い体も、無機質で冷たい印象を与える整った顔立ちも、
メイド、という属性には
そんな
「
「
「
所属する組織に背信しようとしている人物が、元から偽名を使っている――つまり、最初から組織の
「まあ、本来の
正直、右派の政治団体、というものに
高校の頃は二度襲われたし、大学でも友人を惑わしているという思いが強い。
それで、本題ではない事だし、今は彼女の政治的な
「
「
「手伝いという程の事では御座いません。
まだ姉の事を憎からず思っているのだろう。
「それで……
今、航は
彼女もまた
「
「
丁度、長い通路に終わりが見えてきた。
目の前には扉が設けられており、
「その為に、どうぞ
開け放たれた扉の向こうにはとんでもない物が待ち受けていた。
「凄え……!」
扉の向こうは、だだっ広い格納庫だった。
それはたった一つの兵器の為に設けられていた。
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