第65話 コールドスリープのカプセル

 ノアが呟いた。


「特殊能力だ。最近の子に増えている。親とかには無かった珍しい能力を発現するんだ」


「そうなんだ。凄いわね」とマーキュリー。


「それにしても、これがジーンなんだ。とてもベータ1を率いた史上最高の人間という感じには見えないな」


 するとリズが言う。

「普通に綺麗な人って感じですね。この方のクローンが今もこの島のどこかで眠ってられるという事ですね」


 アルバムのジーンは、まるで未来のマーキュリー達が見ていることを知っているかのような笑顔を見せている。


「僕、どこにいるか多分わかるよ」今度はソラだ。


「えっ‼ 本当か?」


 ソラの言葉に大人が再び驚愕する。


「うん。 見て探すことができるよ」


 ウミが言った。


「ソラってば、最近かくれんぼしてもすぐ他の子をみつけちゃうの。凄すぎてつまんない」


 ノアは恐る恐るソラにお願いした。


「よーし、ソラ。じゃあ、このジーンって言う人は島のどこかにカプセルで眠っているんだけど探してくれるか?」


「うん。ちょっと待ってて」


 そう言うとソラもウミと同様目を瞑って、ジーンの写真に意識を集中した。そして頭の中で島のあちこちにカプセルが無いか探す。


 その間に、ノアはマーキュリーに小声で話す。


「いや、驚いた。この二人にこんな能力があるなんて、今までの子達の超能力よりレベルが格段に高い。ベータ2のフルの能力を超えているかも」


 マーキュリーも答えた。


「調べた方がいいかもよ。それこそ千年前では無いけれど、また突然変異の時代が来るかもしれない」


「ああ、同感だ」


 そしてソラが言った。


「わかった。海岸沿いにある。ほら穴の奥に3つのカプセルが隠されている。近くに釣りをしているおじさんがいる」


「TJだ!」マーキュリーとリズが同時に叫んだ。


「ソラ、ウミ、ありがとう。大発見だ。これはたいへんな事になるぞ」

「いい事?」

「もちろんだ。君達の先祖の英雄が見つかった」

「やった!」


 ノアは二つの墓碑の前に立って言葉をかけた。


「スカイ、レナ。君達の仲間が見つかったよ。千年の眠りから覚めるかもしれない」


 リズがTJに連絡を入れる。


「TJ、TJ、緊急連絡!」

「何だ?」

「そこの近くにほら穴があるでしょ」


「え? うーん。あ、あるね。ちょっと離れたところ」

「そこへ行って奥を探って頂戴。カプセルがあるはず」

「何のカプセル?」


「コールドスリープの、三人が眠っている」

「何っ!?」


 TJはずっこけて海に落ちた。ずぶぬれでまたボートに上がる。


「何やってんのよ。見つけたら連絡して。回収に行くから」


 TJはほら穴に入って奥の方へ行った。あった。カプセルだ。LEDが点滅している。稼働している。リズによると千年も凍結されているということだ。


「リズ、あった。これ凄いよ……」

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