第25話 モンスター(スカイとレナ :3)

 スカイはレナが伝達した内容に驚き、唇をかみしめて言った。


(レナ、君の過去も相当のものだな。アイリスに出会って良かったな)

(あなたに比べればまだましよ。私にはアイリスという同じ種がいるけど、あなたは一人きりだからね)


(これからリリアムに行けば君達も落ち着くだろうな)

(いいえ)


 レナは否定した。


(今日の騒動でもわかるでしょ。他のベータの子達、施設の時と同じで私とアイリスを化け物を見るような目で見てたわ。あの子達もそう言われてきたのにね、皮肉だわ。たぶんアイリスと私はリリアムでも孤立するの。誰から見ても私達二人はモンスターなのよ)


「そんな事はない!」


 スカイは突然、声を発した。レナもエリスも驚く。スカイはレナの心境を自分が置かれてきた立場に重ねてしまったのだ。


(ごめん、興奮した。自分と違うからモンスターなんておかしい。能力の違いなんて、本来重要じゃない。そんな事を気にするのは原始人だ)


 その時、キリーがアイリスとの話を終えてつかつかと歩いてきた。


「スカイ、俺は先に変えるぞ。おちびちゃん、またな」


 キリーは通り過ぎる際に軽く声をかけただけで、去って行った。

 レナはキリーを目で追い終わると、気を取り直してスカイに伝える。


(スカイ、わかった。そう言ってくれると多少は気が休まる。もしリリアムの生活で問題が生じる様だったら、私は何か行動を起こすわ。アイリスと二人でよく考える)


(また会えるか?)

(無事生き延びていたらね。さすがに9歳とか10歳で死にたくはない)

(じゃあ、また会おう。テレパシー仲間のよしみでな)


 スカイが立ちあがった。エリスが言う。


「ずいぶんと長い沈黙の会話ね。内緒話、し放題じゃない?」

「何を話したか知りたいか?」


「いいえ、あなたたちの間の大事な話でしょ。二人の目を見てればわかるわ。でもね、はたから見ると、兄と妹の長時間にらめっこにしか見えないよ。どこかの大衆芸みたい」

「そっか。変だよな」


 アイリスが近づいてきたのを見てエリスが言った。

「スカイ私達もそろそろ帰りましょう。アイリス、レナちゃん。色々話したようだけど、もういいかな? リリアムでも元気でね。サーシャさんにもよろしく言っておいてください」


「はい。ではみなさんもお元気で」

 アイリスはそう答えると、レナと手を繋いで空港奥へ去って行った。




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※アイリス、レナなど一部の年齢設定を引き上げ改稿しました。申し訳ありません。

 (さすがに無理がありました。。)

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