10

 白湯紅は見れば見るほど、惚れ惚れするくらいに美しい女性だった。(きっと生まれたときから今の紅お嬢様に成長するまで、ずっと美しかったに違いないと思った)

 赤い椿の模様のはいった着物を着ている紅お嬢様は本当に美しくてまるで芸術品のようだった。(ガラスケースに入っていても不思議ではないくらいだった。精巧に作られた等身大の人形のようにも見えた)

「翠。髪をとかして、そのあとでお化粧をしてくれますか?」と紅お嬢様は言った。

「はい。かしこまりました。紅お嬢様」と緊張した声で翠は言った。

「ありがとう。翠。あなた本当に綺麗な指してるね」とお化粧が終わったときに紅お嬢様は言った。

「翠。今日は私の遊びに付き合って」

 部屋を出るときに紅お嬢様は翠に言う。(これは命令であり逆らうことはできない言葉だった)翠は「かしこまりました。紅お嬢様」と頭を下げて言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る