「お酒が飲みたいわ。碧。シャンパンがいい」と紅お嬢様は言った。

「まだお昼ですからお酒はだめですよ。紅お嬢様」

 碧は紅お嬢様のグラスに炭酸の入った水を入れる。

 今日のお昼のメニューは(すごくいい匂いのするソースのかかった)お魚だった。

 それに焼きたてのパンとサラダ。透明なお皿の上にはいろんな種類のフルーツが盛り付けられている。

 紅お嬢様はつまらなそうな顔をしてぶどうをひとつ指でつまんで自分の口の中に放り込んだ。

「夕ご飯はお肉が食べたい」と(銀色のナイフとフォークを使って)お魚を食べながら紅お嬢様は言った。

「かしこまりました」小さく頭を下げながら碧が言う。

 紅お嬢様はとても優雅な仕草でお魚を自分の小さなお口に運んでいく。

「今日のお魚。美味しいわね」紅お嬢様は言う。

「本日の料理当番は翠です」と翠を横目に見ながら碧は言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る