第12話 喰らう
永世中立聖都の聖女は、ある意味で地上の人類たちから手厚く保護された存在。
その身は連合国から保証され、他国へ訪れたならば国賓級の歓待を受ける存在でもある。
それはもはやクラスホルダーや勇者とはまた別の領域の存在であり、その身に何か危害を与えるようなことがあれば、その者は大重罪を課せられ、またその国は連合国すべての国から大きく信頼を損なうとまで言われるほどである。
「お前を犯すぞ?」
そんな聖女の衣を剥ぎ、裸にし、その身体を凌辱するということがどれほどのことか。だが、そんなデイモンの言葉に聖女は頷いた。
「はい。経験はありませんが、最低限の知識はあります。拙いところはありますが……精一杯……そしてあなた様も御心のままに」
「ッ!?」
床に押し倒し、裸にされた聖女の顔を、そしてその瞳を真っすぐ見るデイモン。
デイモンを見つめ返す聖女の目は……
「……お前、本気か? 神に捧げた―――」
「もはや神のものではありません。私の全ては……生涯あなた様のものです」
「ッ!?」
「施しではなく、これがあなた様の生涯を奪った私が差し出せるものの一つ……対価としてとても釣り合うものではありませんが、どうか少しでも私の身体を使って思いの丈を……」
すると、聖女は自ら手を胸に当てる。
胸を覆う下着は谷間の部分をひっかけるような作りになっており、簡単に外れる。
そしてその手はそのまま、自身の腰元に。
腰元が紐になっている白い下着は、聖女が紐を引っ張るだけで簡単に解ける。
「あっ……」
それは、経験のないデイモンにとっては、生まれて初めて見る、女の生まれたままの姿。
肌も、胸のふくらみも、形も、そして―――その他全ての部分がデイモンの雄としての本能を刺激する。
思わず生唾飲んで、この美しすぎる女の身体を自分は好きなようにできるんだという欲望に胸が高鳴る。
「……どうぞ……」
そして何よりも、無表情を装いながらも、聖女の身体がほんの僅かに震えていることをデイモンは見逃さなかった。
無表情だからと言って無感情なわけではない。
ましてや、聖女自身も初めての経験であるのなら、何とも思わないわけがないのだ。
さらに、羞恥心だってあるだろう。
そう思うと、デイモンの中で何かがこみ上げて来た。
「手で隠すんじゃねえ……」
「……申し訳ありません……いかがでしょうか?」
まさに文字通りすべてを曝け出した聖女。
隠しているものなど何もないと、『両手足を広げ』て、いつでもデイモンを受け入れられるように示す。
どうやら聖女も本気でヤル気なのだということをデイモンは理解する。
だが、そこでデイモンはハッとする。
ソレを悟られないように、そして自分の浅さを心の中で叫ぶ。
(ふざけんな、見惚れてんじゃねえよ、俺は! この女はクソだ! 最低最悪のゴミみてーな女だ! 何が償いだ! こんな女の体一つでどうにかできるもんじゃねーんだぞ、俺が失ったものは! ふざけるなふざける! ただ抱くだけじゃ許さねえ! 徹底的に壊して、泣かせて、死んだ方がマシだと思えるような屈辱、それすらも生温い! ふざけるなふざけるなふざけるな! 壊してやる! くそ、緊張してんじゃねえよ、情けねえ! 俺の憎しみが女の裸一つで薄れてんじゃねえよ! これが女のおっぱい! ……って、だから違うっての!)
そう自分に言い聞かせ、改めて無理やり意識しながら残虐な笑みを浮かべようとするデイモン。
「ぐわははは……そうかい! じゃあ、ヤッてやるよ! 優しくしてもらえるなんて思うんじゃねえぞ! お望み通り――――」
デイモンは欲望のまま、聖女の身体に手を伸ばそうとする。
(くそ、もういいや、構わねえ! まずは好き放題ヤッてやる! 小ぶりだが、この形の整った美乳! 吸い付くような肌! 尻も、太ももも、そして……くそ、死ぬほどヤリまくってやる! ヤリまくってやる! 俺のモノだ、死ぬほど―――)
しかし、その時デイモンの頭に不意にあることが過ぎる。
――私~、とうとうデイモンくんに食べられちゃうんだね♪
自分にはこれまで「そういうチャンス」はいくらでもあったが、頑なに拒否してきたのは、勇者になって心に決めた人と最初はしたいという気持ちがあったからだ。
だが、そのことを思い出すと同時に必ず過ってしまうのは……
――セクンドくん~~っ♥
憎しみのまま聖女に手を伸ばそうとした瞬間、自分が惚れた女が、自分以外の男と裸で抱き合って行為に浸っていた光景を鮮明に思い出してしまった。
デイモンはその光景を思い出すだけで、こみ上げた興奮が一気に失せ、代わりに心を掻きむしるような思いがこみ上げた。
「うァ……う……う……」
「……え? ……ッ!?」
「何でだよ……俺はずっと我慢して、あの人のために……全部失って、失意の底で俺はあの人以外の女に興奮してんだよ……こんなにどん底なのに……腹も減るし、エロい事もしたがるし……何なんだよ俺は……」
聖女の頬に水滴が落ちる。
聖女もハッとして驚いたような顔をする。
その聖女の頬に零れた水滴が、自分の涙だったことにデイモンは気づいていない。
それよりも、何年も我慢していた行為や、ずっと好きだった人や将来、全てを失った悲しみのどん底に居るのに、節操なく興奮している自分自身にデイモンは苦しくて仕方なかった。
だが、その涙が……
―――どきゅぅぅぅぅぅうん♡♡♡♡♡♡
事態を意外な方向へと導き……
「///////////」
涙で目が潤んでいるデイモンには見えていない。
聖女の頬が真っ赤に染まっていることを。
そして、聖女はそのまま両手をデイモンの首に回し……
「―――――――!?」
次の瞬間、デイモンは何が起こったかまた理解できなかった。
ただ、今まで味わったもののないものが自分の口の中で何かが大暴れしている。
「ん、ちゅぶる、ちゅぶ、じゅぶ、じゅぶる、ちゅぶ、ちゅぶちゅぶじゅる」
いやらしく淫らな液体がビチャビチャと音を立てている。
抱きしめられている感覚。
聖女の顔と自分の顔がくっついている。
唇が重なり合っている。自分の口内に何かが侵入している。
今自分が何をされているのかを理解する前に、何か吹っ切れたかのようにデイモンは自分の着ていた服を全て脱ぎ捨て、
「うおおおおおお!!!!」
目の前の美肉を喰らった。
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