第2話 首の長い怪物 💀1

 鬱蒼とした森の奥にあるコテージにパーティーはやって来た。

 アレックスはドワーフから教えられた情報を思い出していた。全国のありとあらゆるところに『悪魔のカード』ってものが散りばめられているそうだ。

 そいつを集める度に、1枚につき1日不死身になるそうだ。

 残念ながら1日を経過しており、火炎の魔法は使えなくなっていた。

 

 ローズのスキル

1. **火炎ブラスト**:炎の魔法を操り、敵に強力な火の攻撃を放つスキル。

2. **氷結の風**:氷の魔法の力を借りて、敵を凍てつかせるスキル。

3. **雷神の加護**:雷の力で体力を回復し、同時に味方全体にバフをかけるスキル。

4. **森の加護**:大地の力を感じながら、自然の恵みで味方を癒すスキル。

5. **闇の呪い**:暗黒の力を呼び起こし、敵を呪い攻撃するスキル。

6. **光の加護**:聖なる光を放ち、味方の防御力を強化するスキル。

7. **霧の幻影**:幻の霧を操り、敵の視界を混乱させるスキル。

8. **魔法盾**:魔法バリアを張り、味方を魔法攻撃から守るスキル。

 

 アレックスは草叢から『サキュバス』のカードを手に入れた。サキュバスまたはサッキュバス(英: Succubus、英語)は、性行為を通じて男性を誘惑するために、女性の形で夢の中に現れる(中世の伝説にまで遡る)民間伝承における超自然的存在。

 キリスト教の教義ではサキュバスは悪魔扱いで、天使や悪魔は実体を持たない霊的存在であるとされるため夢魔とされたのだが、後にサキュバスは夢の中に出現せずに肉体を持った状態で登場することが多くなった。その肉体的な正体に関しては、悪魔であるので「死体を利用して憑依している」「魔的な方法でセックス用の肉体を構築している」「やはり霊体であり、性交時の肉体だと思っているのは幻覚である」との説。また、17世紀イタリアの神学者ルドヴィコ・マリア・シニストラリ(1622年 – 1701年)は著書にて、「インキュバス・サキュバスは悪魔ではなく、人間とは別の種類の理性的な動物」としている。


 宗教的な伝承においては、サキュバスとの繰り返しの性行為は健康や精神状態の悪化、あるいは死をももたらすと考えられている。現代の表現ではしばしば非常に魅力的な誘惑者または魅惑的女性として描写される。一方、過去にはサキュバスは一般的に恐ろしいもの、悪魔的なものとして描かれていた。


 サキュバスの容姿に関しては魅力的で美しい女性であると言われるが、これは「幻影や魅了でそう思わせているだけで、実体は醜い」との説もある。また、男性形のインキュバスとは表裏一体で、サキュバスの姿で男性から精液を採取し、それをインキュバスに変身後に女性へと注いで望まぬ妊娠をさせる存在とトマス・アクィナスは『神学大全』で記述しており、両性具有の同一者であるとも言われている。


 凜は『フェンリル』のカードを手に入れた。

 フェンリル(Fenrir、「フェンに棲む者」の意[は、北欧神話に登場する狼の姿をした巨大な怪物。ロキが女巨人アングルボザとの間にもうけた、またはその心臓を食べて産んだ三兄妹の長子。彼の次にヨルムンガンドが、三人目にヘルが生まれた。


 神々に災いをもたらすと予言され、ラグナロクでは最高神オーディンと対峙して彼を飲み込む。


 語尾に『狼』をつけてフェンリス狼(Fenrisúlfr)、フェンリスヴォルフまたはフェンリスウールヴ(フェンリル狼)とも呼ばれる。


 別名にフローズヴィトニル(Hróðvitnir、悪評高き狼の意)やヴァナルガンド(Vanargand、ヴァン川のガンド)などがある。


 土星の第41衛星フェンリルの由来である。


 初めは普通の狼とほとんど違いがなかったため、アース神族の監視下に置かれることとなったが、彼に餌を与える勇気があったのはテュールだけだった。しかし、日に日に大きくなり力を増してきたのと、予言はいずれも彼が神々に災いをもたらすと告げたため、拘束することを決めた。


 神々はフェンリルを拘束するために、レージング(Læðingr、革のいましめ)と呼ばれる鉄鎖を用意したが、フェンリルはそれを容易に引きちぎった。続いて、神々はレージングの2倍の強さを持つ鉄鎖、ドローミ(Drómi、筋のいましめ)を用いたがこれもフェンリルは難なく引きちぎった。そのため、スキールニルを使いに出してドヴェルグ(ドワーフ)に作らせたグレイプニール[注釈 2]という魔法の紐を用いることにした。


 グレイプニルは、猫の足音、女の顎髭、山の根元、熊の神経、魚の吐息、鳥の唾液という六つの材料から出来ていた。アースの神々はアームスヴァルトニル(Ámsvartnir)湖にあるリングヴィ(Lyngvi)という島で、紐が見かけよりも強いことをフェンリルに示し、試しに縛られるように彼に勧めた。フェンリルはこの紐も切れないようなら神々の脅威たり得ないから解放すると言われたが、一度縛られたら助けを得ることは難しいと考え、約束が間違いなく行われるという保証として誰かの右腕を自分の口に入れることを要求した。神々の中からテュールが進み出て彼の右腕をフェンリルの口の中に差し入れた。


 縛られグレイプニルから抜け出せないことに気付いたフェンリルはテュールの右腕を手首の関節のところで食いちぎったが、神々は素早くゲルギャ(Gelgja、拘束)と呼ばれる足枷から綱を伸ばしギョッル(Gjöll、叫び)と言う平らな石にフェンリルを縛り付け、石を地中深くに落とし、スヴィティ(Þviti、打ちつけるもの)と言う巨大な石を打ち込んで綱をかける杭にした。フェンリルは暴れてこれを噛もうとしたので、神々は下顎に柄が上顎に剣先がくるように剣を押し込んでつっかえ棒にした。開きっぱなしになったフェンリルの口から大量の涎が流れ落ちて川となった、これはヴァン(Ván、希望)川と呼ばれる。


 こうしてフェンリルは捕縛されたもののラグナロクには自由になり、神々との戦いの場となるヴィーグリーズに進む。その口は開けば上顎が天にも届き、目や鼻からは炎を噴き出しており、オーディンと相まみえて彼を飲み込むが、直ちにオーディンの息子ヴィーザルに殺される運命にある。このとき彼は下顎を靴で踏みつけられ、上顎を手でつかまれ口から上下に引き裂かれる。巫女の予言では、剣で心臓を貫かれるともいわれている。


 イアールンヴィズ(鉄の森)にいる老婆がフェンリルの一族を生み、それらのうちのスコールがソール(太陽)を、ハティがマーニ(月)を追いかけている。彼らから逃れるために太陽と月は馬車を走らせ、これが太陽と月の運行を司る形になっているが、ラグナロクではそれぞれソールとマーニとに追いついてこれを飲み込むといわれる。

 

 アレックスと凜は首の長い怪物との遭遇に驚いた。怪物は不気味な笑みを浮かべながら二人に近づいてきた。その首は伸び縮みし、不気味な音を立てながら動いた。


 アレックスは勇者から受け取った聖剣を手に取り、凜は火炎の魔法を構えた。怪物は二人に向かって突進してきたが、アレックスの一撃で聖剣が怪物の首を切断した。


 首の長い怪物は悲鳴をあげて消え去り、その姿が消失する際、地面に何かが転がっていた。アレックスと凜がそれを拾い上げると、そこには謎めいた時空シールがあった。『1845』

「これは…新たな冒険の始まりか」とアレックスがつぶやいた。

 悠馬がシールを拾った。「こんなところにあったのか。天保の飢饉ってのは酷いもんだ」

 天保年間には全国的な凶作による米価・物価高騰や天保の大飢饉、百姓一揆や都市への避難民流入による打ち壊しが起こっており、天保7年(1836年)には甲斐国における天保騒動や三河加茂一揆、翌天保8年(1837年)には大坂での大塩平八郎の乱などの国内事情に加え、阿片戦争やモリソン号事件など対外的事件も含め、幕政を揺るがす事件が発生していた。


 天保8年(1837年)、将軍徳川家斉は西丸に退隠して大御所となり、徳川家慶が将軍に就任した。老中首座の水野忠邦は天保9年(1838年)には農村復興を目的とした人返令や奢侈の禁止を諮問したが、大奥や若年寄の林忠英、水野忠篤、美濃部茂育ら西丸派(家斉の寵臣達)による反対を受け、水戸藩主徳川斉昭による後援も得たが、幕政改革は抵抗を受けていた。


 天保12年(1841年)に大御所であった家斉が薨去すると、水野忠邦は忠英・忠篤・茂育ら西丸派や大奥に対する粛清を行って人材を刷新し、農本思想を基本とした天保の改革を開始した。同年5月15日に将軍家慶は享保・寛政の改革の趣意に基づく幕政改革の上意を伝え、忠邦は幕府各所に綱紀粛正と奢侈禁止を命じた。改革は江戸町奉行の遠山景元・矢部定謙を通じて江戸市中にも布告され、華美な祭礼や贅沢・奢侈はことごとく禁止された。


 景元・定謙の両名は厳格な統制に対して上申書を提出し、見直しを進言したが、忠邦は奢侈禁止を徹底し、同年に定謙が失脚すると後任の町奉行には忠邦腹心の目付であった鳥居耀蔵が着任した。物価高騰の沈静化を図るため、耀蔵は問屋仲間の解散や店頭・小売価格の統制や公定賃金を定め、没落旗本や御家人向けに低利貸付や累積貸付金の棄捐(返済免除)、貨幣改鋳を行った。

 

 悠馬が「久しぶりだな? 人の約束すっぽかして不倫か!?」と、泣きそうな顔になった。

「不倫なんてしてないって!」

 凛は頬を膨らませ怒ったあと、経緯を話した。

「そんなことがあったんだ!? 鎌倉時代か、弁慶とは会った?」

「まだ」

 凛は遠藤が無事なこと、内田が凄惨な死を遂げたことを話した。悠馬、内田、遠藤の3人は吹奏楽部、凛だけはバレーボール部だ。和泉先生はバレーボール部の顧問だ。

 凜はバレーボール部での活動を思い出しながら、過去の試合や練習の思い出が脳裏によみがえる。3年生になっても練習に励みながら、チームとの絆を深めていたことを振り返る。バレーボールへの情熱と共に成長していった凜は、チームメイトとの協力や助け合いが大切だと感じていた。


 一方、悠馬は吹奏楽部での活動を回想している。3年生として部活動に取り組む中で、指揮者やメンバーとの一体感や音楽表現の楽しさに溢れていたことを思い起こす。音楽にかける情熱と、仲間との結束が、悠馬を支えてきた重要な要素であったことを再確認する。


 凜と悠馬はそれぞれの活動を通じて成長し、友情やチームワークの大切さを学んできた。高校3年生としても、新たな目標に向かって共に進んでいくことで、さらなる絆を築いていくことになるだろう。


凜は時空シールをじっと見つめ、未知の世界への扉が開かれる予感を感じた。

「次はどんな世界が待っているのだろう」と凜は興奮気味に語った。


アレックスと凜は、手に入れた時空シールを使い新たな冒険の扉を開く決意を固めた。次なる世界で待ち受ける謎や危険に立ち向かうため、彼らの壮大な冒険はさらなる展開を迎えることになるのだった。


 果たして、彼らの冒険はどのような結末を迎えるのか。新たな世界で彼らを待ち受ける運命や試練とは一体何なのか。次なる冒険に期待が膨らむ瞬間だった。


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