第2話 2度目の国際恋愛〜歳上のタイ人①〜

中学高校生の時に出会ったタイ人の美人姉妹。


男子校だった僕はその時小学生ぶりに同い年の女子と話をした。


とはいっても、僕も姉妹も英語が中途半端で簡単な会話しかできず、コミュニケーションの大半を笑顔と手振り素振りで完結させていた。


そんな姉妹との出会いをきっかけに、海外に興味を持ち、外国人女性との恋愛を夢見るようになった。


当時まだFacebookが流行り始める前で、連絡手段もなかったため、タイ人姉妹との恋愛は、進むことがなかった。


大学生になって、Facebookが世界的に流行りはじめてようやく、彼女たちと連絡が取れた。


彼女たちも僕とのコミュニケーションを円滑にするために英語や日本語を学んでいた。


そのことにうれしく思った僕だったが、既に大学に通い始めて、同い年の日本人の女性との出会いやネット上で見る世界の美女たちを見て、僕の恋心は他へ移っていた。


当時気になっていた女の子は同じ学部に通う斉藤さんという日本人である。


一目惚れだったものの、長年男子校に通って女友達のいなかった僕はその子へ話しかけることができずにいた。


結局卒業間近になってその子は留学してしまい、せっかく女友達をつくるチャンスを大学で得たにも関わらず、4年近く誰とも付き合うことはなかった。


部活の飲み会で留学生の韓国人女性たちからは


「韓国では男からアプローチするのが当たり前。君はなんでアプローチしないの!?」


とお叱りを受けるほど僕はびびりだった。


そんなびびりだった僕だが、斎藤さんが留学に行ってしまったことをきっかけに、僕も自分のやりたいことをやるという意志が芽生え、タイのとある企業にインターンをすることにした。


それが大学生4回生の時だった。


僕は休学して、1人でタイに渡った。


タイであった理由はシンプルだ。


旅行で何度も行った国だし、なによりモテる!!!


ただ、久しぶりに渡航したタイは少し僕のイメージと違っていた。


たしかにモテたのだが、中学生高校生の時ほどではない。


考えてみれば、キャーキャーわめきながら知らない人に声をかける勇気を持ち合わせているのはせいぜい高校生までだった。


なんとなく期待外れ感を抱えつつも事務所に行った。


タイ人らしく笑顔でみんな迎えてくれ、英語ができないスタッフもとても優しく接してくれた。


僕がモテたのは職場だった。


10歳以上歳の離れたおばちゃんたちに


「あなたいい顔してるわねえ」


と、ゲラゲラと大声で笑いながら話しかけられた。


また、おばちゃんの中には真剣にデートに誘ってくれた方もいた。


残念ながら、体型的にも年齢的にも遠慮せざるを得なかった。


職場に歳の近い人はおらず、平均35歳くらい。


友達として仲良くなれるような歳の人はいなかった。


そのためか、同じ部署の先輩達が気を使ってお昼に誘ってくれたり、週末ドライブに誘ってくれた。


僕は初めての一人暮らしだったこともあり、不安感が強かったが、周りの気遣いにとても感謝した。


とはいえ、なかなかどこで友達をつくればいいのかわからず、また、タイ語が理解できないことからどこかしらで壁を感じて孤独だった。


精神的な疲れもあったのだと思う。


一年のインターン生活なのに着いて早々40度の熱を出した。


不安と孤独な気持ちは増す一方だった。

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