第15話 休息

「……ん。」

 

 目が覚めるとそこはシャル達のキャンプだった。

 どうやら俺は気を失い、ここまで連れてこられたようだ。

 

「お。目が覚めたようだね。」

 

 すると、テントにシャルが入ってくる。

 

「君が気を失ってからというもの……レインが大変だったんだよ?」

「レインさんが?」

 

 シャルの目線の先を見る。

 すると、レインが俺の寝ているベッドに突っ伏して寝ていた。

 

「君は高熱を出してね、一日中ずっと寝ていたんだよ。レインは寝ずに看病していたんだ。まぁ、寝てるけど。」

 

 高熱まで出していたとは。

 俺の想定以上に疲労していたのか。

 これまでの疲れもまとめてきたのかもしれないな。

 レインさんはすぅすぅと寝息を立てて眠っている。

 この人には本当に感謝しなくては。

 

「……あの後、どうなったんですか?」

「レインが君をここまで『ワープ』で連れてきた。そして、レインはすぐに私達のところに戻ってきて主要なメンバーを『ワープ』させた。後処理は他の数名に任せてね。」

 

 シャルは近付き、頭を撫でた。

 

「今回の勝利は君のお陰だ。ありがとう。」

「……いえ。」

 

 すると、レインが目を覚ます。

 

「……ん?隊長……。あれ?私……寝てた?」

 

 寝ぼけていた彼女も段々と目を覚まし始める。

 

「……え!?ア、アルフレッド君!?目が覚めたの!?」

 

 レインは自分のだらしない様子に気が付き、よだれを拭き、髪を整えた。

 

「よ、良かったぁ……。」

 

 レインは涙を流し始める。

 

「ちょ、ちょっとレインさん!?」

「何も泣かなくても良いんじゃない?」

 

 これには流石にシャルも呆れる。

 

「だ、だって……。目が覚めないんじゃ無いかって……。私ぃ……。」

「……ありがとうございます。レインさん。」

 

 レインは涙まじりにこちらを見る。

 

「あなたがいなければ俺は死んでいました。看病もしてくれていなければもしかしたら死んでいたかも。あなたは命の恩人です。」

「ア、アルフレッドくぅん……。」

 

 最後に俺の眼の前に現れた頼れるお姉さんは今やポンコツお姉さんに成り果てている。

 が、そんな人に命を救われたのだ。

 

「でも、これからは自分の身も大事にして下さい。もう命を救ってもらったことで父への恩返しもしてもらいました。無理に俺を守らなくても大丈夫ですから。」

「え……。」

 

 すると、レインはあからさまに悲しそうな顔をする。

 

「えぇ……。」

「レ、レインさん?」

 

 シャルが肩に手を置いてくる。

 

「アルフレッド君……。多分レインは君の面倒が見たいんだよ。純粋にね。」

「……成る程。」

 

 なら、仕方が無い。

 恐らく、何を言っても無駄だろう。

 というか、可愛そうだ。

 

「……じゃあ、これからもよろしくお願いしますね。」

「う、うん!よろしく!」

 

 では、今後も頼らせてもらうとしよう。

 彼女が仲間なのは大変心強いからな。


「まぁ、君は暫く休みたまえ。村の状況は我々で探っておく。今は休んで英気を養うんだ。」

「分かりました。お言葉に甘えるとしますよ。」

「な、何か困ったことがあったら言ってね!」


 まぁ、レインさんがいるのならば不自由は無いだろう。

 

 

 

(主様。ご報告ですが、あの新人騎士のスキルを奪うことが出来ました。あの場でご報告出来ずに申し訳ありません。)

「そうだったのか。まぁ、仕方が無いしな。」

 

 落ち着いてから、ティルの報告を聞く。

 

(奪ったスキルは『模倣』。地味ですが、相手の行動や言動等を習得することが出来るスキルです。)

「……本当に地味だな。」

 

 そんなスキルをどう活用したものか……。

 悩みどころだな。

 

(こちらのスキルは相手の剣技等も習得が可能なようです。うまく使えば自身の戦闘能力の向上や潜入にも使えそうですね。)

「成る程。じゃあ、色々と試してみるべきだな。」

 

 これならシャル達の戦闘訓練に参加してみても短時間で効果が出るかもしれない。

 試して見る価値は十分にあるな。

 

 

  保有スキル

 

『隠密』     強制的に相手の認識外になる

『不意打ち』   相手が認識していない場合攻撃力が二倍。

『奇襲』     相手が認識していない場合攻撃力が五倍。

『俊足』     発動してから三十秒間、速度が五倍。

『回復』     致命傷以外なら即座に回復可能。

『ファイアボール』火の玉を放つ。

『ライトニング』 雷撃を放つ。

『模倣』     相手の動き、言動等を習得出来る。

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