第6話 キャンプ Ⅱ

「ねぇ、来たけど?」

「あ……すみません。こんな夜更けに。」

 

 俺の腕を折った男と、フレンが密かに会っている。

 俺が痛めつけられた厩だ。

 

「実は……は、犯人が分かったんです。」

「……どうせアルフレッドでしょ?皆噂してるわよ。」

 

 男は首を横に振る。

 周りを気にし、フレンに耳打ちをする。

 

「犯人は、あなたですよね。」

「……はぁ?」

 

 そして、男は近づいた一瞬の隙にフレンの腕を縛った。

 近くにあったイスに座らせる。

 

「な、なんのつもり!?」

「カイルさんが教えてくれましたよ。まさか妹も殺すなんて……。」

 

 フレンは暴れる。

 が、男に押さえられる。

 

「ふざけないで!!なんで私がセラを殺すのよ!」

「カインさんはさすがですね。警察もつかめていない情報を持ってるなんて。もうすぐカイルさんが来ます。それまで大人しくしててもらいます。」

 

 男は暫く無言でフレンを見つめる。

 

「……少しくらい楽しんでもいいよな……。」


 男はフレンを押し倒す。

 

「……は?まさか、ふざけないで!やめて!」

 

 男はフレンの服を脱がそうとする。

 

「どうせ死ぬんだろ?いつも最後までさせてくれなかったじゃないか。生殺しにして、俺を見下しやがって……。カインさんの腰巾着のくせに。」

「ご、ごめん!謝る!謝るから!」

 

 すると、男の動きは唐突に止まる。

 そして、フレンの上に倒れる。

 男は息絶えていた。

 

「……え?」

「……ふざけすぎたか。あのまま見ていても面白そうだったがこいつに恐怖を与えるのは俺がやりたいからな。」

 

 ナイフが光る。

 この男のスキルを奪えたのか。

 

(スキル『回復』を奪いました。致命傷でない限り、傷を治せるようです。)

「……へぇ、思いがけず、いいスキルだな。」

「あ、あんた!アルフレッド!なんでここに!?」

 

 フレンは半分泣いている。

 無理矢理犯されそうになっていたのだから仕方が無いか。

 

「おいおい、強姦魔から助けてやったんだぞ。まずは礼が先だろ?」

「ふざけんな!誰があんたなんかに!妹を殺したくせに!」

「でも証拠がないんだろ?冤罪だよ。」

 

 フレンは言葉に詰まる。

 どうやらまだ証拠は出て無いらしい。

 こいつが馬鹿で助かった。

 

「で、でもこいつを殺した!」

「あぁ、もううるさいよ。ちょっと黙ってて。」

 

 フレンの腕を縛り付けていた縄を解く。

 

「え?」

 

 フレンは少し安堵の表情を浮かべた。

 が、俺は腕を思い切り反対に曲げる。

 

「ぎっ……。」

 

 悲鳴を上げようとした口に布を突っ込む。

 

「うるさくしないでよ?周りにきづかれるだろ。」

 

 さらに反対の腕も折る。

 

「あんたは自分で手を下さなかったから本当はこの男にやらせるつもりだったんだけどさ。やっぱり馬鹿は使えないな。カインの名前を出したら従順な犬みたいに簡単に動いてくれたよ。」

 

 ナイフを握り、『隠密』を発動させる。

 そして、思い切り腹を蹴る。

 骨が折れた感触があった。

 流石は隠密だ。

『隠密』を解除する。

 

「さて、そろそろ殺しとくか。楽しみすぎて誰かに見つかったら元も子もない。」

「まぁ、もう見つかってるけどね。」

 

 声のする方を見る。

 そこにはフードを被っている者が数名いた。

 明らかに敵だろう。

 どうやら、今回も簡単には行かないらしい。

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