第58話 エピローグ
ダリアさんたち高位ランク冒険者が炎の魔人を倒した頃、帝都のスタンピードも終息したらしい。
詳しくはまだわからないけれど、暫くは残りの逃げた魔獣討伐をしながら復興作業になるとのこと。
こんばんは、プルメリアです。
帝都の被害状況はわからないけれど、急ぎあった連絡をユッカ爺が受けていてペディルム伯爵家は全員無事だったらしい、けれど護衛隊に怪我人は出たらしくその中にラナンさんも居るというので、こちらが落ち着いたら一度帝都に顔を出したいと思う。
町中の溢れていた魔獣の遺骸は綺麗に回収されて、壊れた町を囲う壁も簡易だけれど補修をされている。
私たちは明日から周辺の魔獣残党討伐に出ることに決めた。
コリウスさんは休む間もなく、新しい指名依頼が入ったとかで「少しは休ませなさいよ!」とプリプリしながら旅立って行った。
ゆっくり話したかったけれど「また会えるわよ」と言っていたので、きっとまた会えると信じてる。
領主が奮発して噴水の広場を開放、無料で食事の提供をしてくれたので今は広場にてのんびり食事中です。
因みにダリアさんは宿の片付けに行っちゃいました、手伝いを申し出たのに「お客さんにそんなことさせれないからね」と拒否されてしまったので、結局は大人しく食事をします。
「ガウラ、随分強くなったね」
「そうでもないかな、まだ全然グラジオラスに届かねぇし、プルメリアは面白いことしてんな」
魔導書のことだろう、ガウラが興味あり気に聞いて来た。
「魔導書のこと?」
「ああ、そういうのって売ってたりすんのか?」
「滅多に売ってはないかな、私も見つけるのは廃墟になった塔とか屋敷とかからだし」
「なるほどなぁ」
マジックバッグから一冊取り出した魔導書を見せるとガウラは真剣な表情で魔導書を見ている。
「トレジャーハンティングってさ、俺今は古代遺跡とか回ってんだよ、こういうの見かけたら連絡する」
「いいの?」
「お、おう」
嬉しい申し出に思わず手を握って食いついた私に汗を掻きながらガウラが頷く。
「ちょ、お前、距離が近い」
ぐいっと手を引いて外してからガウラはぷいっとそっぽをむいた。
少し離れた場所ではブロワリアがフィカスさんと話をしている、ってか反省会かな?
最近のブロワリアはフィカスさんがライバルでもあるみたいで、時折フィカスさんが困ってるのを見かける。
まあフィカスさんは嬉しそうだから放ってるけど。
ユッカ爺は食事をかき込んで飛空艇の整備に向かっていった。
「プルメリアさぁん!ブロワリアさぁん!」
パタパタと軽い足取りでマリーさんが走って来た。
両手いっぱいに食べ物を抱えて。
「今回の防衛戦、ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げたマリーさんが顔をあげてニコリと笑った。
「でも本当すごいです!FランクからCランクまであっという間でしたもの!噂を聞いてまた会いたいなって思うばっかりで……姉にはよく会ってたんですよね」
「バオバブは廃塔が多いからね」
あの頃より少し砕けたお喋りに、懐かしさが込み上げてきた。
夜も更けてくると、防衛戦の疲れからか早々に冒険者たちはそれぞれの宿に戻って行く。
私たちもダリアさんの宿に戻るとダリアさんが暖かく迎えてくれた。
昔の話をしないダリアさんに、私とブロワリアは村で会った憧れの冒険者がダリアさんなのかを確かめないことに決めたので、プラムから帝都に行く船の便宜をはかってくれたことに礼を伝えた。
「まあ世話した船がマーマンに襲われたって聞いて驚いたよね」
「あれはビックリしましたね、でもかけがえ無い出会いもありましたから」
ブロワリアがそう言いながらチラッとフィカスさんを見ました。
ダリアさんもブロワリアの視線に気付いた様子で二人を温かい目で見ています。
「ピィ」
「おや、精霊じゃないか」
やっぱりダリアさんはわかるんだ……。
フードから飛び出したパンジーがダリアさんの周りをくるくると翔んでいる。
「ここらじゃあ珍しいね」
「でも卵を見つけたのはここの森なんですよね」
「そうなのかい?」
ふぅんと暫く考えていたダリアさんだったけどパンっと手を叩いて「ほら、疲れてるだろう?お喋りは明日!今日はもう休みなさい」と私たちを部屋に送った。
ダリアさんも疲れているはずなので、私たちも逆らわずに部屋に入る。
懐かしいベッドが二つある部屋でごろりとベッドに転がる。
「ここから始まったんだよね」
「うん」
「守れて良かった」
「ピィ」
パンジーの合いの手に私とブロワリアは顔を見合わせて笑った。
数日後、パフィオさんからそろそろ詳しい報告が欲しいと言われたので帝都に旅立つことになった。
帝都の街中は被害がなかったらしい、ラナンさんたち護衛隊の怪我も重いものはなく、近々パフィオさんたちは預かっている領地の被害状況の確認に向かうらしい、私たちにその護衛を頼みたいとも言われた。
通信の際にマーガレットたちの元気な姿も見れたけど、やっぱり会って無事を確かめたいから帝都に向かうことをすぐに決めた。
飛空艇はプラムの町の側に一旦停めて、そこから乗り込む段取りです。
見送りにダリアさん、マリーさん、ガウラが来てくれた。
「また、元気な顔を見せてちょうだいね」
「絶対また来てくださいね」
「近いうちに連絡すっからさ」
「はい、行ってきます!」
「ありがとうございます、行ってきます」
出立の挨拶をして私とブロワリアは飛空艇に乗り込んだ。
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