遺跡
洞窟の奥へと進むこと数秒、当然のように配置されているゴブリンをさっくり倒すと現れたドロップ品を拾う。
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鑑定結果:棍棒
耐久値:10/20
・装備品 非常に質の悪い棍棒。
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「ほえー、コレで処理も楽になるな。」
と言うわけで装備すると、またファンファーレが鳴り響く
二度目と言うこともあり、驚くこともなく鳴り響くファンファーレと現れるBOXを適当に眺める。
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鑑定結果:スキルオーブ(地図)
・スキル 自身の活動した場所をマッピング可能
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「さっき以上に面白そうなものが来たな……、こりゃ。」
なんともレアそうなアイテムが現れたことに若干驚きつつ、なんの気無しに触るとアナウンスと共に地図スキルを獲得したことを告げられる。
「……、コレじゃ達成感もクソも無いな。」
ただ与えられた物を得た結果のファンファーレなど、達成感も感動もクソも無い。
当然の話である。
「はぁ……、先に進むか。」
軽くため息を吐き、再度進む。
種族スキルである暗視のお陰で暗闇は問題にならず、襲い掛かってくるモンスターも大した強さでは無い。
新たに現れたモンスターを、棍棒で二、三発シバけばあっという間にポリゴン片と化す。
「弱えェ……。」
別に強い敵を望んでいたわけでは無いが、簡単に倒せると言うのもまたどうかと言う物。
最初の緊張感は2分程で消え、ここから何をしようかと言う思考で脳が埋め尽くされる。
「錬金術も試し……、お?」
洞窟の中に白骨の骸を見つけたのはそんな時だった。
一瞬、固まり解け息を吐く。
次に鑑定を行い、ソレの正体に首を捻る。
「なんだコレ?」
鑑定結果は簡単にも白骨の一つのみ。
正体につながりそうな情報は周囲の布切れしかなく、その他は全て消えて……、いや
「コレは……、杖か?」
大きな宝石が嵌まった杖を手に取り鑑定をかける。
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鑑定結果:宝杖
・深淵に向おうとした魔術師が作り上げた杖。いくつかのスキルが付与されている。
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ピコン♪
鑑定を行った瞬間、謎の通知音が鳴りプレゼントBOXが現れる。
「ん? あ、スキルのレベルアップ通知か!!」
コレはコレはと、喜びつつ先にスキルレベルアップの通知を確認していく。
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通知:初レベルアップ
プレイヤー『黒狼』がスキルレベルアップを達成したことを祝します。
称号『技能の経験を得た者』を配布します。
以降同様の通知は届きません。
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鑑定結果:鑑定 Lv.2
・スキル『鑑定』の上位。鑑定対象の情報がやや詳細に分かる。
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「……、微妙? 概要だけなのがより詳細……、データでも出してくれるのか?」
そう思い、骨を鑑定してみてもさっきと記されていることは変化なし。
他のアイテムも同様に見てみるが大差はない。
「現状では効果を実感できないな……。」
多少はガッカリしながら安易にレベルアップできる分効果も薄いと思い直し今度はプレゼントBOXを見る。
「さて……、今度は何が入っているんだ?」
さっきからいいアイテムが出ているこの現状で悪いアイテムが出るはずないと確信している黒狼はかなり期待しながら開けてみる。
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鑑定結果: 鍵
・ 鍵であり に存在する に入るのに必須アイテム。
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「はぁ?」
一部虫食いとなっている鑑定結果に、レベルアップで何が進化したのか疑いつつその効果にも疑問を呈する。
どこかを開ける、または入るのに必要なのは鍵である限り必然的なものであり態々鑑定結果として表記する理由がない。
となれば、答えは一つ。
「まさか、コレ……。ゴミスキルか?」
そう結論付ける。
実際問題、〇〇のスキルが使えるなどの表記以外は基本的に見た目そのままの内容を書いているだけのスキルでありそこまで有能と思えるような事もない。
「枠一つ無駄にしたかなぁ……。」
ネタスキルを取っている時点で今更感があるが、それはそれ。
と言うかネタプレイを行なっている以上、無駄を許容すれば下手をすれば地獄を見ることになる。
「ま、いっか。」
とは言え、現実的な思考をゲームにまで引っ張るのは息を詰まらせる。
失敗したかどうかは今ではなく、結果が決めることでありその結果が出るまでに無駄と省き余分と切り捨て後に化けることが発覚した場合どうしようもなくなるのは目に見えている。
頭の中の優先順位を一つ下げ、洞窟の奥へと目を走らせる。
ギギッ。
丁度、視線の先にモンスターがいる。
またゴブリンか、そう思い棍棒を握り直しその奥から現れたスライムに驚く。
「へぇ。」
ラインナップが多少変化したところで行動は変化しない。
一発目でゴブリンを殴りつけ、二発目にゴブリンに手を差し込み腑をひっぱり出す。
それでポリゴン片となるゴブリンを視界に入れながら逃げようとしているスライムに棍棒を投げ飛ばす。
ーーーッ!?
声に出ない悲鳴をあげるスライムはギリギリで棍棒を避けるが、次に襲ってきた蹴りは避けられない。
サッカーボールのように蹴り飛ばされたスライムは天井に激突し破裂する。
「討伐、完了っと。やっぱしあんまり強くはねぇな。」
はぁ、と息を吐く。
戦闘をしたいからとゲームを始めたわけでは無いがある程度は楽しみたい。
矛盾しているようで矛盾していないその欲求を持て余しつつ、何年かぶりの……ゲーム内とは言え……本格的な運動でも案外動けていることを好ましく思う。
「いや、俺が強すぎるのかもしんねぇ……、なんてな。」
冗談混じりに呟き、ただの自己満足を否定するとスライムから落ちた小石を拾う。
「鑑定結果もただの石……、か。普通のゲームなら魔石とかが定番なんだがな。」
首を傾げつつ、こんな事があるのか? と10秒弱悩む。
そして、近くに落ちている同じ大きさぐらいの石と見比べてみると……。
「少し……、周囲に透明な何かが……、いや透明度が高い……、か?」
薄らと色が薄いような気がすると言う結論を出す。
暗視の効果で暗いところであろうが真昼のようにはっきり見える。
つまり、黒狼の見間違いという一つの問題を除けばほぼ確実にこの石はただの石では無いのだ。
だが、取っておくにしてはあまりにもどうでもいい要素ではある。
「とりあえず、分かるところに置いておくか。」
そういうと、壁肌が飛び出しているところにポンとおく。
正直、ー重要な要素でもないだろうものにあんまり時間は掛けたくないのも事実といえば事実。
一応、頭に留めておくだけにしてサクッと洞窟の奥へと進む。
ーーー進む事、約10分ーーー
「なんか、人工的な作りだな……。」
何体もゴブリンを叩き、スライムを蹴り飛ばしながら進んだ先にあったのは何の変哲もないただの洞窟だった。
唯一の相違点は、その道にある程度明るくなければ分からないであろうと思われる程度の誤差。
つまりは、人工的な要素が洞窟にちらほらと窺える事だ。
最も、黒狼はそのような物を発見して言ったわけではない。
もっとわかりやすくある物、簡単に言えばさっきまで歩んでいた洞窟と一線を画す程に歩きやすい道を見て言ったのだ。
暗ければもう少しは分かりにくかっただろうが生憎と、彼は暗視持ち。
そのような、
進展があることに顔を喜ばせながら、歩みを進め始めた。
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