第2話 真実の探求

ヴィヴィアンとイリオスが出会ったその日から、村の周りの世界は彼女にとって違ったものに見え始めた。イリオスはただの竜ではなく、古代から伝わる竜話者の伝説に繋がる重要な存在だった。ヴィヴィアンは竜話者としての能力を使い、イリオスと心を通わせ、彼の言葉を理解できるようになった。


祖母は当初、イリオスの存在に懸念を抱いていたが、彼とヴィヴィアンとの間に芽生えた絆を見て考えを改める。


「あなたは特別な子よ、ヴィヴィアン。竜話者としての運命は簡単な道ではないけれど、私はあなたが正しい道を見つけると信じている。」


祖母はヴィヴィアンに、竜話者の能力が彼女に課された大きな使命の一部であることを教える。そして、この能力は遠い昔、人間と竜が共存していた時代に、両者の間の橋渡しをするために与えられたものだと明かす。


ヴィヴィアンは、イリオスを救ったことが自分の人生に新たな目的を与えたことを感じ取る。彼女はイリオスと共に、人間と竜の間に再び和平をもたらす旅を始めることを決意する。しかし、その旅は単純なものではなく、多くの困難と試練が彼らを待ち受けていた。


彼女の最初の試練は、イリオスを追っていた何者かがまだ彼らを追い続けていることを知ることだった。ヴィヴィアンはイリオスを守りながら、この新たな脅威の正体を明らかにするための手がかりを求めて、祖母の知恵と古の図書館での学びを頼りにする。彼女の冒険は、ただ始まったばかりであった。


ヴィヴィアンとイリオスが共に過ごす日々は、互いの信頼を深める貴重な時間となった。イリオスの傷は徐々に癒え、彼の真の姿、若くして知恵に満ち、しかし心優しい竜であることが明らかになる。ヴィヴィアンはイリオスから、彼が追われていた理由が、彼の血筋に古代の魔法が宿っているからだと知らされる。その魔法は、正しく使えば世界に大きな恩恵をもたらすが、悪用されれば計り知れない災いを引き起こす力を持っていた。


祖母はヴィヴィアンに、彼女自身もまた特別な運命を背負って生まれてきたこと、そしてその運命がイリオスと深く結びついていることを告げる。竜話者としてのヴィヴィアンの能力は偶然ではなく、古代からの約束、人間と竜が共に平和を築くための橋渡しとなる存在であることを示していた。


イリオスを追っていた者たちの正体を探るため、ヴィヴィアンは祖母と相談の上、古の図書館へ向かう決意を固める。


「古の図書館には答えがあるかもしれないけど、真実はいつも一つとは限らないのよ。」


図書館は、人と竜の歴史が記された古文書や、忘れ去られた魔法に関する書が保管されている場所だった。そこには、彼らが直面している脅威の手がかりが隠されているかもしれない。


「この図書館には、私たちが探している答えが隠されているはずよ。イリオス、一緒に真実を見つけ出しましょう。」


図書館への道は危険を伴う。ヴィヴィアンとイリオスは、森の奥深くを旅し、古代の魔法が宿る場所を目指す。旅の途中、彼らは自然の精霊や他の竜たちと出会い、彼らから助けと知恵を得る。しかし、同時に狩人たちの追跡も激しくなる。


古の図書館に到着したヴィヴィアンは、そこでゼリオンという謎の人物に出会う。彼は自らを歴史学者と名乗り、竜と人間の間に古くから伝わる魔法について研究していると言う。ゼリオンはヴィヴィアンに、イリオスを追う狩人たちの真の目的と、彼らが何を求めているのかについての情報を提供する。


しかし、ゼリオンの言葉の中には隠された意図があることを、ヴィヴィアンは直感で感じ取る。彼女はゼリオンを完全には信用せず、彼の言葉を鵜呑みにすることなく、自らの目で真実を見極めることを決意する。古の図書館での学びを通じて、ヴィヴィアンは自分とイリオスが直面している運命の大きさを改めて認識し、その重大な使命を果たすための準備を始めるのだった。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る