第13話

その刹那、俺はある記憶がフラッシュバックする。そう6年前の家族が亡くなっている情景が頭に浮かんだ。俺はそれを無視し、凪都の太ももにナイフを突き刺そうとした。


だが、俺は躊躇し刺すのをやめ凪都の首元に

ナイフを突きつけた。と同時に凪都も俺の首元に剣を突きつけていた。


そう、それが俺の悪い癖なのだ。仲間だと思っている人間には大怪我をするような攻撃が

出来ないのだ。元仲間なら普通に攻撃ができるのだ。仲間にナイフを刺そうとすると俺の身体が拒否反応を起こすのだ。それは家族が生きていた頃からそうだ。そのため、模擬戦をする時は絶対に引き分けになるのだ。


「やっぱり引き分けか」


俺はそう言いナイフを懐に入れようとした。

刹那、凪都が不敵に笑い俺の顔に蹴りを放った。俺は片腕で防ぎ後ろに飛び距離を取る。


「なぎ、どうしたんだよ?急に」


「だって、まだ決着ついてないだろ?

前は引き分けで我慢してたけど今回は決着つけさせてくれ」


「お前も知ってるだろう?俺が仲間だと思っている奴は怪我をさせたくないってこと」


「あぁ、分かってる。それが無意識だって

こともな」


凪都はそう言いながら、俺に剣を向けた。俺はナイフ懐に入れ、刀に持ち替えた。ナイフは、家族が亡くなってから使い始めたのだ。

それから俺は刀を使わなくナイフを使っていた。ナイフは、小回りが効き暗殺に適しており復讐には合っていたのだ。


俺は家族が生きていた時からナイフに興味が

ありナイフを使って戦って見たかったのだ。

だが、家族から反対されたため刀を極めた。


無論、俺は刀が嫌いという訳では無い。俺は、覚悟を決めたのだ。復讐のためなら家族に反対されたことでもするという覚悟を。


「るい、やっとやる気になったんだな!」


「まぁな。今の俺はさっきと違う」


「あぁ!分かってる。お前がここまでして

くれてるんだから、この際怪我なんて気にするなよ!」


「..分かった」


俺はそう言い、刀の鞘を引き抜き刀を構えた。

その構えは一切隙のない構えだった。俺は刀を握った瞬間、今まで刀を使っていなかったとは思えないほどのしっくり感に襲われた。そんな感覚に俺は無意識に口角が上がり、闘気も上がった。


そんな俺の姿を見て凪都は武者震いをしてこう考えていた。


(まじかよ、るいの構えと闘気..!さすがこの国最強の英雄って呼ばれただけはある!!

やっぱりるいは、刀が似合うな!)


凪都はそう考え不敵に笑い剣を構える。

そう、凪都は瑠斗のファン1番のライバルだったのだ。


そして、そんな1番のライバル同士の本気の戦いの火蓋が切って落とされた。

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