東京の夢を追う青年達

@syuimee2

東京の夢を追う青年達


東京のとある繁華街の一角。



すっかり陽が落ちた夜。大衆居酒屋の門戸から1人の青年が出ていく。




「俺たち、夢ってなんなんだろうな...」




これは都会に住む専門学生の、不器用にも夢を追う物語である。






東京にある大衆居酒屋のとあるスペースにて、

男子学生4人集まって談合していた。




青年)話しつーのはさ、俺たち夢、追えてなくないか...?




友達1)なんだよ、突然




青年)こうやってみんなと居酒屋で馬鹿な話してるのは面白い。

おもしろい、


けど、飲み会の帰り突如やってくるあの虚しさ、ないか...?



俺たちいつまでこんなことしてるんだろう、って...




酒は美味い。飯も美味い。


女性もいないけど、こうして野郎だけで語り合うのは確かにバカっぽくて楽しい。



でもさ。





俺たち入学してから成長できたかな...






青年達は専門学校2年生。


Youtubeの学校という当時先進的かのように思われた同校に、



少年たちは各々の夢を抱えて門戸を開いた。




1年生の期間、青年達はグループ制作やプライベートでもつるむような仲で、



バカやりつつも大変な学校生活を乗り切っていた。




だけど、2年生になってから徐々に4人組とその他の同級生との間に差が生まれ始めた。




同級生達は自分でインターン先を見つけていて、


中には就職を決めて夢に向かって進んでいる人がいた。





友達2)成長できたとは思う。動画編集の技術や座学だって学んだだろう?



スキルだって申し分ないだろうよ。





青年)でも、俺たち最初の夢を追えているか...?





友達達)...





時は学校に入学してから数日後。

4人が邂逅したころ。




青年は3人の同級生と仲良くなった。




友達1は、ブラックだった会社を辞めて、


フリーランスの動画編集者として自由に働きたいとのこと。




友達2は、某大手VTuber事務所のスクールにいずれか入学するために、


動画編集を学びに来たとのこと。




友達3は、


動画編集者として大企業に求められる凄い人材になりたいとのこと。




自分は当時から夢を探していて、

挑戦したいと思っていたひとつのその学校に入学した。






だけど、


2年生になってもあまり4人の目標はなかなか達成できていなかった。






理由のひとつとして、


いわくカリキュラムや授業が雑になってきて、


自習が増えてモチベーションが下がったとのこと。





言い訳だが、当時の本人達は本気でそう思っていた。




時は戻り、居酒屋での一幕へ。




自分)改めて気を引き締しめようよ。




友達達)そうだな...





それから青年は休学して、やりたいこと探しを始める。





ひとつ目は、


当時気になっていた麻雀の業界に入ろうと思い、


団体と繋がりが強い雀荘で働き始める。




麻雀を打ちに色んな雀荘を訪れる。


都内から果ては3人麻雀の本場の京都、大阪へ夜行バスへ向かった。




当の本人は本気でやっていたと思ったようだ。




が、結局空回りした。



ギャンブルというイメージがいまだ払拭されていない麻雀、


自身でチームを結成しようとしたが上手くいかない。





後によく思えば、


モチベーションがなくなっただけで、辞める理由探しだけどしたのだろう。





次に挑戦したのは音楽業界のライブ分野の音響。



当時好きだったユニットの裏方が気になり潜入した。



けど、辞めた。





次はバーテンダー。




色んな人の話を聞けば道が拓けると思ったらしい。




結局体調を崩して辞めた。





そんな中途半端な挑戦ばかりしていた青年は気づけば休学してから1年が経っていた。






そんな日々を過ごしていた青年は同級生の3人と再会した。





みんなで進捗の話を聞いた。




いわく、フリーランスを目指していた友達1は、



単価が下がり続けて不安定なYoutube業界から脱して前職のシステムエンジニアを復帰するらしい。





いわく、某大手のVTuber事務所を目指していた友達2は、



応募で落ち続け就職が不安定になり、結局は関係のない建築系に進むらしい。





いわく、動画編集者としての活躍を目指す友達3は、



動画編集を頑張るも燻り、関係のない職のインターンを受け始めたらしい。





みんな、かつての夢を断念して違う目標へ向かった。




それは決して悪いことじゃない。



大人になればいずれか、就職を目指していかないといけないし、



長々と結果の出ない挑戦を続けてばかりではいられない。




それも分かる。




けど、そんな3人の話を聞いたからこそ青年は思った。





この4人組の中で夢を追い続けて、いずれか夢を達成した姿を見せてみたい。





中途半端な挑戦で終わった自分たちの中で成功者を出して、


これまでの挑戦が決して無駄ではなかったと証明したい。





ある種的外れな考えなのかもしれない。




挑戦の証明だって別の目標でだって証明できるかもしれない。






けど頑固な青年は次こそは、


結果を出すまで辞められない業界に挑戦して、



どんなことがあっても挑戦しようと思い始める。





相変わらず楽しげな会話をする4人組の会話を楽しみつつ、決意の炎を燃やした。






青年の挑戦はどうなるのかは分からない。





でも、いずれかそれが実らんことを。





飲み会が終わって店を出て、



見上げた空は、いつも通りの曇天のようだが、心なしか輝いて見えた。







友達2)よしハシゴだ。2軒目行くぞ!





青年)了解!!!





結局家に帰ったのは翌日の昼頃だった。

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