異世界召喚された巫女は異世界と引き換えに日本に帰還する
白雪の雫
第1話
私は霧月
霧月神社の神主をしている父と専業主婦をしている母との間に産まれた巫女にして、陰陽道を駆使する退魔師よ。
お金さえちゃんと払ってくれたら強力な十二の神を操って妖怪を倒したり、除霊・浄霊もするし、神楽を奉納するし地鎮祭だってするわよ。
泰山府君の祭も使えるけど、流石にこれは自分の中でタブーだと位置付けているからどんなにお金を積まれても、大切な人を生き返らせて欲しいと泣き落としされようが絶対にやらないけどね。
まぁ、泰山府君の祭がフィクションであり、儀式の一種だと流布されているので実際に頼む人が居ない。
それは助かっている。
けど、それでもやっぱり僅かな可能性に縋り付く人が居るのよね~。
そんな私は女子高生をしているけど、実は異世界に聖女として召喚されちゃったの。
何で異世界に召喚されたのが分かったのかと言うと、見慣れている神社の風景がヨーロッパの宮殿・・・それも荘厳ではなく重苦しくて悲しみと怨念に満ちている雰囲気に覆われていて───つまり過去に異世界召喚された人達が成仏出来ず未だに彷徨っていたからよ。(この時の陽菜は仕事中だったので巫女装束を着ていました)
宮殿に居る人達は、この重苦しさが威厳と重厚感溢れる宮殿にしていると思っているけど実際は違うからね!
実は私、霊感があって霊がはっきりと見えるし、他人の心が読めるの。
「異世界の聖女よ、世界は魔王率いる魔族によって滅びようとしている。そなたの力で魔王を滅ぼすのだ!!」
はぁ?
何で私が異世界を救わないといけないの!?
自分の世界を救うのは何の関係もない私ではなく貴方達の役目だよね!?
玉座に腰を下ろしながら私を見下ろしている王の言葉に流石の私も目が点になってしまったわ・・・。
異世界の危機なんて関係ない私は別の事を考えていたの。
①まずは王宮を彷徨っている、過去に勇者や聖女として召喚された日本人の魂を成仏&日本に帰す
②私が日本に帰る
異世界から日本人を召喚する術があるのなら、送還する術があっても不思議ではないと思った私は連中の心を読んでみたの。
・・・・・・成る程ね。
日本人を日本に帰す術があるにはあるけど、召喚と違って送還は膨大なエネルギーを消費するんだ。
連中の事情なんか私には関係ないからね~。
当事者を除いた、多くの異世界人の命を使って過去に召喚された日本人達の魂を日本に帰す事にしたの。
勿論、私の霊力で彼等を浄化してからよ。
日本人一人や二人だったら異世界人数百~数千人の命で日本に帰せたけど、召喚された日本人が数千~数万だったから私を召喚した国の異世界人だけでは足りなくて近辺の国の異世界人の命も使ったわ。
今回の召喚に関わっていない人達は気の毒だと思うけど、いや本当はこれっぽっちも思っていないけどね。
貴方達も過去の日本人が齎した恩恵と平和を享受していたのでしょ?
だったら恩を返して欲しいと思うのが人情というもの。
恩返しが命だった。
それだけの事よ。
苦しみや悲しみ、怨念や恨みに染まっていた彼等の魂が完全に浄化され日本に帰っていく姿を見届けた私は、自分が日本に帰る為に送還の術を使ったわ。
魂と違って生きている私を帰すには数千~数万人の異世界人の命だけでは足りなかったらしく、人間以外にも動物に植物、魔族に魔物など、生きとし生けるもの・・・それこそ星の命が必要だったの。
召喚という名の下に日本人を拉致する異世界など滅んでしまえと思っている私は、遠慮なく自分が帰る為だけに今回の異世界召喚に関わった者達以外全ての命を使ったわ。
無事に日本に帰る事が出来た私は巫女と退魔師の仕事をしつつ、休日は趣味を満喫する生活を送っている。
異世界召喚された巫女は異世界と引き換えに日本に帰還する 白雪の雫 @fkdrm909
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます