(自称)親友くんはツンデレTSっ娘を可愛がりたい!

らと

ビギンズ・TS編

謎の体調不良

 調子悪い。

 ――洗面台の鏡を見やる。

 いつも以上に顔色悪い。目つきもいつも以上に悪い。

 いつも通りなのは服装と身体的特徴くらいか。このままほっといたら髪の毛とか、ストレスで白になりそうだけど。黒から。

 ……朝からじんわり悪かった具合が、放課後ここに来てピークになった感じ。くそ。

 さっさと帰ろう。ぼーっとトイレにたたずんでる場合じゃない。

 バッグ持ってくれば良かったな……。なんで教室に置いてきちまったんだ。いやまあ置き場に困るからだけど。くそが。

 ――早足。教室までの道が遠い。

 あと少し、あと少し。……もっと辛い目にあってる人だっているんだ、俺の体調くらいそれに比べたらどうってことない。

 ……ようやく教室。さっさとカバン回収して、家に帰って横に――。


「あ、芹那せりな。……大丈夫? 顔色悪いけど……」


 なんで久樹ひさきがいるんだ、くそ。

「大丈夫に見えないなら話しかけてくんな。ていうかなんで俺の席にいるんだよ」

「一緒に帰ろうと思って。……朝から調子悪そうだったけど、なんかどんどん悪化してそうだったし……。誰か一緒ならもしなにかあってもなんか力になれるかなーって」

 ――いつも以上に低い目線から黒い瞳が覗き込んでくる。

 心配そうな顔。……お人よしが。ほんとにうざい。

「そんなオオゴトじゃない。……帰る」

 カバン回収。

 ――久樹を無視してドアに向か、

「――――……」

 え、チカラ入んない。崩れる。……あ、倒れた。

 気持ち悪い。……なんかからだ熱い。なにこれ。

「え、芹那!? 大丈――うわ、すごい熱……! えーと、えーと……119番? いや先生呼ぶ……? ……えーと、両方! 確実にヤバいしっ」

 ……うるさい。いつも以上にうるさい。死ぬならそれでいい。ほっといてほしい。めまいがすごい。きもちわるい。あつい。


 ――覚えてるのはここまで。

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