夢か現(うつつ)かその定か
月桜 兎
第1話 この学校の闇
「え?生徒会長の自殺原因を調べてほしい、ですか?」
「ああ。どうやら、この学校には怪異がいるようでな。その怪異が悪さをしているのでは、と言う事が俺の見立てだ」
僕は、本堂太一。2週間前に僕の彼女の生徒会長が自殺した。理由は分からないけれど、辛かったなら何か力になりたかった。しかし、今僕の担任の先生によると、そういう事では無いようだ。
「実は俺は寺の子供でな。昔から妙な物が見えるんだよ。この学校は特にやばくてな。誰かに調査をお願いしたかったんだ」
「それ、本当ですか?」
「ああ。本当だ。ここで嘘ついてどうする」
「わかりました。信じます」
「ありがとうな。それで、危険を感じたら、すぐに調査は中断しろ」
「でも、僕霊感ないですよ?」
「お前は、霊感がある。覚醒していないだけだ」
「なるほど」
そして、色々な話をして、生物準備室を出た。しばらく廊下を歩いていたら、クラスメイトの中村にあった。
「よう、お説教でも受けていたのか?」
「いや、そんなんじゃないよ。ちょっと頼まれ事をね」
「ふーん、ま、お前ならできるだろ前生徒会長様?」
「おいやめろって、そんな大層なもんじゃないよ」
「ま、頑張れよ」
「わかった」
僕は怪しい人をリストアップすることにした。そこで、1人まで存在を絞った。
「金剛か……?」
クラスメイトの金剛。あいつは、怪しい気配がしていたから、それでもって、生徒会長を好きだったから。そういえば、前に彼女……宮野が金剛に告白されたって言っていた。その時に断ったとは聞いていたが、その逆恨みで自殺させるようにしたとかが有効か?とにかく金剛が今の所1番怪しいから、あいつを見張っていこう。
そして、翌日。俺は早速金剛を見張る事にした。怪しい素振りは全然みせないが、それでも怪しい事には違いがないので、見張る事にする。しかし、金剛を見張って5日目。変化が起きた。
「本堂、ちょっときてくれね?」
「中村、なんだよ」
「先生から、運び物手伝えって言われてて、ちょっと手伝ってほしいなって」
「そういう事か。じゃあ、手伝うぞ。運び物はどこにある?」
「こっちだ。ありがとうな」
「いいってことよ」
中村の手伝いをするため、中村と一緒に資料室まで荷物を運ぶ。資料室に着いた時に、中村の様子がおかしくなった。
「こんな簡単におびき寄せられるとはな。お前も落ちた者よな」
「どうした?」
「はあっ」
「!もしかして、お前が学校に潜む怪異か?!」
「アッハハハ。よく知っていたな。さしずめ、教師の指図だと思うが……喰らうぞ、お前の事」
「くっ!ここから逃げないと!」
「逃げられると思うなよ!」
そういうと、
「久しぶりに、寿命が伸びる。しかも今日の獲物は上質だ」
「お前、どうしたんだよ!」
「うるさいなぁ。お前はこれから俺に食われる運命なんだよ」
「は?やめてく……」
バクバクガリっバリッボキッ
「うああああああ!うぐっううう!」
「あ〜、うめぇー、お前の魂うめぇー」
「うっ……」
「ちえっ、すぐに意識失ってつまんないや」
「……」
「いいおもちゃだったけど、こっちも寿命がほしいから、もう全部食べるか」
〜〜〜〜
「出欠とるぞー。分かったら返事してくれー。……ん?本堂は?」
「ちょっと早退するって言っていました」
「後で担任の先生に確認取るか。教えてくれてありがとうな、中村」
「いえいえ」
(次はどんな人を寿命にとり込もうかな……。この学校に依存しない方がいいだろうし、新たな狩場を探すか)
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