怪譚

床下のハシビロコウ

第1話 コインランドリー

ある晴れた日に、突然のエラー音と共に洗濯機が壊れてしまい、近所のコインランドリーにきた。朝の時間帯ということもあって少ないだろう、と思っていたのだが何故か全て使用中。珍しいと思いつつ、一台の乾燥機付き洗濯機が空くまで待つことにした。



ごうんごうんごうんごうん


ごうん……ごとん…ごうん……ごとん



ふと、並んだ洗濯機の中で一台だけ重いものを回すような音が聞こえたが、数分経つとその音が止み洗濯を終えた気配がした。自分も待っていたので、申し訳ない、なるべく知らない人の洗濯物を見ないように、とその洗濯機の扉を開けて洗濯物を出そうとしたら、指先にわしゃっと感触が伝わってきた。

一瞬の違和感と指先から伝わった冷たく、ゾワっとした感触が、濡れた他人の髪の毛を触った時のそれだった。見てはいけない、見てはいけない、と心の中で唱えるが自分の意思と反して洗濯物の方へ視線が向いていって…



というところで目が覚めた。



よくよく考えたら、晴れた日の朝からコインランドリーの洗濯機がそんなに埋まるはずもない、なんだか気持ちが悪い夢だったなと思いつつカーテンを開けて天気を確認し、洗濯機を回そうとしたら耳障りなエラー音が響いた。

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