90 称号未遂
ネヴェアやジュリアと共に駆けるように武器屋へ向かった俺達は無事に店内に滑り込み店主に挨拶する。
「おう丁度良かった注文された商品が入ったから暗くなったら念話しようと思ってたんだよ。
今日はどうしたなんか急いでたみたいだが。」
「こんばんは、いえこの後もう一軒買いに行かないといけないもので。」
「久しぶりだね。ちゃんとした物を仕入れたんだろうね?」
「当たり前だ馬鹿野郎!鍛冶師共の英雄に紛い物なんざ掴ませたら二度と仕入れが出来なくなるわ!」
「鍛冶師の英雄?」
「おう、お前が鉄鉱山を見つけたってもう広まってるからなこの街とデクオンの鍛冶師共がまるで神のように崇めてたぞ。
ミスリルのポールアックスを作った奴ももっと早く知っていればと手紙で嘆いておったわ。
まぁその分納期は縮めてきたが品質に問題は無いから安心しろ。」
「また変な称号とかつかないですよね…?」
「新しく鉱山が見つかった時の祭りみたいなものだから大丈夫だろ。まぁ何個も見つけて来たら分からんけどな!」
もう2個目を見つけてあるんだよなぁ炭鉱だけど。
「まぁそれは置いておきましょう。今日は鉱山の採掘をするのでツルハシとシャベルを10本づつ買いに来ました。」
「なんだもう掘り始めるのか?物が入ってくるのは半年は先かと思ってたんだがこりゃ鍛冶師共に教えてやらんといかんか。」
「ああ、まだ精錬炉も作らないといけないのでその辺の発表は領主様を待ってください。」
「なんだ炉の試運転用の分かそらすまんかった。俺も久しぶりに鎚を振るえるかと思うと気が
その量なら問題ねぇ、鉱山が見つかったって聞いて
「では代金は領主様にお願いします。念書は預かっているので。」
「おう、じゃあ会計は別にしないと駄目だな、ミスリルの代金は大丈夫なんだよな?」
「はい、報奨金も出たので問題ありません。」
「それぞれミスリル武器が金貨45枚。ツルハシが10本で銀貨30枚、シャベルが10本で銀貨25枚だ。
まけてやりたいんだが領主との取引の時に証拠にされると困るからな。今度領主が絡まない時にしてやるよ。」
村を作り畑を耕すなら
カウンターに金貨を積んで交換用の木札を差し出す。
「分かりました、お金はこれでお願いします。」
「あいよ、それじゃこれにサインして片方を取ってくれ。
これがあれば未使用なら返品も受け付けるが返品する気が無いなら捨てちまっていい。ただし誰かに盗られ無いように破るか燃やすかしてくれ。」
「ありがとう、それじゃ次の店に急いで行かないといけないので。」
「おう、がんばれよ期待してるぜ!」
準備部屋に武器と採掘用具を仕舞い店を出ると木工屋に急ぐ。
周囲はランプを付け始めている店もありかなりギリギリの時間だろう。
「すみません!木箱を10個と樽や水瓶が欲しいのですがありますか?」
「ありはするが運ぶのは明日になるぜ?」
木工屋と言っているが木箱やベッド、タンスなどの他に陶器の水瓶や花瓶、金属の燭台なども売っており家具屋といった様相だ。
「大丈夫です自分で運べるので精算だけお願いします。」
「なら10個で銀貨2枚だ。本当に大丈夫なのか?もう遅いから時間がかかる様なら店の外に置いておくが。」
「ああ、大丈夫すぐ終わりますよ。はい銀貨2枚。」
「毎度あり、木箱はあそこに積んであるやつを持って行きな丁度10個あるはずだ。」
ゲートを開いて部屋の隅に重ねてある木箱を急いで移動していく。
積み重ねるとはいえ1mの木箱が10個だ今は素材が無いから大丈夫だけどまた部屋の拡張をしないと駄目そうだ。
そろそろトラッドに中級魔法を覚えさせたいのになかなか貯められないな。
「待たせました。こんな遅くに飛び込みで悪かった。」
「いえいえ、珍しい物を見させて頂きました。またのお越しをお待ちしております。」
何故か対応が丁寧になった店員に別れを告げて赤から青黒くなってきた空を見ながら薬屋へと帰った。
客人もいるので念話でベラに夕飯を先に作って食べている様に伝えておいたので帰って直ぐに夕飯を食べて準備部屋に向かう。
ヴェロニカさんには帰宅したがまだ仕事があるので今日は会えない。明日朝食後に移動を開始するとフェリに伝言を頼んだ。
夜に女性の部屋に行くと既成事実にされてしまうかも知れないからな。
ほぼ許嫁の様なものとはいえせめてお兄さんが結婚するまで手を出すのを我慢しないと順番がぐちゃぐちゃになる。
せめて炭鉱発見の功績を発表されてから手を出さないと問題がありそうだ。
準備部屋は新たに増えた7人で一気に狭くなったので彼女達を移動させようと思う。
安全にパワーレベリングができるバンシーのいる35階に移動してもらうために彼女達とパーティを組む。
「今から君達に触れてパーティ申請と言うから承諾と言ってくれ。その後に次の場所に移動するからこのクルスとダリアについて行け、移動が無理な者は2人が運ぶ。」
パーティを組んで移動先の通路に毛皮を敷いて天井の光を遮る屋根を作る。
バンシーは攻撃しなければ襲って来ないしゲート付近にはほぼ出現しないので寝ているだけで24時間この階で戦っている味方の経験値が吸える事になる。
もしかしたら毛皮や屋根が消えてしまうかも知れないがその時はまた別の方法を考えよう。
レベル20くらいになれば鉱山で採掘してても疲れにくくなるだろうし重い鉱石も持ち運びに困らない。
出来れば毒耐性も覚えさせたい所だが取得量8分の1ではいつになるか分からない。
俺が防毒効果のあるマスクを魔素で買ったほうが早いかもな。もしくは制作魔法で作れれば良いのだが残念ながら素材が無い。
ゲーム的に考えれば戦うのに毒耐性が必要なモンスターを倒して手に入った素材で作れるんだろうけど毒の沼とか地図には乗ってないからなぁ。
今できるのはティッシュペーパーを使って防塵マスクのフィルターにするくらいが精々か。
皮膚病などの病気はすでに治療済みの様で痣のように紫色に染まった肌や複数の瘤ができていた者も綺麗になっていた。
準備部屋に入って1時間以上経っているので菌やカビが原因の病気も再発しないだろう。
なんせ実験でベタベタ触ったパンや噛んで唾液まみれにした米ですら1ヶ月経ってもカビが生えないらしいからなこのダンジョン。
病気だけで手足を失っていない者に世話を任せ、トイレと風呂の時以外はここに居てもらう。暇つぶしの道具は渡すが我慢してもらおう。
2日もいればLv20になれるはずなので召喚獣達には交代で24時間バンシーを狩ってもらおう。
「さてと、一通りやることも終わったし自己紹介といこうか。話せない者はいなかったよな?そこから順番に名前と出来ることを教えてくれ。」
「アガサです。元農民で出来る事と言っても畑を耕すことと簡単な食事の用意くらいしかありません。」
「ナンシーと申します。元娼婦で夜のお相手と他の者の世話くらいしか出来ません。」
「キャスと申します。元娼婦で夜のお相手と簡単な料理なら出来ます。」
「ベティといいます。元農民で畑と鶏の世話ができます。」
「アイリーンと申します。元娼婦で夜のお相手と裁縫を少々学んでおります。」
「ジェニファーと申します。元娼婦で夜のお相手と楽器を学んでおります。」
「ケリーだ。ブロンズランクの冒険者だった。料理も夜の方もやったことがねぇ。」
年齢は15~19歳ほどと若く見事に娼婦だらけだが
話を聞いたが農民2人は畑で怪我をして破傷風にかかって足を切り落とし。冒険者のケリーはウルフに腕を食われたらしい。
娼婦の4人は同じ商館の出で病が流行った時に教会に治療してもらうのをケチりヤブ医者を使って手足の先が腐り切り落とすことになったらしい。
梅毒で鼻が落ちるくらいなら聞くが手足を腐らせる性病などあっただろうか?知らない病気があるだけかも知れないが万能薬や長寿の秘薬として水銀を売る詐欺があったようにこの世界にも見目のいい毒物を売りつける詐欺がある可能性も捨てきれない。
今は薬師のエルジーがいるから大丈夫だろうがヒールで治らないこの世界の病気を患ったらどうなることか。ステータスが高ければ防げるのか?
「お前たちには何日かここで暮らしてもらい治療が終わった者から順に明後日辺りから鉱山で石炭を掘ってもらうことになる。順番に中級ヒールで治していくから待っているように。
トイレと風呂は自由に行っていいし食い物は3食出すがスライムゼリーならいつでも好きに食っていいぞ。
これから体を動かすんだから筋肉を付けるためにもむしろ食え、今の骨が浮いてる姿じゃやっていけないぞ。3食の他に3個食うくらいで丁度いいくらいだ。
それから魔物には触れないようにテイムしてるから襲われることはないから心配はいらない。」
筋肉を付けるためにはまずは太らないといけない、ゴリゴリのマッチョは困るが大剣を振り回しているネヴェアですら最近は筋肉が細くなって贅肉が乗ってきたので心配はいらないのかも知れない。
ステータスが上がって筋肉の強度が上がり筋繊維が切れなくなって太くならないとかではないかと考察している。
何にしても彼女達が鉱夫の様に膨れ上がった筋肉にならないといいな。商館で娼婦をやっていただけあって結構かわいい子達だし…
治療に関してはフェリやネヴェアと違い殆どが手首や足首付近で失っているので人数は多いがさほど時間はかからないだろう。一番大きく失っているケリーでも肘から先が無いだけだからな。
一応護衛にクルス、ダリア、トラッドを交代でつかせてゴブリン達には4人で交代で24時間勤務をしてもらう。常に3人でバンシーを倒してもらうため睡眠時間は6時間だ。
やっぱりフォレコとインキュもローテーションに入ってもらおう召喚獣達はただでさえブラック勤務なのだから加減は必要だ。
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