第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【短歌】二十首連作部門『月の刺青』
たらこ飴
月の刺青
三日月の漁師の刺青DNA検査代わりの証だという
見るがいい飛魚の群れ踊るのを太平洋に胡座をかいて
本当はハリウッド映画出たかった虹鱒の稚児旅に出る朝
大人にはなれないという碧い眼の鯨に逢った日のママレード
「あんこうの本をよんだのちょうちんのあかりがきえておよげないのよ」
クリオネのほどけるような口づけをする人がいた壊れた町に
イルカにも仲間外れがあると知り凍った白い板チョコを割る
シーラカンス絶滅したらオーロラの下でお茶会しながら泣こう
超ど級海牛の角枕にはなれないことを主張している
水母から作ったダイヤで幾億も人を不幸にする行商人
静粛に静粛になる夜明けから君が愛した星亀の火葬
i phoneに打ち込む文字の全てから潮の香り漂う圏外
ヤドカリに家が見つかるみたいには居場所が見つからない地球上
サザエさん家族がいつか帰る海人類は何故陸を選んだ
マンボウに角が生えたら物凄く子どもに人気出るんじゃないか
我々が生まれる前に死んだのに忘れ去られた鮪の缶詰
鮭になる前はみんな宝石の中にいるねと卵を覗く
母さんの腹の中よりおにぎりの中の記憶を持つ明太子
鍵盤に触れるみたいに海水に足を浸せば消えゆく孤独
人生は川の流れのようなものだけど命は海より重い
第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【短歌】二十首連作部門『月の刺青』 たらこ飴 @taraco-candy
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