第51話 一番ダメージを受ける酷評
批判やクレームなど、何を言われると一番ダメージが大きいかは人によって違うであろう。作品が面白くない、文章が下手くそ、色々とあるだろうが、わたしの過去において一番辛かったのは、コミケ等の即売会イベントでサンプルを無言で読まれて無言で返されたときである。
所詮はG氏(週末ホームレスに登場した同人ゴロ)と組んで書いていたエロ同人誌である。「使える」か「使えない」かという、結果がすべてある。しかし、机に戻されていく本をしょぼくれた顔で迎える絵描きさんを見ると、わたしのシナリオが悪かったのではないかという気持ちになり、申し訳なさを感じた。同人誌は二次創作だったので、キャラと世界観は担保された中で書くのであるから、絵柄第一、話第二というわけである。無言で返してきた御仁はじっくりと読んだ後に黙って返してきた。ということは、絵柄がお気に召さなかったわけではないと思うのだ。
コミケのような即売会というのは楽しいイベントであるが、同人ゴロは所詮売れてナンボの世界。わたしは「つまらない」「ヌケない」と感想をもらって叩き返されるほうがまだ安心できる。本当にキツいのは黙って去って行くお客さん。そういう人が多くなってきたら、それはもう閉業しないといけないサインであると思っていた。
ケチをつけてくれるうちが華。そんなことを思いながら書いていたら、まさかの一次創作小説を書くことになった。多くの人が憧れる世界だというのに奇跡的なコネだけで得た地位ではあったが、ある意味心地良かった。編集や読者が必ず反応をしてくれたから、同人のような無言の刃に刺されることはなかったのである。
そういう意味では、わたしにとって同人活動というのは貴重で辛い財産であったと、今では思う次第である。
※まあ、今は歳をとったせいか、批評に鈍感というかずぶとくなりましたけどね。アハハハハー。(2024.3.22)
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