猫が山のようだ

あまるん

第1話 ぼん山

 朝起きるといつもこれだ。狭い居間で「ぼん山」こと虎猫六歳のぼんちゃんが他の猫に絡んでいる。

その絡み方は大体決まっていて、まずお尻を山のようにして振ってから、豊満ボディでぼんっとジャンプ、そして、居間を歩いてる猫に襲いかかる。

 やめなさい!と言っても聞かないので人間も近づき肩をいからせてめちゃくちゃ揺らす。そうすると、すごすごと後退りする。

 ぼんちゃんは手足が短く見えるので(お腹がまんまるすぎるため)、とてもかわいそうな感じになる。そして涙を滲ませる。

 朝から楽しい遊びをしてたのに変な生き物に肩を揺らされて脅かされてるので、多分悲しいのだろう。

 ぼんちゃんはショックを受けてしばらくメソメソすると、気分を持ち直して、座ってる人間(先程肩を揺らしてた変な生き物)に近づく。

 おもむろに膝にふわふわの片手を置いて膝に乗ると今度は豊満ボディで右腕に座り込み、あおむけになって、お目目をぱっちりする。そこでしばらく抱っこされて撫でられるとぼんちゃんは満足そうに今度は裏がえる。そこでも撫でられると今度は肩に前足をかけて縦だきでゴロゴロ言う。人間の肩にはぼんちゃんの五キロ超えの重みのある柔らかい腹が乗っている。

 そして、ぼんちゃんは、膝に降りてまた抱っこされる。やっと膝から降りると、ぼんちゃんは楽しそうに歩いていく。

 そして、またお尻を揺らして他の猫に襲いかかる。

 

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