6才の幼女と英雄物語

浅貴るお

第1話・開演

 あたしの名前は、マドレーヌ。6才の女の子!気軽にマドって、呼んでね!世界を救うため、あたしは英雄なるの!

 まず、英雄になるためにすることは、お着替え!

 英雄にふさわしい服にまずは着替えるの!

 英雄にふさわしい色は何色かしら。それはもちろん赤!

 あたしはドレッサーから、真っ赤なドレスを出して着替える。

 姿見ミラーで全身くまなく確認して、くるんっと回って一回転。

 素晴らしい英雄色。

「マド、お客様よ。居間に来てちょうだい」

「はーい」

 ママに呼ばれたあたしは、英雄色のドレスを着て、居間に行った。


 居間に着くと3人の人が、イスに座り待っていた。

「お待たせいたしました。あなたたちが英雄ね」

「英雄なんてとんでもない。村の空き地にたむろしてたモンスターを倒しただけなんで」

 小太りの兵士は身振り手振りで、その時様子を交えて教えてくれた。

 教えてくれるのは、ありがたいけど、この兵士の人は頼りない感じね。そんでもって赤も入ってないし。

 お姉さんは赤い武道着。いい感じ。

 最後のお兄さんは、赤いハチマキに銀製の鎧かな?兵士さん以外はいい感じ。及第点。

「あの、私たちはここに村一番強い人が居るって話で来たんだけど?」

「そうなんだ。お嬢ちゃんのお父さんか?」

「パパはいないよ。一番強いのは、マドだよ」

 3人は顔を見合わせたの。

「ひどいの!見た目で強さは決まらないの!失礼なの!」

「すまん」

「ごめんなさい」

「ごめんね」

「いいよ。マド謝れば許すの。心が広いから!それからお互いに自己紹介するの!あたしはマドレーヌ。マドって、呼んでね」

「じゃあ、ボクから。ぼくはミケ」

 太っちょの兵隊が一番最初に名乗ったの。

「じゃあ、次は私ね。私はメルよ。気軽にメルっ呼んで」

「分かったのメル!」

「じゃあ、最後はオレだな。オレはギルだ。よろしくな」

 ギルは笑顔で手を差しのべてきた。

 拒む理由もないので、あたしはギルと握手を交わした。

「そう言えば、最近モンスターが活発化してるみたいで、来る途中、この村の空き地で凶暴化したのを沈静化してきたんだ」

「そうなの?ここのモンスターは弱いから、普通はギルたちみたいな手馴れ感ある人は襲わないだけどな」

「でも襲われた」

「何かがあるかもしれないってことなの。じゃあ、調べるの!それからミケはこれ付けるの!」

 そう言ってあたしはミケのグリーンベレーに赤い羽根を付けた。

「これでミケも英雄の仲間入りなの!じゃあ、行くの!」

 あたしは先人を切って家から出て行った。

「待てよ!」

「待って!」

「置いてかないでぇ!」


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