断罪室

ふかひれソーダ

プロローグ 第壱ノ作品 明日が命日

これで私は女房とシェフを残し、全員を食ってしまった。


いや、残りの二人も少しではあるが食べていたな。


生きる為には食わねばならぬ。生きる為には食えぬものすら飲み込むのだ。


倫理は必要ないね。


もう倫理もクソもない二人が押しかけてくる。


いや、死にたくない。お前らが先にしね。死ね死ね死ね死ね。


せめて、この読みかけの本を読んでからだ。


その後なら、なるなり焼くなりするがいい。


そう言った途端、シェフは墓標を掘り出し、骨をしゃぶっていた。


女房は己を腕を上手く斬り、それに齧りついていた。


さて、この本の一ページ目は私のようだ。


『断罪室』


この本のタイトルだ。


二ページ目に目をくばると、そこには天使がいた。


そして気づく。分厚いのは見た目だけだ。実際は26ページしか記されていなかった。


断罪しても仕切れなかった、話の彼らのための鎮魂歌。


『断罪室』


1ページ目読破。残り25日。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る