第27話 釣り合わない

体育祭は終わって数日経った

相変わらず普通の日常が続いているのだが

オレはサキに雑誌を渡されて


「わたし載るんだよ!しかも結構なページに!」


なんとサキが雑誌に載ったのだ

しかもかなりのページに

この雑誌は調べたら中々有名なとこらしいので

サキの知名度はかなり上がる

まぁサキはかわいいから当たり前のことだろう


「ちなみに発売前の物でわたしが麟斗に最初に渡したんだよ!」


なんと発売前のものらしい

そんな貴重なものオレ持ってていいの?

リークしたらおしまいじゃん

まぁオレ炎上したくないからそんなことしないけど


「わたしのページちゃんと見てね!それじゃ」


オレとサキとの差がどんどん離れていってしまう

どうすればいいんだろう……

このままじゃオレはサキと釣り合わないままだ

なにかビッグチャンスはないのか……?



数日後、学校に行くとサキが囲まれていた

こっそり聞き耳を立てると

サキちゃんモデルになっててすごい

かわいい!

という声がたくさん挙がっていた

サキはこの日から人気者になったのだ

オレと一緒にいる意味なんてないよな……



「水無月くん、授業中にゲームはどうかと思うけど?いくら得意な英語だからと言って……」

「あちゃ〜……バレたか……」

「黙ってあげるからやめたほうがいいんじゃない?」


授業中、オレはとあることのためにこっそりゲームをしていたのだがそれがバレてしまった

幸い先生じゃないからいいものの

バレてしまったからには仕方がない


「すみません!トイレ行ってきます」

「りょうか〜い」


これで誰にも邪魔されずにゲームができる



授業終了数分前にオレは戻って来ると


「ねぇ本当にあなたに何があったの?」

「別に?何もないよ」

「ならいいのだけど……」


すこーし心配された

体調面では特に何も変化はない

少し覚悟というものができただけだ



「あ、麟斗!幼馴染ちゃんすごいね!」

「そうだね……」

「どしたの?心ここにあらずみたいな感じだけど」


雫にまでも心配されてしまった

心ここにあらずか……

実際はどうなのだろうか?

オレ自身でもよくわからない


「何かあった?話聞くよ?」


何もないのだが……

少し覚悟を決めたというだけで

特に何も変化などない



「ねぇ麟斗?今度の週末デートしよ!」


サキからデートのお誘いを受けた

以前のオレなら

やったー!

と舞い上がって喜んでいたのだろう

だが今は違う


「1人で行ってきたよ それかモデルのお友達とかどう?」

「えっ……」


サキは有名になったのだ

オレみたいなやつと一緒にいると変な炎上の危険もあるし週刊誌とかに狙われる危険性だってある

だからオレはデートをしないという判断をした

自分で言うがこれは結構賢明な判断だと思う


「えへへ……そっかぁ……変装しても……だめ?」 「万が一のことがあるからね」


サキは悲しそうな表情をした

そこまでオレにこだわる必要性は感じないのになんでなんだろう?

理由がめちゃくちゃ知りたい


「それじゃあ、またいつかデートしようね」

「機会があったらね」


そのようなやり取りをしてオレはサキの前から立ち去った

しばらくはサキとの関わりを無くせるのかもしれない


確かにいつかはまたデートしたい

あの楽しいデートの時間は忘れられなんかしない

でもね、ダメなんだよ

サキはオレなんかと一緒にいたら

だって、オレはどうしようもなく

クソみたいな


"不良品"


なんだもの


───────────────────────


次回

正体



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