04
ヒナさんと世間話(私は相槌しか打てていない)をしながら私達は温泉に入れる場所を探していた。
ちなみに怪異には空を飛んで探してもらっている。
話していてわかったことだが、今は2027年らしい。だからなんだっていう話にはなるが、記憶喪失の私には今の西暦というのも大事な情報だ。
「見つかったぞ……。ったく、あとでたんまり食い物を持ってきてもらうからな」
あんなこと、もう二度とやりたくないが今回ばかりは我慢しよう。
「ここからそう遠くない場所で旅館らしき場所を見つけた。そこで入れるだろ。……案内してやる」
「ありがとうございます」
「人間の礼などいらん」
この怪異は……言葉のキャッチボールというものを知らないのだろうか。それとも「どういたしまして」が言えない年頃なのだろうか。
まぁ、そんなことは置いておこう。どうでもいいからな。
ぶっちゃけた話、ヒナさんのこともどうでもいい。
ただ、この人が少しだけ怪しかったから話を進めていただけなのだが……聞けば聞くほど普通の人のようでがっかりした。
怪異が見えるだけの一般人。
「先を急ぎましょうか。……傘もなくてずっと濡れている状態なので私も温泉に入りたくて」
「あはは」と私は作り笑顔でその場をやり過ごす。
怪異は意味深に私の方を見ていたが要件を聞く前にそっぽを向いてしまった。
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