第3話 少女の霊は、和服よりドレスを着たいらしい。

「ばあちゃん、僕は、あなたの孫である事が恥ずかしくなります」

言いたくても、言えない。けど、背中に向かってなら言える。ばあちゃんは、僕に背中を向けて爆睡していた。

「聞こえないふりするのは、やめてください」

僕は、心から訴えた。何で、前の学校でも、問題児だったこの子を家に入れるかな。

「あのさー。怒るより、どうして、ここに来たのか、俺に聞くべきでは?」

「いや、認めない。認めないぞ。どうして、勝手に家に入る?」

「意外と、しつこいタイプ?用があって、来たんだけど。あれ?妖怪は?」

「ここに・・何て、事言うんだ。人の家の婆さんを」

「乗っているね。先生。話があって、来たんだけど」

どうしても、僕に話があると言うので、仕方なく、家のリビングに通す事にした。直接、彼と関わった事はない。職員会議で、何かと話題になり、静かに暮らしたい僕は、絶対、関わりたくないと思っていた。その話題と言うのも、空き家での火事騒ぎ。アパートでの騒音、他人の土地への不法侵入。留めは、資産家の家の蔵からの窃盗。

「垢割りたくないって、顔に出ていますよ」

「どうして、ここに来た」

拉致が開かないので、早く話を聞いて、帰そうと思った。

「僕が話があるので、なく。僕は、伝えるだけです」

「何だ?それは?」

彼をみんなが、怖がる理由が、ここにある。火事騒ぎも、騒音騒ぎも、霊がらみだった。

「そう言う誰かに言わされた的な物言いは、止めてくれないか?僕は、苦手なんだよ」

「だから、僕が来たんです」

と言いながら、颯太は、目線を天井に向けて、急に離し出した。

「どうする?自分で言いたい?」

「いや・・・ちょっと、待て。誰と話している?」

「えっと・・・どうしよう」

颯太は、困った様に、辺りを見回した。

「大丈夫かな?」

「何を心配しているんだ?誰も、いないだろう?」

僕は、颯太が、周りを気にしているので、嗜めた。誰に気を使うと言うのだ。

「じゃぁ・・いいですかね?」

「風雲。光を集め、その姿を現せ」

そう呟くと、目の前に逆さになった少女の顔が現れた。髪が逆立ち、目の前で、微笑む口元は、耳まで、裂けている。

「これって?」

僕の声は、うわずっていた。

「幽霊?」

「ですやん」

僕は、気を失っていた。

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