ラストソングが消えた夜

糸田三工

第1話 兜町と歌舞伎町

二十五年間勤務した会社を早期退職した、三日坊主で堪え性のない僕には上出来だ。


新卒三年以内の離職率が15%~25%の証券会社に就職して、真っ先に辞めるだろうと言われていたが、下馬評を裏切って好成績を叩き出したのは、四半世紀前のことだ。




永かったと言えば、永かったし、短かったと言えば、短かったような気がする。


新規開拓の醍醐味を知ると辞められなくなってしまう、門前払いをされても、次の一手を考えて、ロールプレーとシミュレーションを繰り返すだけで、全身に力が漲り出す。




愛憎半ば、本音を言わして貰えば、愛情が四割弱で、憎悪が六割強程度を占めている。


中堅処と呼ばれるようになると、新規開拓や休眠覚醒よりも既存顧客で、如何に手数料を上げることが評価されるので、初めに商品ありきの決め打ち営業が求められる。




強がりを言っているが、一人きりになると寂寥感に襲われて、眠れなくなってしまう。


イージー客、お任せ客、ゴミ箱等と揶揄される親切な顧客を狙い撃ちして、信用取引、投資信託、仕組債等の最も収益性が高い商品を嵌め込み営業するので、短命に終わる。




現在の本社所在地は異なるが、昔から業界を一色単に纏めて、兜町と揶揄されている。


かぶとちょう若しくはしまと呼ばれて、大蔵省(現、金融庁)による護送船団方式によって、銀行主導の間接金融と比較して、直接金融の占める役割は極めて限定された。




最初の十年だけ、スカーフェイスの前半みたいにイケイケドンドンで絶好調であった。


繰り返しになるが、新規開拓の醍醐味を味わうとノルマ(イメージ悪化で予算と言い換え)や初日営業、乗り換え営業は、利益相反関係にあり、馬鹿馬鹿しくなってしまう。




退職まで十五年は敵だらけで、スカーフェイスの後半をオブラートに包んだようだ。


上司への直談判が不調に終わると、社員組合及び内部告発を連発していたので、異動前から警戒されてしまい、不穏な動きを感じると事前に伝家の宝刀を行使された。




兜町の住人は、本音を隠す為、スーツに身を包み、整髪料によって嘘を塗り固める。


身嗜みを整えると、立派な人間に見えてしまい、ネット情報による洪水以前の牧歌的な社会では、日経新聞及びNHKの権威は絶対であり、ご神託とも言える存在であった。




高級時計や外車がステータスシンボルなので、購入するが、ローンに追い掛けられる。


日頃の鬱憤を晴らすか如く、ボーナスに依存して高級時計や外車を購入するが、身の丈に合わない買い物により、恒常的な物入りとなって、借金で首が回らない者も多い。




文楽人形を操る魑魅魍魎、大夫が永田町、三味線は霞が関の八百長は既に崩壊した。


政策に売りなしと言われ、大臣や派閥の領袖の発言や省令や通達等の裁量行政もビッグバン以降は神通力を失い、外国人投資家の動向こそ、最大の株価変動要因になった。




汝の名はヘッジファンド、デリバティブ、アニマルスピリット改め、グリード。


冷戦の終結により、金融工学を駆使したヘッジファンドの機動的な売買に翻弄され、デリバティブの活用により、マネーゲーム化して、相場操縦を摘発することも出来ない。




尻尾に振り回され過ぎて、進路さえも分らなくなり、悪酔いしてしまったようだ。


SQ(特別清算指数)や日経平均とTOPIX弱点を見越したアービトラージ(裁定)だけでなく、スペキュレーション(投機)によって、混乱を助長すること甚だしい。




悪貨が良貨を駆逐して、一般投資家が敬遠する市場となり、賭博場に成り下がる。


インカムゲイン(配当収益)を目的とした長期投資が廃れて、キャピタルゲイン(売買収益)を狙った投機化が進み、IPO(新規公開)も初値天井のまま、消えてしまう。




心身共に疲弊し切った僕を支援してくれた恩人の紹介で、歌舞伎町に居を構えた。


信用していた人に裏切られ続けた結果、誰も信じられなくなってしまい、気鬱になってしまい、産業医若しくは主治医によって、精神疾患と診断されてしまう寸前であった。




ベランダから見えるルービックキューブのようなビルに風林会館が反射している。


昼の街は、年代による流行廃り以外の特徴が極力抑えられており、金太郎飴のようであるが、夜の街は、目立ちたがり、埋没せぬよう競い合って、不均衡な調和を生む。




都条例で随分少なくなったと聞くが、女性に声を掛けられ、男性は二種類の反応だ。


水商売の女性は、僕を見ると一応声を掛けてくれるが、男性の場合、客引き担当と思しき人は、女性より熱心に勧誘して来るが、ホストは、存在しないかのように無視する。




歌舞伎町の住人は、欲望を現金化して、一攫千金で無間地獄からの脱出を夢見ている。


野生動物宛らの生態系を形成しており、事前に割り当てられた縄張り内で階層による料金と報酬に従いながら全身全霊を傾けて、食うや食わずの狩猟生活を営んでいる。




兜町とは異なる秩序が働いており、裸一貫の勝負で、他人の褌では相撲を取らない。


個人投資家よりも機関投資家が優遇され、発行体の意向こそ重視されているが、国内投資家は制約条件に泣き、海外投資家の横暴な振る舞いを、歯軋りしながら眺めている。




抑々、褌でなくて廻しであると茶々を入れる奴こそ、ファイトで断罪されている。


正直者が報われる社会でなければ、発展はあり得ないが、過去の蓄積を吐き出しつつ、正直者が馬鹿を見る社会に上手く、順応している輩こそ、我が物顔で闊歩している。




不夜城や新宿鮫で強調される、無法地帯もあるけれど、態々行かなければ安全だ。


様々な媒体によって、警告されている場所に、興味本位で足を踏み入れたら、自業自得であり、安心出来ると太鼓判を押されている場所であれば、比較的に安心且つ安価だ。




人の流れが、時間帯により、明らかに異なることだけは、鈍感な僕でも一目瞭然だ。


終電前、帰路に向かう人の流れに逆らい、宵の口とばかりに人が集積する場所は、コロナ禍でも眠らない街に足を踏み入れるのであれば、適当は危険を伴い、覚悟が必要だ。




百聞は一見に如かずと思い、恩人の好意に甘えて、懐に飛び込むことを決断した。


歌舞伎町に住むことを話すと七割以上が、眉を顰める一方で、二割弱が羨ましがり、残りは他人事なので、無関心であるか、歌舞伎町に対する認識が、抑々欠如している。




人間不信になりそうな僕に追い打ちを掛けるように年の差カップルがホテルに入る。


不倫若しくは買春としか見えない二人が人目を憚りながら、ホテルに出入りしている、僕のマンションも相当部分が、指名を待つ男女の待機場所として、利用されている。




空がないと芸術家は嘆いたが、コロナ禍の今も空はないが、空室で満ち溢れている。


戦前の東京でさえ、地方と比較して閉塞感が漂っていた証跡でもあるが、高層ビルが林立しており、常に圧迫感が迫っており、ホテルの休憩料金体系も既に崩壊している。




色即是空、空即是色を理解するには、まだ若過ぎるので、人生色々から始めよう。


些細な事象に囚われていると、思考回路が狂ってしまいそうなので、派遣労働の全面解禁に踏み切った首相の迷科白を思い出しながら、木枯らし紋次郎を気取って嘯いた。




人間は生きているだけで、酸素が必要であり、二酸化炭素も排出する業を背負う。


脱炭素社会を目指す上で、光合成する植物は優等生であり、呼吸をする動物は劣等生である、肉食系男子よりも草食系男子が持て囃されるのも、従って時代の要請と言える。




二酸化炭素の削減を声高に叫ぶのなら、人減らしこそ、最善の策かもしれない。


営業成績が冴えないと「何もするな、呼吸もするな」とパワハラ発言が飛び出したが、全世界規模で働かざるもの食うべからずの動きが、急激に実現化する可能性を孕む。




率先垂範した結果、少子高齢化社会の実現という解決策を導き出したのだろうか。


バブル崩壊も諸外国に先駆けて、経験した我が国の動向を常に興味深く、見守られているが、隣国でも一人っ子政策の反動により、最悪の事態を、目前に迎え始めている。




朝早く起きて、深夜まで一所懸命、滅私奉公の精神で働く時代は終わったと言う。


定時よりも早く出勤して、深夜までサービス残業を行うのが標準となっている為、寿司詰めの満員電車に揺られていたが、三密を避ける為、在宅勤務が奨励されている。




大東亜戦争前後と比較すれば、社会の変化も僅かだが、僕は時代に取り残された。


我が国の労働市場は、年功序列によって、業務量が減少するのに給料が増加する歪な構造であり、適応能力の低い高齢者が制約条件となり、変革の足枷になってしまう。




懲役刑でなく、禁固刑を言い渡されて、一日が過ぎ去るのが、兎に角待ち遠しい。


会社に所属していれば、油を売っていても時代遅れの男のように、自分を消して埋没しておれば、やり過ごすことも可能であるが、早期退職したので、出来なくなった。




怠け癖が付いてしまうので、多少条件が悪くても、早急に再就職をしなさいと言う。


僕の本性を知っている若しくは時代の変革を望まない人は、自由業と無職の差異なく、一刻も早く社会人としての役割を果たすように、社会復帰するように圧力を掛ける。




折角の機会なので、腰を据えて、構えながら、将来を考えなさいとも言われる。


人件費の圧縮こそ、急務であって買い手市場なので、拙速な行動を避けて、社会の変革を迎えるに当たって、自分の能力を最大限に発揮することが出来る転職を探すべきだ。




数多く生息している評論家の意見を真に受けて、失敗すれば自己責任と失笑される。


初日営業になると「売るもん売って買うもん買え」と情報量のない指示を興奮して、出し続ける上司と同様に厄介な存在であり、関わり合っても時間を浪費するだけだ。




親切そうな人は、決して親切でなく、本当に親切な人は、必要な時にだけ現れる。


困っている人を見付けると、何の解決策も持たない暇人が近寄って来るが、彼らに状況を説明しても、深刻そうな顔をするだけであり、解決策を持つ人は売り込んで来ない。




もし、目の前に親切な人が現れたら、親切仮面の可能性を真っ先に疑うべきだ。


「困っている時は相談して下さい」と売り込みを掛ける人は、他人の不幸は蜜の味とばかりに自分の優位性に満足して、井戸端会議の材料を得たことを北叟笑んでいる。




詰まらないことばかり考えると、割れそうな風船みたいにパンパンになってしまう。


考えるよりも行動こそ、大事であることも重々承知しているのに「ああでもないこうでもない」と一歩踏み出すのに、理性と呼ばれる常識が立ち塞がって、邪魔をする。




一週間分溜まった洗濯物を片付けようか、それともシャワーを浴びようかを考える。


会社に出勤していると、否応なしに毎日風呂に入らざるを得ない、身嗜みは基本であるが、整髪料のベタツキが気になる、自宅に籠っていると、それさえも億劫になる。




洗濯している間に、掃除をしてから、シャワーを浴びようと効率性を考えてしまう。


週末しか纏まった時間が創出できない為、土曜日の朝になると、一週間分溜まった選択物を片付けたり、クリーニングに出したり、限られた余暇の有効活用が重要だった。




ちびまる子ちゃんで現実に引き戻され、サザエさんで憂鬱になり、ジャンケンに泣く。


登場人物の屈託のなさ、天真爛漫な振る舞い等一挙手一投足に、過ぎ去った昭和の記憶を辿りながら、明日からの市場動向及び予算状況を考えると素直に楽しめなくなる。




時間だけがタップリ余っているのに、根雪のような習慣に戦慄を覚えて、寝転ぶ。


早期退職をして、毎日が土曜日若しくは日曜日になったのに、三つ子の魂百までとばかりに身に付いた習慣が、時折顔を出すので、辟易してしまい、嫌悪感に陥ってしまう。




遅刻して叱られる夢、予算未達で叱られる夢、大損させて叱られる夢ばかり見る。


兎に角何か理由を付けて、叱られてばかりであった、労働の対価でなく、叱られることに意義があるのか、約束の時間に遅れると顧客を怒らせて、またもや上司に叱られる。




叱られる夢は、現実に引き戻されるが、褒められる夢を見たら、どうなるのだろう。


学生時代の関心事は、試験の点数、取り分け単位を取得出来るか否かが重要だが、両親は僕のことを心配して叱るのに対して、上司や顧客は僕が迷惑を掛けたことに怒る。




いつもガンダーラを夢見ながらも、悲しみは雪のように、のサビを口遊んでしまう。


生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求の五段階説が提唱されているが、飽食の時代を謳歌する我が国では、二段階までは最低限、保障されている。




ベルク、本陣のヘビーローテーション、富士そばも行き過ぎて、食傷気味になった。


空腹を感じれば、狩猟採集の必要はなく、レストラン、ファストフード、コンビニエンスストアで誰でも簡単に食欲を満たせる、勿論、カネを持っていることが大前提だ。




三食パン若しくはそばだと栄養に偏りが生じるだろうか、ご飯なら大丈夫なのか。


早期退職を選択したことで、割増退職金が支給されたので、当面、カネに困ることはないが、欲求の赴くままに野放図な行動をしていれば、あっという間に枯渇してしまう。




ルチン、ポリフェノール、血液サラサラ効果って何と言いながら、一緒が心地良い。


BPO(放送倫理・番組向上機構)によって、不適切であると指摘されて、打ち切りになっても、健康食ブームは不変だ、正確な情報よりも横並びの安心感を欲している。




傷付き易いのは、若者なのだろうか、それとも大人なのだろうか、考えてみる。


「近頃の若者は」と大人は口癖のように言うけれど、嘗て若者であった時、そう言われて阻害されて、乗り越えて来た筈であり、ある意味で通過儀礼と考えざるを得ない。




昭和の歌謡曲と比較すれば、令和は過激な歌詞が目立つ、不器用な針鼠のようだ。


閉塞感の漂う時代を象徴しているのか、メロディーに関係なく、マシンガンのように過激な歌詞が繰り返されることで、不機嫌の無限連鎖が、幾何級的に拡散されている。




年寄りの小言と冷酒は後から効くと言うけれど、口当たりが悪ければ、敬遠される。


旅人のコートを脱がすことが出来たのは、父性を象徴する北風ではなく、母性を象徴する太陽であった、僕の勝手な解釈だったら、素直に訂正するが、そう思っている。




はじめ人間ギャートルズでも父は狩猟、母は家事のステレオタイプが成立している。


大家族且つマンモスに依存しているのに、カネは重くて、大きな石なので、現在よりも不便ではあるが、和気藹々とした雰囲気に包まれ、決して不幸ではないように感じる。




マンモスと対峙するリスクと比較すれば、現代の仕事では男女差を伴う要素は少ない。


現在の職場は、概ね安全且つ清潔となっており、お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯でなく、その役割を交替しても構わない、寧ろ子育てこそ、最重要事項だ。




再生産の糧を得る為の仕事が手段でなく、目的化してしまい、悪弊となっている。


所得倍増計画や列島改造論で、高度成長期を演出して、一億総中流を実現したが、通勤地獄、単身赴任の末、家族団欒でなく家庭崩壊を招く、量から質へ転換が求められる。




利活用で事足りる筈なのに、所有は寡占及び独占を求め、カネの多寡で換算する。


助け合い、向こう三件、両隣の精神は失われ、大都会、隣は何を、する人ぞ、になってしまい、疑心暗鬼になり、オイルショックの愚行は、コロナショックでも再現された。




勝つ為に生まれたのではなく、幸せになる為に生まれ、育って来たはずなのに。


保育所は働く母、幼稚園は専業主婦、利用者の利便でなく、省庁の縄張り争い、一般的に後者は早期から塾通いと習い事により、お受験による偏差値エリートを量産する。




勉強や試験には、科目及び正答が必ず存在しているが、社会に出れば、抑々ない。


小学校から大学まで、科目別に勉強し続けて、正答を導き出す過程よりも、結果だけが評価されるが、実際には近似値を求める役割を果たすだけであり、万能ではない。




勝者になることのみ叩き込まれ、敗者への労りを持たず、自分の首も絞めている。


勝者が全てを手に入れ、敗者は身包みを剥がされる恐怖から、限定闘争ではなく、超限戦争になってしまうので、手段を選ばない、より凄惨な結果を招来することになる。




正直者は報われず、馬鹿を見る社会になれば、努力よりも要領が持て囃される。


果実を収穫する為、種を播き、水と肥料を与える手間暇と努力が必要であるが、他人の果実を横取りすることを卑怯から要領と言い換えることで、悪貨が良貨を駆逐する。




コンプライアンスを振り翳し、法令順守さえしていれば、問題がないのだろうか。


日進月歩の技術革新により、法令諸規則の不備が指摘されている、額面通り捉えれば、弱肉強食が正当化されれば、無慈悲な略奪によって、不幸の連鎖が拡散してしまう。




カリスマ経営者だけ、高額報酬でカネを貪り、合理化で生活の糧さえも奪われる。


大雑把に言えば、収益=売上―費用となるので、売上を増加するか費用を減少させるしかなく、前者よりも後者の方が容易となっており、経営者による裁量の余地が生じる。




法令違反を正当化する訳ではないけれど、罪を憎んで人を憎まず、が求められている。


コンプライアンス一辺倒でなく、株主(ストックホルダー)から利益関係者(ステークホルダー)も含めたガバナンス(統治)で、略奪及び搾取に制限を加えるべきだ。




数字が人格と洗脳され続けると、会社の常識が社会の非常識である感覚が麻痺する。


研修時の不正が組織的に横行すると、済崩し的に不正の範囲及び規模が拡大して、歯止めが効かなくなってしまい、内部告発に対して、調和を乱す裏切り行為と断罪する。




寛容の精神が失われて、トレイントレインの世界が現実となり、生贄を探し続ける。


新入社員、女性社員、派遣社員、トレイニー等が標的に成り易く、地方出身者や外国人の場合、言葉遣いや文化の違いによって、イジメやイジリの対象にされてしまう。




新規公開株によるバーター取引、非対面による保険販売等は、業界全体に拡散した。


大手顧客だけでなく、その運用担当者への優先配分が、ハイリスクローリターンで不機嫌な商品である仕組債の販売競争になり、有名私立大学等の巨額損失を生み出した。




組織的に箍が緩み、インサイダー情報の杜な管理によって、市場の信頼を損ねた。


個人的な利益を追求する行為は、後を絶たず発生し続けるが、機関投資家だけ事前に耳打ちしていた事実が露見すると、長期投資家が漸減して、デイトレーダー化した。




新規公開株に至っては、上場時の配分だけを求めて、多数の口座開設が為される。


支店及び本社の負担だけが多くなり、配分だけしか見向きもしない為、初値天井のまま一切見向きもされず、ファイナンスを実施出来ない上場企業が、大多数を占めている。




目先の利益を優先させた結果、信頼性を損なっており、不信が不振を長期化させる。


何も言えなくて…夏、のサビと同じような状況を打開するには、一株当たり純資産が一倍以下の会社は非上場化を検討して、国際水準と国内専門の垣根を設ける必要がある。




現金同等物以外の配当を廃止すれば、株主優待が人気の企業には、不利なだけだ。


電鉄系の株主優待は、地元の利用者には魅力的であるが、外国人投資家には無用の長物であり、株主一辺倒でなく、利益関係者を考慮して、上場の是非を検討すべきだ。




上場維持費用の高騰が潮流となっており、非上場化を選択する例も増加している。


残念ながら、地元密着型若しくは企業城下町ではなく、ハゲタカ若しくはハイエナによる底値買いと再上場化により、一粒で二度美味しい魔術に指を銜えて、眺めるだけだ。




子どもにお馴染みである王様の耳はロバの耳と裸の王様は、実は示唆に富んでいる。


前者は、本人の努力によって改善出来ない問題なので、他人に吹聴するべきでないが、後者については、自分若しくは王様が間違っている可能性が高く、確認するべきだ。




正論も周囲の理解が得られなければ、狼少年扱いされて、組織内で虐げられる。


過誤や不備が直ちに改められることは、前例を踏襲しがちで非常に難しいが、罪を憎んで人を憎まず、隠蔽や責任転嫁でなく、時代若しくは制度の要請と割り切るべきだ。




残念ながら、主流派に属していれば、組織及び自己保身に走りやすい傾向がある。


どの組織にもある程度、野党的な立場を打ち出す勢力も一定数存在しているが、島国根性なのか緊急事態であっても、休戦協定を結ばずに敵失だけを狙う輩が跋扈する。




嘗て主流派の末席を汚していた時には、悔しければ、成果出せと息巻いていた。


お客様より上司様の文化が定着しており、上司様より銀行様となった今では、掛け声も空虚なだけであり、三つ子の魂百までを文字通り体現する後追い感は拭い去れない。




根本的な要因として、顧客収支と収益源が利益相反している状況を是とする常識だ。


上昇が見込める資産を保有している場合、収益は限定されるので、新規資金が困難であれば、乗り換えを提案するが、情報及び顧客収支に対価を請求する勇気が必要だ。




矛盾も感じずに無我夢中で走り続けていたが、禁断である智慧の実を口にした。


会社の無謬性と上司の指示乃ち命令は、絶対であり、自分の将来を約束して、導いてくれる存在であると盲信していたが、ある出来事を切っ掛けとして、疑念が生じた。


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