いけいけ勇者様70

最上司叉

第1話

少女が怒りながら立っている。


「パパに何するのよ!」


「!!パパ?」


「そうよ!病気になったパパをやっと治してもらったのに!」


そう言うと少女は泣き出してしまった。


「…」


勇者は黙って少女を見守ることしか出来ない。


「グヘヘ」


化け物が動いた気配があった。


「危ない!」


勇者は少女を抱えて外に飛び出す。


化け物は実の娘を狙ったのだ。


「離せ!」


少女は勇者の腕の中で暴れている。


その時小屋が炎に包まれた。


「パパー!」


「ダメです!大人しくしててください!」


そう声を荒げながら王様つきの魔法使いが姿を見せた。


小屋はあっという間に燃えてしまった。


【ガラガラ】


「グヘヘ…?」


化け物が小屋から出てきた瞬間太陽の陽射しに晒された。


「ギャァアアア!」


「パパー!」


化け物は跡形もなく消えてしまった。


【ドカッ】


少女は勇者の腹に蹴りを入れて化け物のところへ急いで向かう。


少女は焼けた小屋の前に座り込み泣いている。


勇者は思った。


これは白衣の男の仕業じゃないだろうかと。


勇者は少女に近づいて話しかけた。


「パパを誰に治してもらった?」


「ヒックッ…知らないもん!」


「答えろ!大事なことだ!」


「!ふぇーん!」


「勇者様、私が聞いてみます」


「パパを殺した奴らに言うもんか!」


そう言うと少女はどこかに走り出した。


「待って!」


勇者と魔法使いが後を追う。


「危ない!」


【ドンッ】


少女は何かにぶつかり転んでしまった。


「グォォ!」


勇者は走りながら剣を抜く。


【スパッ】


勇者は熊の腕を切り落とした。


「グォンッ」


熊は一目散に逃げていった。


勇者は振り返り少女に聞いた。


「大丈夫か?」


「ヒックッ怖かったよー」


勇者は少女の頭を撫でながら言った。


「もう大丈夫だ」


「ふぇーん!」


勇者と魔法使いは少女を保護し街に帰ってきた。


少女は泣き疲れて眠ってしまっている。


魔法使いが少女を城に連れて行った。


数日後魔法使いが勇者たちの家にやってきて少女から聞いた話を伝えてくれた。


1年くらい前に白衣を着た男が小屋にやってきて少女のパパを治すと言って何かを注射したとのことだった。


不思議なことに少女は1年近く無事でいたことが分かった。


少女には不思議な力があるのだろうか?


少女は国の孤児を引き取り立派な剣士や魔法使いに育てるところにいると魔法使いは最後に言った。

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