神の領域の鑑定スキルを得た俺は、関わったすべての人を幸せにするつもりが、なぜか最狂のハーレムを作り上げてしまう

爆進王

第1話 創造神様との出会い

(未来には、絶望しかない…何の期待感もない。不遇な人生)



 ベッドの中、もうろうとした意識の中で考える。


 安い給料でこき使われ、体を壊したら『もう来なくてもいい』と言われ、失業してしまった。


 社員さんには『いつも無理を言って悪いね。君みたいな人がいてくれると本当に助かるんだ。いつも感謝しているよ』と言われていたが、この言葉は…口先だけの言葉だった。

 

 先週『体の調子が悪いので、病院に行って検査をしたい。申し訳ありませんが、一日だけ休ませてほしい』とお願いをしたら…態度は一転した。



「はぁっ!?、ふざけんなよ!!もし休むんだったら、クビにして違う人を呼ぶぞ。お前の代わりはいくらでもいるんだ!!」

 


 そう言われ、取り合ってもらえなかった。


 疲れた体に鞭を打って働いた結果、完全に体がおかしくなり動けなくなってしまった。


 会社に連絡をしたのだが…



「あっ、もういりません」



 その一言しかなかった…。


 このアパートも出て行かなければならないが、もう気力が無く、立ち上がれない…。胸が苦しい。目が回り、視界が無くなっていく…。



「俺は…死ぬのか。ただ…ただ普通に生きていきたかっただけなのに…」



 そう呟き、32年間の不遇の人生を終えた。



★☆★



 真っ暗な世界。意識だけで体の感覚は無く、空中にふわふわと浮かんでいる様な感じ。



(俺は死んだんだ…)



 そう思った時、遠くに一筋の光が見えたかと思うと、強烈な光に包まれた。


 光が強すぎて、しばらくは何も見えなかったのだが、段々と目が慣れてくると、周りの景色が見えてきた。


 目の前には神殿があり、異常なまでの存在感を放つ、とても美しい女性が立っていた。



「ふふふっ、こんにちは。ハヤト君」


「こ、こんにちわ…」


「緊張してる?出来れば気楽にしてほしいんだけど…」


「………はい」



 優しく女性が話しかけてきた。



「大変な人生だったわね。お疲れ様でした」


「あっ、お疲れ様です」



 反射的に仕事が終わった時のような挨拶をしてしまった。



「あなたはハヤト君で間違い無いわね」


「はい。俺はハヤトですが…貴女は…どちら様でしたっけ?」


「ふふふっ、私は創造神のマリアです」


「…創造神のマリア…そ、創造神!?」



 創造神マリア様は、青みがかった銀髪で、透き通るような白い肌をした美しい女性だった。



「普段通りでいいのよ。気楽にね」


「は、はい」


「私は亡くなった人の魂の中から日頃の行いが良かった人を選んで、消滅してしまう前にこちらに呼んでいるのです。今回はハヤト君、あなたの魂を選びました」


「はぁ…俺には意味が分かりませんが…」



 慈愛に満ちた表情のマリア様が近づいてきた。



「あなたは厳しい環境の中、一生懸命に生きてきた事を、私は知っています。自分を犠牲にしても、人の事を思って行動をしていた。でも…何も報われなかった」


「…はい。でも結局、俺に何の才能もなかったから…仕方なかったと思っています。ただ………人から『ありがとう』と言われる事が、とても嬉しかったので…勝手にそうしていただけです」


「そうね。でもなかなか出来ることでは無いわ。それに…あなたには才能があったわ」


「!?、俺に才能が…し、信じられません…」


「ふふふっ、あなたには世界的なピアニストになれる才能があったのよ」


「はっ!?」



 思わず、大きな声を出してしまった。



「世界的なピアニストって…。俺はピアノなんか弾いた事も、触った事もありませんでしたけど…」


「弾いた事も、触った事もなかったから、才能に気づかなかったのよ」


「そんな事、今更、言われても…」


「私は創造神として、生まれた時に一人ずつ、才能を与えているのです」



 俺は複雑な気持ちで、マリア様の話を聞く。



「99%の人間が、自分の持っている才能に気づかないで一生を終える。運よく才能に気づいて努力した者だけが成功するのよ」


「………複雑な気分です」


「あなたが生きてきた世界だけではなく、数えきれない世界があり、数えきれないほどの生き物が暮している。私が一人一人に教えて回るのは、現実的じゃないのよ」



 俺は『正直、今更感が否めない』と思ったのだが、次の瞬間『今更感が否めないと思ったでしょ?』っと突っ込まれてしまう。どうやら、なんでもお見通しのようだ。



「えっ、い、いやっ」


「いいのよ。それでね、あなたにはもう一度、生きる機会を与えたいと思って、ここに呼んだの」


「生き返れるんですか!?」


「いえ、あなたには異世界へ転移してもらいます!!」

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