第46話 ダブルデートでファミレス
咲夜と悠、翼と琉偉の4人でファミリーレストランに行くことになった。
ダブルデートをしようとなったのは、琉偉からの発言だった。
来春に琉偉が地元から引っ越して、大学に通うことになったため、それまでにたくさんの思い出を作ろうと誘われた。2人のデートを増やせばいいのに、話題のテーマを出すのに自信がない琉偉は、咲夜がいれば何とかなるという変な自信があった。まだ、後ろ髪ひかれているのだろうかと翼は、感じた。
「ねぇ、悠は何にする?
私、ハンバーグ好きだから、ハンバーグプレートにしようかなと思ってた」
「そうだなぁ、海鮮丼も好きだから。この味噌汁セットにしようかな」
「和だね。カロリーダウンだし、気にしてる?」
「まぁ、念のため」
琉偉は仲良さそうに2人が会話するのをじっと見つめていた。
自分に見せない表情をする咲夜がいる。嫉妬心が沸く。
「琉偉はどうするの? 私はホットケーキプレートにしちゃおうかな。
苺も乗って可愛いじゃん」
翼はご機嫌にメニュー表を指さす。
「翼って、甘いの好きなんだなぁ。俺はがっつりステーキプレートだな」
咲夜は、じろじろと翼と琉偉の会話を眺めていると、前よりのもすごく親密になってるなとしみじみ感じた。ちゃんづけだった名前が呼び捨てになってる。
「仲いいじゃん。二人とも。何か安心した」
隣同士ぺったりとくっついて、メニュー表を眺める2人。
咲夜は対抗意識を燃やして、悠と一緒にメニュー表を立てて、決まったはずなのにまた眺める。不意に2人に見えないように悠は、咲夜の頬にキスをした。ばれていない。咲夜の耳が赤くなって、ふふふと笑い出す。
「きもいな」
「咲夜、大丈夫? 笑いキノコでも食べた?」
琉偉と翼は咲夜を見る。まだ笑い続けている。
「ねぇねぇ、言っていい?」
「何を?」
翼は咲夜に問う。咲夜は、両頬に手を添えた。
「私、今、超幸せ」
「何?! なんで急にそれ言うんだよ。あ、わかったぞ。お前、咲夜になんかしたな?!」
琉偉は強烈に反応する。悠は口笛を吹いて、スマホの画面をタップする。ゲームに夢中になり始めた。
「おい、話そらすな。俺の話聞けって」
「興味なーい」
悠は面白くなって、琉偉のかわし方を覚えた。琉偉に本気に相手する意味がないだろうと対策ができたのだ。
「チェ……。てかさ、なんで俺ら4人でこうやって食べるんだっけ」
「そもそも、琉偉が企画したんでしょう。あんたが言い出しっぺなんだから、雰囲気作りなさいよ!!」
「雰囲気だ?! どんな雰囲気だよ。生徒会長みたいに仕切るってことか?!」
「やれるもんならやってみな」
琉偉と咲夜が言い合う。翼はコントを見てるようで楽しくなって、何も言えなくなる。
「えー、今回生徒会長に任命された大谷琉偉です。学校の楽しい雰囲気
をそのまま行事などを通して学校全体に反映していけたらと考えています。さらに、生徒だけでなく地域の方々や先生方にも頼りにされる生徒会を目指して、皆さんの役に立てる活動をどんどん行っていきますので、これからも生徒会へのご支援ご協力をお願いします!」
演説のように本当に生徒会長のセリフを言い始めた琉偉。ほかの3人はなぜか冗談なのに真剣に聞いている。
「範囲広すぎだわ」
悠がツッコミをして、笑う。
「本気で生徒会するんじゃないよ。逆に引くわ~」
「確かに小規模の集まりでそのセリフないわぁ」
咲夜と翼は見合わせてうなずく。琉偉は本気モードで生徒会をして、身震いがした。
「なぁ、俺、なんで今、生徒会したんだ?」
「「知らんわ!!」」
翼と咲夜が同時に話す。悠はその言葉に大爆笑していた。
涙を流すくらいに笑ってる。
「マジ受けるんですけど……」
悠の笑顔がキラキラしていた。
「笑ってるところ、初めて見た……」
「琉偉、惚れるなよ!! 悠は私が好きなの!!」
「誰が惚れるか!?」
なんだかんだ言いつつも、4人での話が盛り上がっていた。
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