第5話 ホラーが好きな友紀奈と一緒に

お化け屋敷の2回目を咲夜と友紀奈は、

隣同士、ドキドキしながら入っていった。


さすがに2回目となると

どこで何があるかわかってしまうため、

怖さは半減する。


怖いのがすごく好きな友紀奈は、

咲夜にしっかりとしがみついて

泣きそうなくらいに怖がっていた。

 咲夜は心配して大丈夫と声をかけた。


「怖いの好きなだけど、

 めっちゃ怖がりだから。」


「そ、そうなんだ。

 いいよ。しっかりつかんでて。

 案内するから。」


「え、うそ。

 咲夜ちゃん。頼もしいね。

 嬉しい。」


 まさかのエスコートとなるとは

 思わなかった。

 この役割って悠がやった方が

 よかったんじゃないかと思う。

 まるで宝塚の男役に配役されたよう。

 定番のこんにゃくトラップに見事に

 ひっかかる友紀奈は、

 びっくりするくらいの悲鳴をあげて、

 咲夜を置いて、出口に行ってしまった。


「え、ちょっと待って。

 私、1人にしないでー。」


 さすがに2回目といえど、

 1人になるのは怖かった。

 取り残された咲夜は慌てて、

 出口に移動した。


「ごめんね、本当にごめんね。

 怖いの好きって言ってたけど、

 実際に体験するのは無理だったわ。

 聴くのならいいのかも。」


「友紀奈って面白いね。」


「え、そうかな。

 ミステリーとかホラーとかの本読むのは

 いいんだけどなぁ。

 驚かすとかはちょっと苦手かも。」


「こんにゃくだったのは気づいてた?」


「うそ、あれ、こんにゃくなの?

 スライムだと思っていた。

 こんにゃく踏んだんだね。」


「ま、楽しめたからいいかな。

 みんな、確か、体育館で

 ライブ終わった後、手品ショーやるって

 言ってたから見に行ってると思うよ。

 あ、でも、手品ってびっくりするよね。

 大丈夫?」


 咲夜は、スマホのラインを確認して、

 悠と翼がどこにいるか確認した。

 

「それくらいなら、大丈夫だよ。

 怖くないもん。

 でも、咲夜が一緒にいてくれたから

 なんとかなったよ。

 ありがとう。」


「ううん。大丈夫。

 私も2回目でも楽しめたから。

 んじゃ、行こうか。

 体育館。手品ってイリュージョンを

 やるのかな。楽しみだな.」


「そうだね。トランプのマジックなのか

 ボックスに剣さすのかな。

 気になるね。」


 2人は手品の内容を想像しながら、

 隣同士、体育館に向かった。

 いつの間にか、呼び捨てで呼び合う

 仲の良さになっていた。

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