第5話(1)またまたまたまた悩む
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またもあらためてわたしの名前は最寄田静香。16歳。この春から高校二年生だ。
さて、つい昨日、『新宿オルタナティブ学園』の二年生に晴れて進級して記念すべき四日目だったのだが……なんとも驚くべきことがあった。学園名変更? 残念、違うのだ。
……茶色の短髪でイケメンのスペースポリスマンと会ったのだ。いや、何を言っているのだと思われるのも分かる。わたし自身も同じような気持ちだからだ。最初はその恰好から、どこかで宇宙関連のイベントでもあるのかと思った。その関係者さんに話しかけられるとはまったく予想だにしていない。戸惑いつつも話を聞くと、その茶髪イケメンの男性は、デストロイ=ノリタカさんというコードネームを名乗り、自分のことはスペースポリスマンだと言った。頭がおかしいと思ってしまった。スペースポリスマンなんて……そもそも何? 宇宙警察とかじゃあダメなのか。英語を用いるにしても、それっぽい名称が他にあるんじゃないのか? などと思いながら、首を傾げた。何故現代の新宿の高校に?
ノリタカさんは整った顔立ちで爽やかさを感じさせる人だった。人によっては、それだけで警戒心を緩めてしまう人もいるだろうし、その逆の場合もある。わたしの場合は後者だった。ごくごく普通に生きてきたつもりなのに、スペースポリスマンに話しかけられるとは思えない。そりゃあ、高校に入学してからは不幸な体質になってしまったかのように感じていたが、それが現代日本に、いいや、現代世界において何人いるのかも分からないスペースポリスマンさんにお世話になることになるだなんて、本当に想像もしていない。
しかし、ノリタカさんが言うには、わたしは『適性』があるという。適性とはスペースポリスマンに対してのものである。地球に様々な侵略行為を仕掛けてくるエイリアン――つまり異星人――を迎撃しようと言われた。実際に昨日、タコ型のベタベタな異星人に遭遇してしまったのだから、信じるしかない。日本ではこの学園付近を異星人が特に狙っているという。わたしはノリタカさんと『サイレンス=シズカ』というコードネームで、エイリアン迎撃にあたることとなった。そんな……わたしはただ唖然とするしかなかった。
……まあ、嘆いてばかりもいられない。ノリタカさんの話では、エイリアンの襲撃頻度というのは週に一度か二度らしい。頻度が決まっているエイリアンってなんだろうとは思うし、コードネームは再考を願い出たいところなのだが……悪を迎撃しよう……うん?
「……」
何やら校舎前がざわざわしているな……。平和に過ごしたいところなのだが……む?
「ああ、おせえな。ったく、やっと会えたぜ……まあ、これも思し召しってやつか……」
黒ずくめの恰好をした、金髪の男性がわたしを見つけて、面倒そうに声をかけてきた。
「ど、どなたさまでしょうか……?」
わたしは困惑気味に応じる。新年度五日目、またしても予想外の幕開けだ。
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