第10話「白百合の夜1」

「おぉ!モア、さすがだ!ヴェルな「マダァジュ」だ!

俺は、どう?ェトヮンティに見えるかな??」 

 いいんじゃない。

ーーそ・れ・よ・り…。

 今夜は、自分を俺って言わない事っ!

「ゎわかった。わかった。」

ーーぃや、わかってないだろ、こいつ…。

「いぃやぁあ!モア!実に美しいぃ!!ヴェルルンだよぉ!」

「メラァ、お持ちしました。」

「なんですか??」

「ソレイュには、ないよ。ごめんねぇ!」

「モアにコレを貸してあげたくてね。

ヴェルなマダァジュには、綺麗なキンカラリネが必要でしょ?

ホホホォ!」

「そんなに高そうな物、借りて大丈夫なんですか?」

「大丈夫!モアなら盗まれないよね?」

 もちろん。


ここまで来ちまったけど…。 

やべぇ‼︎緊張して来たぁあ!

ダントンさんの城に戻るまで俺は…。

リェステ・ノゥジェルドのレオハルト、モアはフラレンスのジャンヌ!

モアは頬杖を付いて、つまらなそうに外を眺めている。

濃いヴァイオラが胸元を隠し、緩く波打つ髪。

揺れるエメラルデの耳飾りと、光る首飾り。

ブランのカァド、ドコから見ても美しい「マダァジュ」だ。

口元のピネットは、隠しているのか…。

俺と違って落ち着いてるなぁ…。

シュバリァが止まる。

 『◇-_-◇。』

モアが唱えるように囁く。

シュバリァを降りて、モアの手を取る。

 ぅふふっ、いきましょう!貴方ぁ!

〜〜ッッ‼︎‼︎

ぁあ⁈はぁぁああ⁈

モアの変わり身がすげぇええ‼︎

これが…モアの本気かぁあ‼︎

「…ぁあ、楽しみだな。」

纏ってるモアの雰囲気とスヮントの豪華さに圧巻された。

 …貴方ぁ、私くし喉が乾いたわぁ。

「ぁ…あぁ。」

危ねぇ、危ねぇ。

雰囲気にノマれるところだった!

モアはさすがに、慣れた様子。

でも、なんだこの違和感。

「…とってもヴェルねぇ!」

「まぁまぁ!なんて可憐なんでしょう! 

華が咲いてるみたぁい!」

「ぜひ、お近づきになりたいものだぁ!」

「無理、無理。独りなはずないッ! 

イグニスがいるに決まっている!」

 貴方ぁ?やっぱり夜会は苦手ぇ?

頑張れるおまじないをしてあげる。

 眼を閉じて…。

えぇ⁈モア何する気なんだよ⁈

なんだ⁇この頬に当たる冷たく柔らかい感触は⁇

 これで最後まで頑張れるわね?

笑顔?の後の目が恐い。

しかも、周りが余計ザヮザヮしてる…。

おぃぃい‼︎

モア、めちゃくちゃ目立ってるぞ!

大丈夫か?

ちょっと心配だ……。

俺にできる事は、レオハルトを演じきる事‼︎

そして……モアを「絶対」に、独り身に見せない事‼︎


 主役の方はどなたですの?

「あちらの煉瓦色の服の方ですよ。」

 ありがとう。

2人でビサ〜レを飲みながら、邸宅のメラァを探す。

探している時も周りはヒソヒソ、騒がしい。

モアの話題で持ち切りだ。

「やっぱりイグニスがいたかぁ!」

「イグニスもヴェルだわぁ!」

「関係ないじゃないか!私は、2番目でも構わん。」

「わたくしは、イグニス ね ら い!」

どうだ〜!

いいだろ〜!

俺のフラレンスすげぇヴェルだろ〜!! 

!?

 あの赤煉瓦色の服の男が、今夜の獲物。近づいて、どんな奴か見たい。上手く合わせて。

…上手くできっかな。

 貴方ぁ、私くしこの曲好きなのぉ!踊りましょう!

モアに手を取られる。

「あぁ、いいよ。」

!!

相変わらず、細い身体ッ‼︎

甘いロゥジァの香り…。

あの時のロゥジァッ‼︎

こんなに甘い香りだったか⁈

!!

〜〜ッ‼︎

蝶の模様の様に浮き出た骨…。

胸にピネットぉぉおお‼︎

なんだよッそのエロぃピネット‼︎

この細い身体でどうやって胸作ってんだよッ⁈

……たまに様子を伺う時のその、上目遣いを

ヤ メ ロ‼︎

かゎ……「あの時」の事、思い出しちまう…。

今は、大事な任務中!!

さんざん、モアに言われたろっ!

集中、集中‼︎

踊っている間も周りの視線がヤベぇ‼︎

モア、注目浴び過ぎだぁあ‼︎。

見て欲しいけど、見て欲しくねぇ!

なんだ?この気持ち⁇

え⁈

クルッ

 『見えた?』

!!

耳ッ耳元で囁くなァァアッ‼︎

そして、練習通り微笑むなァアッ‼︎

あ、煉瓦色のヤツ。

「ヒュフ フ。いやぁ、お美しかったです。

初めましてですね?」

「いやぁ、バロンナィル様はわたくしのものよぉ!」

「わたくしのものでもあるのよ!」

「あぁん!わたくしを仲間外れにしないでぇ!」

何人も女性はべらせて!

なんだッコイツっ‼︎

「初めまして、レオハルト・リェステと申します。

こちらは、フ ラ レ ン スのジャンヌです。」

「本当にお美しい!

私は、リィゼルェヴァスタ・バロンナィルと申します…。」

 まぁっ…やだわ。美しいだなんてッ!

畜生ォオッ!割って入ったのにぃッ‼︎

モアが手をとられそうになって、さっと頬に手を当て交わした。

モア…嫌だったんだな…ョショシ。

モアは、俺が守られねぇと!

モアは…見てるとわかりやすい。

好きと嫌いが、はっきりしている。

本人は、出さないようにしてっけど…。

だから、こうやって周りに合わせて笑顔なのは貴重だ。

いや!

“笑顔“自体が貴重だ‼︎

「レオハルト様はどう思われますぅ?」

‼︎……ヤベ。

「ぁ、すみません。聞いていませんでした。ハハハ…。」

 もぉ、貴方ったらぁ!またいつもの考え事をしてぇ!

モアが、すかさず助けてくれたからなんとかなった。

が。

「レオハルト様ぁ!」

「レオハルト様ぁ!」

「レオハルト様ぁ!ジャンヌ様がお話の間ぁ、わたくしとダジェントしてぇ!」

「ゎ…私ですか?」

「ぃや、わたくしよぉお!」

「あ、ずるい!」

「レオハルト様はわたくしとダジェントしてくださるんですゥ!」

甘えた声の女性達が周りを囲っている。  

え?

は?

注目浴びてるのは、モアじゃなかったのか⁈

あぁ、モアがあんな遠くに…。

あぁ、モアも囲まれてるッッ‼︎

「ね、おねがぁい!」

……あぁぁあ''ぁ''ぁ''…‼︎

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