㊽米粉のクッキーとラングドシャ-1-
サツマイモとカボチャで作った茶巾絞りを販売する際、平民向けにはバターとカスタードクリームを使わない事にした。
これは彼等の懐を考えての事だ。
逆に富豪向けにはバターを使ったり、バニラエッセンスで香りをつけた固めのカスタードクリームを入れて贅沢な気分を味わえる茶巾絞りを売る事にしている。
「お姉さん、僕はバターを使ったサツマイモのやつとカスタードクリームってやつが入っているのを一つずつ」
「はい。代金は二シルバと七ブロンズになります」
「お姉さん、俺はカボチャで何も入ってないやつを一つ」
「はい。代金は四ブロンズになります」
「今日はお客様が来るからそうね・・・。バターではなくカスタードクリームが入っているサツマイモの茶巾絞りが六つ欲しいわ」
「はい。代金は十二シルバになります」
茶巾絞りは生ものなので今日中に食べて欲しいと注意しながら、紗雪はレイモンドが作る茶巾絞りを次々と売り捌いていく。
「ペーストにしたサツマイモを丸めただけだと思っていたのに、素朴な甘さで舌触りが滑らかだわ」
「バターの風味と甘さと塩気が感じる菓子は何だか癖になるな」
「このカボチャの形をしている茶巾絞りは可愛いから見ているだけで楽しい気分になるわね」
「この甘い香りがする茶巾絞りというお菓子をギルドで働いている職員達に出すから、カボチャとサツマイモのやつをそれぞれ十個ずつ頼む」
見た目が可愛いらしい菓子だからなのか、金持ちからは来客用として、目新しいものや珍しいものに興味がある者にスイーツが大好きな女の子達、リピートで買いに来る人達、それだけではなく甘いものに飢えていた冒険者に好評だった。
(来年の春にオープン予定での店では、茶巾絞りやケーキといったスイーツを中心にした方がいいのかしら?でも、肉体労働の人達はガッツリとした料理を食べたいはずだろうし・・・。その辺りはレイモンドと相談して決めた方がいいわね)
茶巾絞りは午前中で全部売れてしまったので店じまいをした二人はロードクロイツ邸へと帰る。
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