⑰カステラの試食-5-
ランスロットとエレオノーラが、お茶会の為に用意したお菓子を試食していた頃
「へぇ~っ・・・カステラというケーキはオーブンで焼くと、クッキーのような焼き菓子になるのですね」
「サユキさん。このカステラというケーキを使って、ラスク以外にも何か作れたりします?」
「ええ。パンプディングを作れますよ」
「パンプディングでしたら我等も作り方を知っているので、カステラを使ったパンプディングを旦那様と奥方様にお出しする事が出来ると思います」
「その前にカステラの作り方を知らなければ意味ないだろうが」
「旦那様が好きな異世界の料理ってどんなものですかね?」
「好き嫌いはないかと思いますが、塩・胡椒といった調味料を多く入れるのが美味で贅沢な料理ではありません。食べてくれる人の身体の事を思って作った料理こそがその人にとって何よりの馳走だというのが私の持論です」
後、魚醤は隠し味程度で使った方がいいですよ
ロードクロイツ家の料理人達が、クッキーとは違うサクサクとした食感をしているカステラのラスクを、おやつ感覚で食べながら異世界の料理について話していた。
「レイモンド様、サユキ様。旦那様と奥方様がお呼びです」
そんな彼等がいる厨房にやって来たのは、給仕からの伝言を受けた家令見習いだった。
彼に案内されるまま、二人は梔子の間へと向かう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
コンコンコン
「旦那様、奥方様。レイモンド様と異世界のお嬢様をお連れいたしました」
「ご苦労」
ランスロットの言葉を合図に扉を開けた家令見習いがレイモンドと紗雪をテーブルへと案内する。
「二人共、座って頂戴」
エレオノーラの言葉に従い、二人はソファーに腰を下ろす。
「貴方達が作ったお菓子と飲み物、とても美味しかったわ」
柔らかくてしっとりとしているに弾力がある事と、喉が焼け付くように甘くないところが自分だけではなくランスロットも気に入ったのだと、エレオノーラが教える。
「後、コーヒーと牛乳の相性が良いという事を知れたのも良かった」
「それは良かったです」
カステラ・カフェオレ・カフェラテを受け入れてくれたという事実に、内心不安を抱えていた紗雪は安堵の息を漏らす。
「紗雪殿、貴女を呼んだ理由はもう一つある。まずは、これを見て欲しい」
ランスロットが紗雪に数枚の紙を渡す。
「これは・・・」
「紗雪殿が魔法を使えない事と年齢を知った上で貴方を養女に迎えたいと言っている家のリストだ」
詳しい事を書いているので、どの家の娘になるのかを紗雪殿に判断して欲しい・・・
「拝見いたします」
紗雪はランスロットから受け取ったリストに目を通す。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
紗雪がリストに目を通している頃
「そうよ!異世界といえば、あれで無双して原始人並みに知能が低い異世界人を平伏せさせるのがお約束じゃないの!!」
ウィスティリア王国の聖女はある事を──・・・料理改革と大金を稼ぐある方法を思い付いていた。
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