大蟻の巣の中にいるっ! 荷物持ちの少年、パーティーが逃げる囮にされて、蟻の巣で抱卵器の刑。地獄の底で頭脳体リッチに救われて、蟻の巣防衛組織の一員として雇われる
@piyopopo2022
第1話 プロローグ
俺は今、大蟻の巣の底にいる。
女王蟻の御座所の隣、卵置き場で幼虫のエサ場で、抱卵器として設置されている。
逃げないように手足は斬り落とされて、酸で締められて出血しないように処置。
舌を噛んで死なないように顎は取り外されて、喋るとうるさくして邪魔なので舌も引っこ抜かれ、餓死しない程度定期的に食い物と水を口の中にねじ込まれる生きた死体。
これから数日生き残れば、口やケツから大蟻の卵を産み付けられて、腹の中から内臓を食われても、分泌物で痛みを感じないようにされて、脳まで食われて食える物が無くなって、口や腹から幼虫が出てきたらお役御免。
残りの死体は、巣で飼われている大ゴキブリや、大マンティスの子供が食べて応援。
よくある冒険者パーティーの危機に、荷物持ちのゴミクズが犠牲にされて、荷物放り出して逃げたら後ろからぶっ刺されて、囮にされてパーティーは生還。
曰く「仕方なかったんだ、荷物抱えて逃げ遅れた奴まで救えなかった」「後ろで悲鳴が聞こえたから多分死んでる」と窓口で言えば、ゴミ以下の荷物持ちを救うクエスト何か発生しないし、そんな物を支払う篤志家は存在しない。
俺はこれから「死ぬことも許されない激痛の五か月」を過ごす羽目になった。
もしホモゴブリンやゲイオークに攫われても、せいぜい孕み袋に使われてゴブリンやオークの子供を生まされ続けて、ゲイオーク相手なら唾液が催淫作用を持っているので、結構ラブラブで幸せに過ごせるらしい。
誘拐系の中で最悪の最後を迎える大蟻の巣での抱卵器。脳や神経はほぼ正常なまま、幼虫が分泌する液体や薬物で、内臓の痛みは感じないまま食われて行く。
どこかの奴みたいにスマホで「おかあさん、今、熊に食べられているの、今までありがとう。ああ、子熊が来たわ、もう痛くないの」みたいな感じだ。
何で最近の記事を知ってるかと言うと、意味もなく転生者。チートも何も与えられなくて、前世での罪を支払い終えてないから、ひたすら苦しむだけの人生を与えられて転生。
前世の知識も何も使えないで、ひたすら馬鹿にされて蔑まれて、使い物にならないと言い続けられて死ぬだけの簡単なお仕事。
「おう、あああいあれ」
あれから何日経過しただろうか? もう喋ることもできない、舌が無いからなのか、顎も取り外されているのか、幼虫が出す薬物でラリっているのか、隣にいると思われる別人と話すこともできない。
眼球も取り外されてるが、片方取り忘れたのか、残しておくのが作法なのかギリギリ見えてる。
「うおっ、おうううああああっ」
近くにいる奴らが発する、醜い泣き言とか汚らしい喘ぎ声は聞こえるが、何言ってるのかは不明。
呪ってやるなのか祝ってやるなのか、必ず殺してやると言っているのかは分からないが、もうそんなことは不可能。
腹の中から幼虫に食われて行って、脳や脊髄まで食われると脂肪。
幽霊か、ちょっと進化してレイスにでもなって、呪い殺しに行く程度で、簡単に撃退されて祓われるだけ。
薄暗い中、ヒカリゴケぐらいしか光源が無いので、中々周囲が確認できないが、大蟻がやって来た。
俺を搬入したのと同じ働き蟻だ、卵を植え付けに来たのか?
「おうっ、うぐうっ、ううううっ」
どうやら端の方から、腹の中に卵を植え付けられて行っているようだ。
「あうっ、うもおおおおっ」
次は俺か、せいぜい俺を囮にして逃げた奴らを恨んで恨んで、呪い殺すことだけを思って死のう。
俺の前に来たが何かを確認して通過、殺して行けとは思ったが、卵を産み付けて行かなかった。
端にいた奴まで卵産みつけられて人生終了。
『ウム、こいつか?』
『はっ、頭脳体閣下』
暫くすると何か意味のある事を言ってる奴が入室してきたが、蟻語なのでカチカチコチコチ言ってて意味不明。
『ふむ、知能は高いようだ、子供だからストレングスは低い』
俺の周りで何か調査している、鑑定スキルで調べてるのか、いや、邪眼とかその系統だ。
薄暗いから中の魔石まで見えないけど、スケルトンかグールと思ったが、こいつはリッチだ。
宮廷魔導士とかが永遠の命を求めて、禁呪で骨の化け物に変化したり、吸血鬼になったり真祖になって永遠の研究を始める連中。
夜の世界で闇の世界の住人だが「蟻の友人」らしき奴がこんな所にもいた。
宮廷闘争に敗れたか、孔子の弟子の子路みたいに、人肉の塩漬けに加工されて師匠の食卓に送られる前に、堕天して人外の化け物に変化したんだろう。
魔王軍に行けよ、と言われそうだが、そこまで人間を恨んでないらしい。
蟻の巣の底にはリッチがいるという昔話がある。王国を追われた勇者が、家族全員に裏切られて追い詰められて、世を儚んで死んだか、リッチに堕天して闇の生き物になったと言う伝説。
もう食い物も水も不要、眠らないで済むし、魔力だけ吸っていれば生き永らえられる生き物。いや、動く死体。
「よう、冒険者じゃなくて、案内人かポ-ターだな? お前も動く死体になって、お前をここに放置して行った連中に復讐したいとは思わんか?」
「おもお(思う)」
「それなら俺達と契約しろ、人間や家畜を多く供出すれば出世出来て、何なら禁呪でリッチにでもヴァンパイアにでもしてやれる」
「へいやふ……」
「無理に喋ろうとしないでいい、考えるだけでわかる」
喋れないが、リッチの方は認知共有か何かで、俺の思考を読んでいる模様。
(はい、復讐したいです、契約します)
「よし、今からお前は蟻との契約者だ。反抗しない限り高い能力を与えてやろう、なあに、チンピラ五人や十人に囲まれた程度平気にしてやる」
ストレングスは低くても、知能が高ければ採用して貰えるようだ。
「まず手足は蟻かマンティスの強力なのを見繕ってやる、スパイダーもいいぞ? ケツから糸吹いて拘束もできる。契約の報酬に性奴隷を二三匹付けてやる」
待遇は良いようで、もう人外の化け物にはなるが、新しい手足は大蟻かマンティスの物に変えてもらえる模様。
(あの、その性奴隷とやら、レベル上げして聖女か聖人にして貰えませんか?)
高レベル魔法使いだと反逆の恐れありと思われるが、低レベルヒーラーなら攻撃呪文が無い。フィールドに放り出されても、俺が前衛でヒーラー付きなら何とかやって行ける。
前世ならまだしも、今は子供だから女を見てもグッと来ない。
「ふむ、その心は?」
(まず教会に保護して貰おうと思います、放り出されてもヒーラーが二人いれば、自分でレベル上げ出来ますし)
「良かろう、まず手足を付けて偽装して、人間に見えるようにする。右目は?そうだな、在庫があったから邪眼にでもしてやろう」
こうして俺は、人間への復讐心と知能の高さで信用して貰えたのか、とんとん拍子で蟻の使用人になって、地上世界を破滅させる使徒になった。
手足取り付け工房
魔法か錬金術で手足の交換。あちこちでで働き蟻がギーコギーコドンドンカンカンやってる。
俺は動けないので働き蟻さんが配送。
拒否反応は?と問いたいけども「一か月しか持たないから反逆しないで、腐り落ちる前に交換に来たら替えてやる」と言われると怖いので聞かない。
まあ、魔法的な何かで拒否反応も抑えてどうにかするのだろう。
「まず、お前の背中に虫を植え付ける、これは反抗心を持つと自動的にお前の脳を食って支配下に置く。でも知能は低いから自発的な行動はできない。巣に帰って来て「こいつは反逆したので食いました」となって終わりだ」
(はあ……)
そうなると抱卵器の刑に戻るのか、地上を破滅させる使徒としてはお役御免。
「ああ、長く家畜やら人体を供出して、人間牧場的に管理してくれたらいいから。全滅するとこちらも困る、地下世界で待ち構えたり、ダンジョンを形成して誘引する意味もなくなるから、全滅だけは控えてくれよ」
(はあ……)
「まずは最初は家畜を買って来て、体は抱卵器にする足は餌にするような、簡単な買い物クエストからだ。たまにこの程度の簡単なお使いもできない奴がいて困る。金を盗んで逃げられると思ってるのか、まあ、組の金や阿片を持ち逃げすると殺されるよな? それと一緒だ」
(はい)
娑婆に出られると、家畜を買える程度のお小遣いを渡され、それを資金にして他の街に逃げられると思い込む馬鹿がいるようだ。
背中に虫を入れられると、進撃の巨人かテッカマンブレードみたいになって、アイバシンヤさんみたいな人物でもテッカマンエビルになれるんだろう。
「ここからが問題でな、故郷を裏切れるか? 家族を犠牲に出来るかという問題でな、人間を誘拐して来いと命令すると、結構な人間が簡単な約束を果たせずに裏切るんだ」
(はあ……)
まあ、家族は殺せないんだとか、人間世界を裏切れないとか、宗教上の問題とか、色々あるんだろう。
でも阿片の快楽の前では無効になるそうだ、もし阿片を買えない奴がいたら「親を殺せ、子供を殺せ、そうしたら阿片をやる」と言われると、本当に実行して来る。
でも俺の場合、蟻のダンジョンで後ろから刺して、置いてきぼりにした奴らに復讐しなければならない。
それでも教会に反する生き物や、動く死体になるのは抵抗がある。その辺りで葛藤があるんだろう。
まずは戦うために左右の手にターミネーターマンティスの刃、背中にエクスキューショナースパイダーの足を数本。一匹丸ごと背負ってる感じで、糸を吐いてバインドして拘束もできるように。
足には大蟻の頑強な足、関節が逆じゃないのは助かったが、もし逆だったら悪魔系統の魔物か、なんかのSF映画の終わりに少年の足関節が逆向いて、正体が宇宙人だったと分かって走って逃げてくみたいになる所だった。
ほぼ人類の敵で、蟻の巣のために働くから、ギルドの連中に化け物の足見せて逃げて行っても良いんだけど、ちょっと子供の足にしては長い。
成人男性並みになるから、舐められないでいいんだけど、明らかに人外。この後邪眼も取り付けられる。
外見がおかしいのは、人間の皮をかぶせて、認知疎外の魔法をかけるから大丈夫だそうだ。高レベルのリッチが認識阻害するから、人類では見分けが付かないそう。
「どうだ? 動かすのに抵抗は無いか?」
「はい、問題ないです」
顎も蟻の顎を付けられて社会復帰不可能。カエルみたいな触手舌付けられたから、エロゲーかエロアニメみたいなアクションも可能。
俺、触手舌で性奴隷吊るして、全身の穴と言う穴をねぶり倒してやるんだ。
「そうか、実験体は多いから、問題は洗いだしたはずだが、お前らは改造第一世代だからな。今まではパーフェクトヒールで手足を治して潜伏させてたから、社会復帰できると思い込んで裏切る奴も多かった。そこまで改造されると、背中にしょった虫に即脳みそ食われるし、逃げて認識阻害解かれたら一瞬で化け物扱いされて討伐されるからな、気を付けるように」
「はい」
大きい瓶詰とか試験管の中で、魔獣と合体させられて「コロシテ…… コロシテ……」になった奴も多いそう。
今までも復讐者のポーターから選んで雇ったそうだが、復讐を完遂すると人類や教会に反する生き物として生きて行けなくなるのか、大抵は「殺してください」と言い出すそうだ。そして逃げ出して虫に脳を食われて脂肪。
俺もそうなるのだろうか? パーティー連中を始末できれば「コロシテ…… コロシテ……」になるんだろうか?
そうならないように報酬?として、性奴隷を付けてやって監視させるようだが、余りに無能すぎて俺の犯行が発覚するのは避けたい。
昔、何かのSF小説で読んだが「有能な女の相棒」だとか、この世に存在しない物のように扱われていたが、現実には車を運転しても反対車線にいる車に追突したり、道を外れて小川に飛び込んでおきながら、悲鳴を上げまくってドライブレコーダーに一部始終を撮られたり、エアバッグが動作しても水が入って来ても、泣き叫ぶだけの無能が普通の女さん。
家のゲート超えるはずが引っ掛かって、高級車を横転させてゴロンゴロンして、ゲートまで破壊するお笑い動画もあるが、全部女さん。
顔や体がいいのは後日の課題として、せめて知能だけでも高くて、命令と逆の行動をして見付かって衛兵に始末されるようなバカとは組みたくない。
「あの? 相棒を有能な男にするというのは無理でしょうか?」
「ああ、そいつらには単独で行動させて、配下の虫や働き蟻も付随させて行動させる。街中で同盟を結んで一緒に行動するには邪魔はせん、でも有能な男は1ユニットとして活動させる」
「そうですか」
有能な相棒でバディは与えられない模様、出来るだけ無能か、黒人の若いのを宛がわれて悪態をついてるベテラン刑事みたいになりそう。
男手も無能すぎるのは即バレして、番屋や衛兵に取っ捕まって、手足が魔物なんだとバレたりしたら即討伐される。
いくら一騎当千の金等級冒険者であろうとも、百人に囲まれて周囲全周から槍ぶっ刺されると助からない。
「さて、次は手下と言うか監視用のアシスタントと言うか、女を選んで行くと良い。不要なら単独行動して、中型大型の虫だけ配下にしても良し、働き蟻だけ呼べるようにしておくも良し」
「はい…… 出来るだけ知能が高くて、裏切らない従順なのをお願いします」
「……うむ」
今の間は何だ? やっぱり無能じゃないのは存在しないんだろう。
足を引っ張られるのは嫌だ、監視されるのは良いが、無い事無い事告げ口されて、俺だけが破滅するのをゲラゲラ笑って見られるのも嫌だ。
留守中にメイド作業や家事をさせるのも必要だが、フィリピンメイドみたいに毎日小便入りドリンクを飲まされるのも嫌だ。
「最初から虫に脳を食わせて、人語を喋れて治療魔法が使える程度にするのは?」
「そこまで有能な奴がいれば俺達が使ってる、脳を食った後に蟻語が少し喋れる程度だ」
「はあ……」
大勢の抱卵器か、抱卵器にされる前の、手足が無い奴の所に連れて行かれた。
昔のSFテレビシリーズ、ビジターみたいな感じ。あっちは食肉加工された人類がフックに掛けられてぶら下がってたが、こっちは地面に置かれて抱卵器。
「腹にもう卵が入ってるのは、半年程度で腹から幼虫が出てくるから、気に入っても延命は出来ん。選ぶなら卵が入ってない奴だ」
「蟻の使用人も、半年しか生きられないようにして、定期的に戻らないと死ぬようにして使役すればどうですか?」
「手足の移植もある程度コストがかかるしな、潜入工作員だからまるっきり馬鹿にはさせられない仕事だ。ある程度の忠誠心と知能と復讐心がある奴でないと無理だ」
「はあ」
何度も失敗した上でのトライアンドエラーで、そちらは失敗案件で駄目だったんだろう。
「阿片で支配して、麻薬を供給してやって上手く使うのは?」
「あれは突然死するしな、世を儚んで「黄金の一発」をやって死ぬのもいるし、手足の接合にも失敗する」
「はあ……」
「この中に、故郷に復讐したい、街や役所やギルドに復讐したいという者はいるかっ?」
「あたし、彼氏いるんですけど?」
「私、女なんですけど」
「はいっ、はいっ、あたしあたしっ」
「俺が選ばれるに決まってるだろ、黙れアホ共」
鑑定するまでもなく、アホの集団が騒ぎ出した。売春街で一斉検挙したわけでもないだろうに、バカの見本市みたいなのが大量。
亭主の小遣いは五千円以下だとか、主婦の賃金は年収一千万だとか、反ワクチン運動している主婦とかの知能はこの程度だ。
30過ぎると更年期障害やら、ホルモン異常で発狂するそうだから、この程度が主婦層の限界で平均。
まあ、魔の森に入っても私だけは大丈夫だろうとか、ちょっとぐらい蟻の巣に近い一番危険な所に近付いても平気だろうとか、間が抜けてると言うか明かな馬鹿マヌケノータリンの集団。
「お母さんを助けたいのっ」
そんな中でも「病気のお母さんを救いたい」イベントで、危険な魔の森に入って蟻の巣に連れ去られて、手足を噛み切られて目を潰された気の毒な子もいる。
「やあ、君のお母さんは病気なの?」
「そう、助けてあげたかったのに、もう助けてあげられないっ」
現在の自分の助からない状況程度は理解していて、邪眼で鑑定してもIQ110越えのは一人しかいなかった。
「この子にします、出来ればレベル上げしてやって、エクスヒール程度は唱えられるように」
「うむ、良かろう」
まずは一人目、二人目も適当に選んで、頭の良さそうな子から救出。
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