第12話 ショッピングモール①

 御山さんが熱を出した日から数日が経った、そして今僕は、前に御山さんと一緒に遊んだゲーセンがあるショッピングモールに、可憐と御山さんと僕の三人で来ている。


「それにしても御山さん、早めに元気になってよかったね」


 御山さんは熱を出して僕と可憐が看病したその日中に熱が下がって、次の日には元気だったらしい。


「はい、あの時は本当にありがとうございます」


「才ちゃんそんなにお礼言わなくていいから、お兄ちゃんなんてほとんど何もしてないんだから」


「何もしてないことはないだろ!」


「いや、何もしてないでしょ」


 そう可憐と文人が睨み合っているとその間に御山さんが入った。


「まあまあ、文人さんがいた事で安心して眠れたから、お礼を言ってるので憐ちゃんもあの時はありがとうございます」


「こちらこそ、いつも才ちゃんがいてくれるから助かってる事もあるからお互い様だよ」


 そしてこの話は終わり何を買うかの話に変わる。


「そういや、僕は何で呼ばれたの」


「才ちゃんと私の服を買うんだけど、お兄ちゃんに似合ってるかどうか聞こうと思って」


「それだけ!」


(それだけのために夏休みの貴重な一日を使わせられたのか!?)


 そう思いつつも今帰るのは流石に御山さんに失礼だと思い受け入れる。


「あのーやっぱりご迷惑でしたか?」


「いやいや、全っ然!大丈夫だから!」


(まあ、御山さんと一緒に買い物できるってだけでご褒美みたいなもんだな)


 そして三人はショッピングモールのアパレルショップのある場所に向かう。

 

(御山さんがどんな服を着て買うのかシンプルに気になるな)


 そんな事を考えている間にアパレルショップに着いた。


「じゃあ、お兄ちゃんはここで待ってて良さそうなの見つけたらお兄ちゃんに聞きにくるから!」


 そう言って可憐はものすごい勢いで中に入って自分に似合いそうな服を探し始める


「私も行って来ますね」


「うん」


 そして可憐と御山さんが服を試着したりしているのを僕は片目で見ていたら、さっき行ったばっかりの可憐が早速やってきた。


「見て見てお兄ちゃん!これ!才ちゃんに似合うと思わない!」


「えっ?自分のを買うのじゃないのか?」


「いや、才ちゃんのを私が選んで、私のを才ちゃんが選ぶ方がいいかなって話になってさ」


 いつの間にか、お互いに似合う服を選んで僕に見せて感想を聞くという謎の展開になっていた。


「それよりこれ!才ちゃんに似合うと思わない!」


 可憐が見せてきたのはちょっとピンクがかったベージュのロングスカートだった。


「確かに御山さんに似合いそうだな」


(御山さんが着こなしているのが容易に想像がつくし、想像の中でもすでに似合ってる)


 すると御山さんも負けじと俺に服を見せに来ていた。


「見てください文人さん!これ!憐ちゃんに似合うと思いませんか!」


 御山さんが持って来たのはゆったりとした少しカジュアルな感じのパーカーだった。


「そうだね、可憐は凄く体動かすから似合いそうだ」


 次々とやってくる服に対して文人は一つ一つ一応適当にわ言わずちゃんとした感想を言う。


「才ちゃんがこれだけ選んでくれたから、試着してみるね!」


 そう言って可憐は試着室に数着の服を持って入った。


「私も憐ちゃんがせっかくこれだけ選んでくれたので、試着して来ます」


「うん、いってらっしゃい」


 御山さんも試着室に行って、結局可憐と御山さんはお互いで選びあった服を全部買った。


「ふぅー、これで今月カツカツだな、お前のせいでな!」


「ごめんって!」


 可憐は服を買うというのに何故か財布を持ってきていなかった、という事で俺の懐から諭吉が三人ぐらい出て行った。


(俺の新作ゲームを買うために貯めていたお金が一瞬にして半分消えた)


「じゃあ、お兄ちゃんの服も買いに行こっか!」


「おい!」


(俺の諭吉を湯水のように使おうとするな!)


「そうですね、私達に任せてください!」


「……うっうん、御山さん頼りにしてるよ」


「はい!」


 文人は御山さんがいるから断れず、結局自分の服で諭吉が二人消え去った。




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