第10話 御山さんを看病①

 今日は夏休みの初日の朝、文人はいつも通り家の中でゴロゴロしながらリビングでゲームをしていた、すると隣に座っていた可憐が大声を出した。


「えーー!!」


「うるさいなー、今真剣にゲームしてるからちょっと黙ってくれよ」


「黙ってられるわけないじゃん!」


 そう言われて文人は流石にゲームに集中できないからとゲームを中断して妹の話を聞く。


「何かあったのか?」


「それがさー、今日才ちゃんと一緒に遊ぶ約束してたんだけど、急に熱が出ちゃったみたいでさ、心配だなー」


 そう言って可憐はリビングを歩き回る。


「そうか……、そんなに心配ならお見舞いにでも行けば」


「それだ!じゃあ早速行かないと」


(慌ただしいし、いっつも可憐は行動するのが早いな、どうせ何も考えてはいないだろうけど)


「何してんのお兄ちゃん?」


「えっ?」


「お兄ちゃんが言い出しっぺなんだから一緒に行くでしょ?」


「いや流石に……俺なんかが行っても」


 文人はそれから数十秒黙って考える。


「そんなに考えるんだったら一緒に行くよ!」


 そう言われて可憐に手を引かれ家を出て文人は御山さんの家へと向かう。


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「ここが御山さんの家か……」


 文人達は御山さんの家があるタワーマンションの前に着いた、このマンションに向かう道中にあるコンビニでいろいろお見舞いに必要そうな物買った。


「そうだよ、私も初めて来た時ビックリした」


(可憐は来た事あるのか、まあ友達だからあるか)


「それより両親は海外で仕事をしてるから一人で住んでるんだって」


(そうなのか、なら尚更、熱があるならしんどいだろうな)


 そしてマンションに入ってオートロックの所でインターホンを鳴らした、鳴らしてから数分経ったがなかなか出ない。


「出ないね」


「出ないな」


「どうしようか、お兄ちゃん」


「そうだな、最後に一回だけ鳴らして出なかったら今日はもう帰ろう」


「そうだね」


 そして最後に一回だけインターホンを鳴らしたら出た。


「才ちゃん、お兄ちゃんとお見舞いに来たよ」


『ゴホゴホ!、憐ちゃんと文人さんここまでありがとうございます、ご心配おかけしました』


「大丈夫御山さん!いろいろコンビニで買ってきたから開けてくれる?」


『はい、分かりました』


 マンションの中の自動ドアが開いた。


「よし、御山さんしんどそうな声だったからちょっと急ごうか可憐」


「そうだねお兄ちゃん」


 少し駆け足でエレベーターに乗って御山さんの住んでいる部屋の前に来た、そして再度インターホンを鳴らして御山さんがドアを開けて出てきた。


「才ちゃん、大丈夫そう?」


「ゴホゴホ、憐ちゃん遊ぶ約束していたのに守れなくてごめんなさい」


「いいよいいよ、そんな事ぐらい!元気になってからまた遊ぼう!」


「文人さんもここまでわざわざありがとうございます」


「別にそんなに感謝される事じゃないから、これ、いろいろコンビニで熱の時に良さそうなの買ってきたから、はい」


「ありがとうございます、来てくれた事は嬉しいですが移ると悪いので二人はもう帰ってください、私は大丈夫ですから、ゴホッゴホゴホッ!」


 そう言っている御山さんだが、明らかに顔色が悪い。


「才ちゃん!大丈夫じゃないじゃん!私達が今日は看病するから才ちゃんは寝てなよ!」


「でもお二人に悪いですから……」


「御山さん……僕達に少しは甘えてくれてもいいんだよ」


「…………じゃあお言葉に甘えて、お願いします」


 そして僕と可憐は御山さんの家に上がる。




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