第43話 オカシャンのいないおうち

変態度が増したオカシャンがあれらと一緒に居なくなったので、僕は大好きなオトシャンと(あ、すーちゃんもいるか・・・)ツーショット生活!


オトシャンはしばらくずーっとおうちに居なかったので、僕としては縁が切れたのかなぁと諦めていたんだけど、なんだかんだと僕との縁は切れていないみたいですね。


オカシャンが居ないと抱っこの恐れがない・・・それはとてもいい!


だけど、おやつもない・・・パブってなんかないですよ・・・。


オトシャンは基本のごはんと夜のごはん以外は滅多なことがない限りおやつをくれません。


その代わり抱っこも要求してきません。


夜はオカシャンと一緒に寝ていた僕ですが、オカシャンが居なくなるまですーちゃんとも一緒に寝る事になって、たまにイラっとして寝ているすーちゃんを叩きたくなったりもしました。


まぁ、叩きました。


まぁ、そして喧嘩になりました。


すーちゃんはいつもならオカシャンが寝付いたらリビングなり色んな場所に移動して眠るのに最近ずっとオカシャンの横に居たので、僕はプンプンです。


そして、オカシャンのベッドは昼間僕が独り占めすることになりました。


すーちゃんはというと・・・なんとオトシャンのベッドの脇の遊び場で僕の入れないスペースに収まっているのです。


もうほぼ安全にオトシャンと一緒に寝ているようなものです。


(オトシャンとベッドで寝るのは危険がいっぱい)


オカシャンがいないせいか、おうちの中が寒くなってきました。


クシュン!とくしゃみをする僕をみてオトシャンは分かってくれたようです。


こたつがついに出されました。


こたつはいつでも、僕が一番乗りです!


でも、いつでもすーちゃんに最終的には奪われます。


こたつが出たという事はホットカーペットの妖精である僕のために、カーペットもぬくぬくだということです。


これで僕はオカシャンが居なくてもぬくぬくで眠れます。


それでも、昼間はなんとなくオカシャンのベッドで眠ります。


ものすごく静かなオカシャンの部屋。


いつもの寝かしつけ業もお休みで、オカシャンの寝付く前の子守り歌も聞けません。


少し寂しくなったわけでもないのですが、オトシャンの部屋にそっと忍び込むと・・・。


「何しに来たのよ!!!!!!この毛玉!!!!!」と罵られる可哀そうな僕。


こたつが出ている季節、オトシャンは夜遅く?早朝まで?だいたいリビングで寝落ちしているのですが、寝落ちしているオトシャンに近づくと、今度はこたつの中から、ぬっ!と姿を出して


「ここもあたしの場所よ!!!!」と罵られる可哀そうな僕。


そして、巻き起こる明け方の大喧嘩にオトシャンは驚いて目覚め、ベッドで再度眠りにつく。


僕はオトシャンが眠っていた座椅子が好きです。


座椅子はホットカーペットの温度を少し吸ってオトシャンの体温と合わさってとても暖かいのです。


そして背もたれが僕を一方向からだけ守ってくれるのです。


オトシャンが二度寝をしたら速攻で座椅子を占拠せねばなりません。


すーちゃんも取りにくることがあるので・・・。


隣にオカシャンの座椅子があるけど、今はあまり暖かくありません。


僕はオカシャンの服も舐めるくらいに好きですが、オトシャンの服もベッド代わりにしたいくらい好きです。


すーちゃんはオトシャンにもオカシャンにも撫でられると舐め返してますが・・・スキンシップが苦手な僕は、そっと触れようとする仕草から、トントンと叩くことくらいがだいたいのお返しの仕方です。


それでも、居なくなる前のオカシャンの事も、オトシャンの事も時々は舐めてあげることもありました。


オトシャンはジッとしていてくれないので少ししか舐められません。


オカシャンは僕が満足いくまで舐めても動きません。


ちょっとザラつく僕たちの舌にオカシャンはご機嫌でオトシャンはちょっと痛いらしいのです。


オカシャンはあの年末オトシャンが居なくなってから、ほぼ毎日手の指にケガをして帰ってきたので僕が舐めてあげることも多かったのです。


僕たちが舐めると早く治るんですよ。えっへん。


まぁ、そんなケガばっかりするオカシャンは今はいません。


オトシャンはケガをすることはあまりありませんが、ケガをしても僕たちに舐めさせてはくれないでしょう。


痛がりさんだから。


オカシャンが居なくなってから、僕の好きなこたつやホットカーペット、オトシャンの暖めた座椅子・・・オトシャンの匂いのついた服


そして、何よりオトシャンがずっとおうちにいてくれること!


僕は何よりもそれが嬉しくて、あれらを追い出すための遺憾の意もやめて、いつでも、(僕の気が向いたら)オトシャンの傍へ。


あれらはまだいるけど、すーちゃんが死んじゃったら僕はどんな気持ちになるんだろう?


散々罵られる可哀そうな僕。


でも、家族であるすーちゃんやオカシャン。


離れていたオトシャンは帰ってきた。


オトシャンが出て行った時僕は、何回か繰り返した引っ越しのように、ただ気持ちを切り替えた。


でも、オトシャンが居たり居なかったりする日々もあって、変化が嫌いな僕の日常はまったく落ち着きませんでした。


今も、オカシャンは居なくなるという変化。


遺憾の意は出ませんが、違うものが出そうです。


ため息。


オカシャンは僕の事が大好きでしつこくて不器用ながらおやつもくれるし歌も歌ってくれます。


オトシャンは僕の事が大好きでしつこくなくおやつはくれないけど、歌も歌ってはくれないけど、巧みに紐を操り僕をワクワクさせてくれます。


すーちゃんは・・・そう考えこんで僕はこたつの方に向かって行くと、


すーちゃんがオカシャンの座椅子でグッスリ眠っているじゃないか!


ちょうどいいすーちゃんの情報を知るチャンス!


そっと、すーちゃんのおしりに鼻をくっつける・・・まだ起きない。


クンクンと匂いを嗅いで、お?嫌ではないらしい・・・そこで初めてすーちゃんを叩くのではなくペロっと舐めてみた。


オトシャンやオカシャンと違って舐めた感触はそんなにいいものじゃない。


でも、気持ちを知りたい、そんな僕を、目覚めた瞳が睨みつける・・・。


あ、やばい!怒られる!と身構えたけど、すーちゃんはこたつに帰って行きました。


得られた情報は、初めて出会った時よりも僕の事が嫌いではないようでした。


そして、好きでもないようです。


じゃあ、僕はどうだろう?


僕は自分のおしりの匂いを嗅いでみました。


クンクン・・・いつも通りの僕のおしり。


でも、だいぶふわふわなおしりに戻ってきましたね。


暑い季節には丸裸にされるからおしりを舐めるのも楽ちんだけど、ふわふわな僕のおしりはのどに詰まるんですよ。


僕は僕の匂いを嗅いでも僕が今お腹が空いているか眠いかとかしか分かりませんね。


すーちゃんが死んでしまったらどんな気持ちになるのかが、おしりでは分かりません。


オカシャンが居なくなって、僕はおやつが貰えなくなりました。


僕から見たら損だろうか・・・抱っこがない分得だろうか・・・。


オトシャンが居なかった間、おやつは貰えた、抱っこはされた。


すーちゃんからおやつを貰うことはない。


こっそりごはんを奪うことはある。


でも、たまに夜のごはんは「あたしこれ嫌いだからあんたにあげるわ」とくれることもある。


すーちゃんが死んじゃったら、多分もう僕と会うことはないでしょう。


オトシャンたちのお友達のように時々遊びにくることもないでしょう。


そうなったら僕は、どんな気持ちになるんでしょうか。


そんないつまでたっても答えの出ないことを考えながら毎度毎度すーちゃんのおしりに顔を突っ込んでいたら・・・。


普通に叩かれた・・・。


すーちゃんめっ!と思って倍以上叩き返しました。


そして、またリビングで寝落ちしていたオトシャンはビックリして起きてベッドで眠りなおすという


同じような時間が繰り返された。


お?これってもしかして変化のない時間なんじゃないか?


変化が嫌いな僕に変化のない時間。


ただ、オカシャンが居なくなった後の変化のない時間・・・。


そして、僕は独り、またオカシャンのベッドで眠るのでした。

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