第14話

「いやー、結構盛り上がったな」

「そうね。最適化された良い動きだったわ」

「そう言ってもらえると嬉しいね。次の配信はどうしようかな」


配信を終え帰路に着いた俺たちは今日の出来事と次回について話していた


「結構ジュリがどれだけ強いのか見たいって言われてるんだよな。次回はジュリがメインの配信にするか?」

「私はどっちでもいいわよ」

「それが一番困る。じゃあジュリには次の配信で頑張ってもらおうかな」

「仰せのままに…マスター」

「その呼び方むず痒いよ。光太でいいよ」

「フフ」



〜数日後〜

「今回は嘆きのダンジョンをジュリエルに攻略してもらう配信になります」


:コウタは同行しないのか?

:今回はジュリちゃんメインか

:楽しみ


「今回は下層に行く予定だから俺がいると足引っ張るんだよ。なので俺は応援にまわるという訳。ジュリエルは今どこにいる?」

『今は嘆きのダンジョンの中層ボスの手前にいるわ。』

「ジュリのドデカオオカミ攻略タイムはどんな物かな。それじゃあスタートだ!」


ジュリエルは合図と共にボスの部屋へと入って行った

狼がジュリエルに飛び掛かろうとした瞬間首が落ち、一瞬で決着ついてしまった


:は?

:何した?

:距離的に魔法だろうけど何も見えなかった


「何したんだ?」

『風の魔法で切り落としたわ』

「早すぎん?」


:威力が低いとかありそう

:コウタがあれだけ苦労したモンスターを瞬殺って…

:コウタとの実力差が分かるどころかもっと分からなくなった


『それじゃあ下層に行きましょうか』

「油断しないようにな」

『問題無いわ』


初めて見た下層は中層とほとんど変わらなかった

「見た目は今までと同じだな」

『でも魔力の質が段違いよ。この階層の敵は楽しめそうね』


:ヒェ

:これはこれで…

:恐ろしいほどに美しい嗜虐的な微笑み

:これを子どもが見たら癖が歪むで


『来たわね』


ジュリエルが視線を向けると筋骨隆々のモンスターが接近していた


「オーガだ!気をつけろ!」

『問題無い』


ジュリエルはオーガの金棒と打ち合う

しかも片手で


「嘘やん」


:なんでオーガ(両手)と片手で打ち合えるの?

:見た目に反してゴリラだった?

:オーガはゴリラより力強いぞ

:オーガの金棒を弾き飛ばした!


苦もなくオーガを倒したジュリエルは不満気だ


『この魔力であんなのしか出てこないの?』

「下層にはオーガよりも強いやつがいるらしいぞ」

『そうなの?それならあまり期待せずに進むとするわ』


:オーガと戦って弱いって文句言ってる人初めて見た

:魔法を使ってないからジュリちゃんが初めて出た時の巨人よりも弱かったんだろうな

:あのモンスターは未発見だったらしいな

:ダンジョン省は大騒ぎだったよ


次に相対したモンスターはアシッドスネークという巨大ヘビだった


「コイツが一番厄介だって言われてるモンスターだぞ」

『やっぱり期待出来なさそうね』


蛇はジュリエルに襲いかかるが身体を何度も輪切りにされ、バラバラになって絶命した


「瞬殺なんだもんな」


:アシッドスネークの別名はタンク殺し。盾を構えるタンクを盾ごと破壊してしまう事からその名がついた

:強靭なアゴなんて無かったんや…


『これは?』

「それは宝箱だ!色んなアイテムが入ってるから見つけたら開けたい。ただ、罠がある可能性があるから迂闊に開けるのは危ない」

『ふーん』


ジュリエルは躊躇なく宝箱を開け放った

その瞬間罠が発動し毒ガスが辺りに充満する


「話聞いてた?」


:もう心配すらしてないコウタ草

:ジュリエルー!?

:◯んだ?


『私は毒なんかで死なないわよ』

「なんでピンピンしてんの?」


:宝箱には何が入ってたの?

:罠が効かないの強すぎる

:こんなのがいる古代文明ってもしかして魔境?


『宝箱の中には大きな魔石が入っていたわ』

「結構大きめだな。普通に当たりじゃないか?」


:宝箱はゴミが入ってる時あるからな

:俺は上層で拾える薬草が入ってた時あった

:ドンマイすぎるw


『大当たりはなんなの?』

「大当たりはアイテムバッグかな。一番小さなバッグでも数十万する」

『そうなの。宝箱をたくさん開ける企画なんてやったら楽しそうね』

「問題は宝箱ってそう簡単に見つからないんだよ。早い者勝ちだし」

『それは残念ね』


:やっぱりガチャ動画は数字取れるんだよな

:賭け金は自分の命って所が楽しい


「悪趣味なやつが混ざってるな」

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