小中と通知表に『やれば出来る子』と書かれ続けた俺のファンタジー ~異世界で出会った超絶美形なジモティーの少女に頼まれたので魔王討伐の旅に出ようと思います。彼女に振り向いてもらう、ただそれだけのために~

青空野光

プロローグ

出会い

 大学一年生の由利都ゆりとは一人暮らしのアパートで晩飯を作っていた――はずだったのだが、気がつくといつの間にか薄暗い森の中に横たわっていた。

 事態を飲み込めずにパニックになりかけたその時だった。

 見るからに神!といった風貌の老人が突如として目の前に現れると、由利都に数枚の紙が挟まれたクリアファイルとボールペンを手渡した。

 老人は「今日中に中身に目を通しておくように」と言い残すと、次の瞬間には煙のように姿をくらませた。

 クリアファイルの中には二枚の羊皮紙が入っており、そのうちの一枚を熟読した由利都はようやくにして自身の置かれている状況を把握する。


「もしかして……ここは異世界?」


 いずれにせよこの場に留まっていても仕方がないので、この世界の住人を探し助力を求めるべく恐る恐る森の中をさまよい歩くのだった。

 そうして一時間もした時、ふいに背後から声を掛けられ振り向いた由利都は言葉を失う。


「あなた……誰? ここで何をしているの?」


 その鈴のような声の主は物語の中でよく見る、テンプレート※といっていいような容姿をしたエルフの少女だった。

(※腰まである細く艷やかな金髪・緑色の瞳・尖った耳・雪のように白い肌・丈の短い緑色のワンピース・チャコールカラーの編み込みブーツ)


 由利都は二秒後にはもう、そのエルフの少女に恋をしていた。

 なぜならば、少女の容姿がメッチャどストライクだったからだ。


 由利都はなぜ、この世界に転移したのか?

 そこに隠された真実とは?

 そして、彼の恋の行方は?


 人間の青年とエルフの少女が織りなす冒険の物語が今、ここにはじまるのだった。

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