#60 『同棲・後日譚』
後日談と言うものは怪談と言うジャンルにて“粋ではない”と感じる為、なるべく避けるようにはしているのだが、この話に限っては一本の話として成立すると思い、記す事とする。前回までの前後編の続きである。
M君が部屋に持ち込んだ大岩は、推定で300kgはあったらしい。なにしろその部分だけ床が落ち込んで。穴が開いてしまっていた程だったからだ。
おかしな点はいくつもあった。まずその大きさから玄関は通らない。そしてそんな重量のものを、どこから持ち込み、どうやって一人で部屋まで上げたのか。疑問は多かった。
しかもその大岩は元々、水辺か陽の当たらない場所にあったのだろう、やけに苔むしていてぬるぬると滑り、そして異様なほどに湿っていた。
M君の葬儀が終わった後、大岩は砕いて撤去される事となった。だがその撤去作業に当たる作業員が次々と都合悪く来られなくなり、作業は難航した。
仕方なく別の撤去を試みる事になった。窓からクレーンで吊し、そのまま外へと出す方法だ。
そしてこれは上手く行った。但しそれは、外へと出すまでの経緯だけである。大岩は運悪くクレーンの吊り紐が外れ、大岩は落下し砕け散った。結果、それは大岩ではない事が明らかになる。
それは相当の年月を経たコンクリートの塊であったらしい。砕けた中からは、これまた相当の年月を経た頭部だけの人骨が発見された。
もちろんそれが誰の遺骨かまでは分かっていない。
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