#27 『公園の幽霊』

 自宅から駅までの通勤の行き帰りに、必ず通る公園がある。

 ある日、残業で遅くなり、帰宅が深夜に及んだ。いつも通りにその公園の前を通り掛かると、公園の奥の林の中に人影を見てしまった。

 その人影は一見してスーツ姿の男性で、どう言う訳か宙に浮き、ダンスでも踊っているかのような奇妙な仕草で空中を泳いでいた。

 幽霊だ。私は咄嗟にそう思った。慌てて家へと帰り、台所から塩を持ち出して玄関に撒き、自らもそれを頭からかぶった。

 嫌なものを見てしまったなと思いつつシャワーを浴び、部屋へと戻る。TVを点けると深夜にも関わらずニュースの速報が流れた。

“○○公園にて男性の首吊り死体”

 それはまさに先程、私が幽霊を見たその公園。しかも死亡時刻はまんま、私が通り掛かったあの時間。

 私はようやく理解した。先程見たのは幽霊でもなんでもなく、まさに足場を蹴って宙に吊られた男性そのものだった事を。

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